いやぁ,あっという間に終わってしまいました.YCAMでのpath公演.
僕にとっては,初のインタラクティブかつ即興的な照明作品ということで,最後の方の日々は無我夢中.また,内橋さんと僕がおっさんなだけで,あとはまだみんな若いもんだから,連日連夜みんなコンピューターに向かう向かう.おかげで毎晩それに引きずられるように仕事をしていた僕は青息吐息で,終わってからのこの3日間ほどはほぼ思考力ゼロ.
しかし,楽しかったです.
おおまかなシーン分けこそ最初にしたものの,その後はどのリハも本番も即興.しかも,初日前夜の通しリハを除いては,テンションが下がるからと内橋さんとUAさんのセッションはほとんどなし.システムチェックはしましたが,2回の本番ともほぼぶっつけです,はい.
2日間の内容も,僕の感じたところではまったく違う.どちらも面白かったけれどね.
自分で言うのも何ですが,印象に残る公演でした.
公演途中に,内橋さんが音を外に出さずに演奏し,光のパターンを作っていくシーンがあるのだけれど,その際2日ともUAさんは,舞台上で両手を広げて寝ころんでました.それがかなり自然で良かったのだけど,公演後に彼女から聞いたところによると,どうも本当に微睡んでしまいそうになったらしい.
「私って凄いところまで来たと思ったわ.400人の前で眠れるって思ったもん.」
という彼女のコメントが,かなり面白かったです.
もちろん2人のパフォーマンスも良くって,僕はついふらふらと,翌日に小倉のSOAPであった内橋さんのライヴにも出かけてしまいました.YCAMとはまた違ったライヴハウスでの演奏で,他のパフォーマーもなかなかの手練れで,脳味噌の凝りがほぐされた夜でした.
RC update
YCAMでのpathが終わって,京都に帰ってちょうど一週間.
既に僕が山口にいる頃から始まっていた,9月に向けてのRefined Colorsの振り起こしと新パート制作に,ようやっと参加し始める.やっと,頭が切り替わりつつある感じ.
思い起こせば去年の今頃は,本番直前.毎日毎日レオパレスからYCAMのStudioBに通い,ダンスとLED照明にどっぷり浸かっていた.
毎年面白いなぁ.
それでRefined Colorsの京都公演.9月24日25日と,京都造形大Studio21で行います.19日からスタジオ入りして午前中はワークショップ,午後からは新パートの制作に専念します.そのための準備というか,ダンサーとの制作を,いま行っているわけ.今月中に出来上がるわけではないけれど,進む方向くらいは定めたいモノだと思う.
ひさびさに,2ヶ月程自宅にいる予定.
近所の人に怪しまれないように,何か言い訳考えないと...
今日で,子供の断乳2日目.かあちゃん,1年7ヶ月にも及ぶ授乳,ゴクロウサマでした.
この一週間ほどカレンダーに印を付けて言い聞かせてきたとはいえ,つい昨日まで毎朝毎夕と就寝時までおっぱいをねだっていたのに,盛大に泣きはしたモノの諦めた様子の子供に,なんてよく分かって聞き分けがいいんだろうと,感心しつつあまりの物分かりの良さに心配になる親馬鹿です.

Off

14日から18日(月)まで,祇園祭のため京都芸術センターがオヤスミ.なので,そこで稽古しているRefined Colorsの作り込みも休み.
なにせ自転車のルートによっては,御池通りから四条烏丸近くの芸術センターにたどり着くまでに,3つも4つも山鉾の横をすり抜けなければいけない.呉服問屋が軒並み並ぶ界隈にセンターはあるのだ.とてもじゃないが,祭りの間は通常の開館は無理だろう.京都らしい理由である.
おまけに気がつくと,17/18日と連休である.何だ「海の日」って???
日曜祭日は,保育園は休みだがかあちゃんは働きに行く.観光地の仕事なので,稼ぎ時なのです.で,僕がウチにいる時は,なるべく娘と過ごす.1歳半,凄いぞ.風邪ひいてようが何だろうが,むちゃくちゃ元気.
なので1日中振り回されてます.
一昨日,はじめて娘の散髪をした.
それなりに工夫して切ったつもりなのに,なぜか不評の声が多い.変にきちんと揃ってなくて,可愛いのに.
断乳は,拍子抜けするくらいうまく行きました.
あきらめがいいというよりは,我慢強いのかな?
Biwako summer festival
ロンドン2度目のテロ.エジプトもテロ.おまけに東京で地震.
被害に遭われた方,お見舞い申し上げます.
地震は別だけれど,どうしたらいいんだろう? きっと,どうしたらいいんだろうと考える人の数が増えることが,まず先決なのかな.テロを起こしそうだと思われる人達は,全員隔離するか?殺すか?監視するか?そんなことが出来ると思う人は想像力が無さ過ぎる.
そんなことを思いながらも,びわ湖ホール夏のフェスティバル公演のひとつ,白井剛の『質量, slide , & .』を観に行く.実は明日観る予定だったが(明日も観るが),急に公演後のアフタートークに参加することになって,今日も滋賀まで向かうことになった.白井さんがまだ学生の頃,ダムのS/N公演を観てくれていて,それが良かったとか,去年のYCAMでのRefined Colors制作時に,発条トも滞在制作していたとか,そういう縁である.ちなみに,9月のRC公演とこのびわ湖夏フェスのプロデューサーも同じ.
公演は面白かった.
アフタートークではそこまで話せなかったけれど,プリンス(後でややこしいサインで表象する事になって,またその後元に戻ったあのパープルレインのプリンス)の,「sign of the times」と,印象がすごく被った.プリンスはあのアルバムを,今で言う宅録で作った.「ひきこもり」である...世界との接続を絶って世界の安寧を思う...
ボルヘスの短編の中に,テロを行うためにまず世間との関係を絶って自室に閉じこもり,自身の考えに考えを重ねた上に,それまでのしがらみをチャラにして,それでも行動に出るテロリストの話がある.そんな内証に内証を重ねるような作品だった.でも,無理矢理思いこんでというよりは,あくまでも楽しみながら,『質量』に向かい合っていた.
そうだなぁ,『質量』と『重力』の違いについても,聞き忘れたかな.人前で話すのは,いつまでも苦手だ.
明日は,C, de la B のSidi Larbiが踊る「d’avant」を観に行く.
August
7月28日に大度君が京都に来て,南君も何とか時間を作って,久々にRefined Colorsチーム全員集合.ようやく何とか形になってきた新パートを観て,9月の製作までに予め準備をしておく.
びわ湖ホールで観た「d’avant」は,とても面白かった.ヨーロッパで売れっ子のダンサー/振付家4人が集まって作った作品である.4人の男性が古歌を歌いながら,劇場らしい様々なトリックを使い,でも基本は自分の身体と存在感で時間を埋めていく.一件何の変哲もないプレーンな床に見える(実は全体が台で上げてある),基本の舞台装置も抜群に良かった.
なかなか4人のスケジュールが調整できず,ヨーロッパでも再演が難しい作品である.当のダンサー達は出来ればこの作品をやりたいらしいけれど,それぞれ別の仕事も抱えているし,そうそう思い通りにはいかない.その作品を日本で単独公演するとは,びわ湖すごいなぁ.
話は戻って,Refined Colorsの稽古は8月5日まで.それ以降,モノクロームサーカスのメンバーは,8月後半に京都芸術センターと東京の森下スタジオで公演する,フランスのダンサー/振付家デディエ・テロンの作品の稽古に入る.そんでもって,ちょうどそれが終わった頃から,僕とダンサーのひとりはダムのツアーに出る.帰国はなんとRefined Colorsの仕込み初日早朝.僕は別にディディエの作品には何の関係もないので,8月はずいぶん時間がある.9月の準備をしつつ,のんびり過ごせるかなぁ.
Bon Odori
Refined Colorsの稽古が終わって家への帰りしな,近くのグラウンドに提灯が見えた.気がつくと,浴衣姿の人がポツポツまとまって歩いている.そうか今晩か.
なぜだか理由は知らないが,「江州音頭フェスティバル」の京都大会が,毎年近所で開かれる.遠くから和製レゲエのようなリズムを聴いたり,提灯の明かりを横目で見ながら自転車で通り過ぎたり,気になってはいたものの,参加することのなかった夏祭りである.
このところ娘にあわせて19時には夕食をとる生活なので,その後にちょいと3人で盆踊りを見に/踊りに行くくらいの時間はある.あまり遅くなると,娘が眠くて大変なことになるが...
会場には十数名が輪になって上で踊れるような,大きな櫓が組まれて,渋いオッちゃんの歌声がループするリズムにのって響き渡っている.まったりとした熱気といい,保存会という名目でチームを組んだオジ・オバちゃん達の気合いの入った浴衣といい,何とも南国,キリキリした今の日本の日常から何処かに飛ばされたようなトリップ感がある.
見よう見まねで,グランド3周くらい輪に入って踊る.最後の方は,人波にも慣れたのか,娘もリズムに合わせて身を振りながら,歩き回っていた.
もし来年また参加できるようなら,浴衣くらい着ていきたいもんである.
ニッポンの夏でした.
Okuribi
祭りネタをもう一つ.
昨晩,久々に送り火を見た.あらためてみると,結構な大イベントである.
生まれ育った実家の自室からは,「大文字」と「舟形」が見えた.もう,その家はないが,送り火の度に親戚が集まっていたことを思いだす.僕の中では,正しいお盆の過ごし方の原風景である.それも祖父の加減が悪くなってからは,ポツポツと集まりが悪くなっていき,やがては途切れてしまった.
去年は確か,まだこの時期はシンガポールかクアラルンプールにいたはずである.
今年は,僕の両親が近くに引っ越してきたので,そのマンションの屋上から送り火を見ることにした.かなり良いロケーションなので,何山見えるか楽しみにしていたら,なんとなんと五山全てが一望できた.
「大文字」「妙法」「舟形」「左大文字」「鳥居」,一度に全てを見たのは,生まれて初めてである.
宗教にも当然エンターティメント性は必要で,それは断食や瞑想などによる人体への操作か,建築的なビジュアルや音響操作によるところが多いけれど,この送り火は三方を山に囲まれた京都の地の利を生かした,独自性のあるとても良く考えられた壮大なイベントだ.
何の宗教的な知識やバックグラウンドが無くても,一瞥しただけで楽しめるのがすごい.僕には詳しい知識はないが,たぶん仏教的な理由があるんだろう「大」という漢字と,神道の象徴である「鳥居」や,祖先の霊を送り返すためであろう「舟形」がシンボルとして描かれて,それらが共存しているところもすごい.
世界各地に色々なお祭りイベントはあるだろうけど,これだけの規模で視覚的なモノが他にあるだろうか?
観光地というのは,実にいろんな要素から成り立っているもんである.
Cindy Sheehan
Cindy Sheehan.
結構ニュース番組が好きで,朝も昼も夜も,仕事の合間に時間が空けばテレビをつけるが,なぜだかまだ日本のニュースでは聞かない名前だ.
イラク戦争で息子を亡くした彼女は,ブッシュが今休暇を過ごしているテキサスの牧場の近くで,ブッシュにイラク戦争に対する釈明を求めて,座り込みを続けている.そして,その彼女の行動が話題になり,全米から賛同者や,ライフルを空に向けてぶっ放して彼女らを脅す,ブッシュ擁護派が集まってきている.
そのことがアメリカのマスコミには,結構な話題になっているらしい.要するに,ここに来てやっと,アメリカでもイラク戦争反対に声を上げる人に,マスコミがバッシングではなく,通常の報道をするようになったらしいということ.
彼女が引き金となって,反戦運動が広がっているという話しもある.
日本語での詳しい情報は,
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/
911の衝撃で対人恐怖症状態になっていたアメリカが,ようやく普通の思考に戻り始めたのか,それともほんの小さな灯火もしくは亀裂を,一部のメディアが大きな希望のように煽っているのか,日本からネット経由で見ている限りではよく分からないけれど,座り込み自体は事実だろう.
「小泉の放った刺客」というトピックは確かに面白いけれど,シンディ・シャーハンの「シ」の時も出てこないのは,やはり何か日本のマスコミに,バイアスがかかっている気がする.