Corridor

花粉症の時期も過ぎ,気持ちの良い日々が続いている.
打ち合わせに数日出かけたが,あとはほとんど自宅で仕事をする日々.普段あまり会わないマンションの住人に出会う機会が多くなり,昨日はとうとう「仕事オヤスミですか?」と訝しげに尋ねられた.すいません,ぶらぶらしていて...
前に実家の解体の話を書いたが,その時に一番感心したのがこれ.(真ん中の写真)
何かというと,これは廊下の板の一番端を,下から掛け金のように引っかけていたモノである.名称は不明.
古い家だったので,まだフローリングのように組み木にする構造が無く,この廊下の板はネタ(構造を支える桟)の上に,表に出ないように斜めに釘で打ち付けてあった.(余談だがわりと長い廊下で,測ってみたら繋ぎ目無しで5.6mの材が使われていた.珍しいので何とかそのまま残せないかと思ったのだけれど,それほど数があるわけでもなく運ぶのも大変なので,やもなく半分に切断.)
で,この廊下を桟に打ち付けるには,写真の向かって左から板の側面と桟を釘で縫っていく.右利きの大工さんである.だがもうその作業の時には壁が立っているので,最後の3枚程度は右手に立つ壁との距離が近すぎて,思うように金槌が使えない.
たぶんそういう理由で,最後の3枚は大工さんが床下に潜り,この掛け金状のモノで床板を桟に固定していった模様.これが,その時の通常の工法なのかどうかは,僕には分からないが,一緒に解体を手伝ってくれた鉄職人の友人も僕も初めて見るものだった.
こういう細かな技がいろいろ発明されては,忘れ去られていくのかと実感.
結局,人の足が80年間近く磨き続けた廊下の板は,自宅の床に設置.木ネジを十数本使ったので,大家さんに見つかったら怒られるかもしれない.トップシークレットです.

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