Difficulty

帰国してはやくも10日、怒濤のような日々が過ぎる。
パリ最終日の夜に、4年ほど連れ添ってきたmacpbG4がクラッシュ。頭を抱えながら、空港へ向かい、チェックインすると荷物が少々重量超過。
ヨーロッパ航路は20キロまでなのだなあ。
このツアーでトランクを買い替えるまで、機内持ち込みできるものをメインに使っていたので、ちゃんと知らなかった。今回は、パソコン2枚とかなりの周辺機器を持ち歩く必要があったので、さすがに前のものでは収まらず、新たに大きいものを買ったのだけれど、そのせいで重量オーバー。仕方がないので、その分をマイレージで支払うために発券カウンターに行き、その後再度チェックインカウンターに戻ると、対応してくれたおねーさんが大げさに微笑みながら、オーバーブッキングなので、ビジネス・クラスに移っていただきます、という。
なんだか、飴とムチを使い分けられている気分、行きほど無条件には嬉しくない。
しかしさすがにビジネスはゆっくりできて、さほど疲れもせずに帰郷。
娘は、えらいことおしゃまさんになっている。この時期の人間の成長は、かなり目覚ましいものがある。
それはさておき、早速、価格.comを使って、MacBookProのリサーチ。ツアー中に、BootCampの事が話題にあがっていて、かなり気になっていた。人によっては、MACでWINが立ち上がって何がおもろいねん、という人もいるだろうが、僕としてはMac機でLiddellが立ち上がって、DMX出力ができて照明のコントロールが可能なら、1台のコンピューターで全てをカバーできる。
しかし、Appleの自信はすごいなぁ。一見、Windowsに媚びているようなBootCampだけれど、OSの使い勝手、という同じ土俵で比べられるなら、絶対MAC OSの方が優れている、という自負があってこそのものだと思う。
そして、とにもかくにもMacBookPro購入。
関空に着いたのが27日木曜日の朝で、日本はまさにゴールデン・ウィーク直前。昔から、これには泣かされてきた。。。勤め人ではないので、発注も物流も滞るこの時期は、毎年何かと泣かされる。今回も、とにかく29日までに実機が届かないと、かなりヤバい。次回ツアー出発は、5月9日火曜日。
ダントツに安いところを見つけて、MacBookProをオーダー、無事に29日土曜に到着。HDケースも届いて、前機のハードディスクを入れて新機に繋いでみると、ちゃんと認識される。とにかくデータは無事だったわけで、これでまあ何とかなると一息ついて、新機にすべて移す。
しかし、その過程でどうも、新機のスーパードライブがおかしい。OSのインストールCDを認識しない。
何だかね、苦あれば楽ありというよりも、誰かの掌の上で転がされているような気がする。おちょくられているというかイヂラレテルというか。。。
結局、初期不良で修理ということになって、新機を5月1日月曜に回収に来ることに。。。
それでもまあCD/DVDドライブがおかしいだけ、他の作業には支障はない。とにかく急いで、次のツアーの準備。
ところが、本体と同時期に別発注で頼んだ増設メモリが、全然届かない。元々のメモリは512MB。OS X上で色々動かすには、あまりにも少ない。ああ、ここでもゴールデン・ウィークの余波が。。。
という経過をたどって、昨日5月5日にはようやく、メモリと共にBootCamp用に買ったWinXPも到着。
今は、見事にMAC本体上で、OS XとWindowsXPが立ち上がる。
ようやくここまでたどり着いた。

A lighting design for the exhibition

不思議な縁で、展覧会の会場照明デザインをさせてもらった。
場所は、パリの日本文化会館。その展示ホールで6月24日まで開催されている、「L’air de rien – nouvelles pistes pour l’art contemporain japonais」という日本の現代美術展の照明を担当。
以下に、パリ日本文化会館のサイトにある紹介文をコピーすると、
『未来への回路〜日本の新世代アーティスト』展
1990年代半ば以降に注目を集めた11人の若手注目アーティスト(福井篤、廣瀬智央、明和電機、村田朋泰、中村哲也、佐内正史、齋木克裕、須田悦弘、束芋、高橋信行、横溝美由紀)による絵画、彫刻、写真、ビデオ、インスタレーションといった多用な表現を、特定の傾向やスタイルに焦点をあてるのではなく、モノづくりへの丹念な取り組みという視点から紹介する。なお、本展覧会は国際交流基金(ジャパンファウンデーション)主催により会館のみならず欧州各地において巡回展示される。
http://www.jpf.go.jp/mcjp/feat/index.html
というもの。
今回は、先に会場デザインの方がいらっしゃって、その方と二人三脚のような形で作業を進めた。
楽しかったし、それなりの形にできたとも思うのだけど、無事展覧会がオープンした矢先に、前にも書いたようにMacG4がクラッシュ。そのせいで、紹介がずいぶん遅れてしまった。
会場の構成が、大胆に太陽光を入れているエリアもあり、そこでは人工の照明は手も足も出ない。ならせめてもと、日が沈んでから真夜中近くまで、逆にその窓を利用して、会場内の様子が、揺れ動く光と変わり続ける色で、外の道から見えるようにプログラムしてみた。
写真は、その様子を外から撮ったもの。
実はすぐ横に、21世紀になってからずっと、ギンギンにライトアップされているエッフェル塔があって、その迫力には悔しいかな及ばないが、それなりに目立ってます。
展覧会の内容も、多岐にわたる作品が集められていて、なかなかいいセレクションだと思う。それに合わせて、照明も変化を付けてみたので、もし機会があれば見てみてください。

Glasgow

5月12日.
今日・明日と,スコットランドのGlasgowで,ダムのVoyage公演.会場は,TRAMWAY.
遥か昔,もう15年も前に,pHの公演で訪れた事がある.使われなくなったトラムの車庫を使ったアートセンターで,地域社会とも密接に繋がっている施設という感じ.僕らが仕込みをしている間も,劇場以外のところは稼働していて,カフェや庭に,乳幼児とその保護者や,老人の姿も多い.聞くところによると,この街は一時すごく荒れていて,うかうか外を歩いてもいられない時期があったとかで,そういう状況からの避難所としての機能も,このアートセンターは持っているのかもしれない.
でも,今は,別段それほど危なそうな感じもしないけれど...(あまり町中に行っていないので,断言はできない.)
元々車庫(とたぶん電車のメンテナンスやひょっとしたら作ってもいたのかも...)だっただけあって,劇場の床は丈夫なコンクリートで,最終的にはそこに木製パネルを敷き詰めて舞台にする.また天井も,キャットウォークは何本か通っているけれど,バトンは昇降しない.
こういう,リノベーションした施設にはよくある不自由さだけれど,それをカバーするために写真のような作業車が導入されている.それがむちゃくちゃ便利,というほどではないのだけれど,古い建物を全部ぶっ壊して建て替えることを考えれば,ほんのわずかな投資で,それなりに十分な作業性を確保している.
15年前は,それこそまだぼろぼろの建物で,そこをコツコツ手作業で直しながら場所も組織も作り上げている感じだったし,それがずいぶんと綺麗になってきれいすぎるほどの施設になった今も,基本的な感覚というか,自分たちでこの場所を丸ごと作って動かしているんだというような,自立した独立心というようなものを感じる場所です.

Paris again

打ち合わせと仕事の引き継ぎのため,再びパリへ.
この前と同じ,ネット環境の快適なホテルに泊まるが,4日間の滞在のうちの後半2日は,何だか予約がいっぱいで部屋がとれず,ホテルを代わることに.ホテルぐらい幾らでもあるだろうと高を括っていたら,何があるのかこの周辺のホテルはどこもかしこもいっぱい.ネットで探しても空きは見つからず,少々焦る.
結局,パリ在住の友人が,懇意のホテルを紹介してくれて,何とか部屋を確保.ありがたい.
打ち合わせの合間に,来週から始まるEaさんの公演ツアーの,照明引き継ぎ作業.ドイツでの公演がダムの公演と見事に重なり,僕は参加できない.なので,仕方なく,僕のやっていたLEDパートを,Carlosにお願いすることに.
ドイツ以降の,シンガポールとベトナム公演には,また僕が復帰する予定.
何とか,この2日で,すべてのきっかけを引き継がなくてはいけない.まあ,何とかなるかな.

EURO CUP

5月16日17日と,何でこんなにどこもホテルがとれないんだろうと思っていたら,サッカー・ユーロカップの決勝戦だかなんだかが,パリで開催されていた.マドリッドとバルセロナの対戦.スペインでやれ!そんなのスペインで!
おかげでパリは,どこに行ってもむさいおっさんが群れをなして大声で歌いわめき騒ぎ,酔っぱらい,地下鉄のドア越しに罵り合い,暑苦しいことこの上ない.ホテルは,星付きからバックパッカー御用達まで何処も満員で,知らずにパリにたどり着いた旅人たちは,ねぐらを探してうろうろしている.
僕は,前述の友人が紹介してくれた,ピガール辺りの小さな宿で部屋を確保,おかげさまで快適に過ごすことが出来た.
この宿,パリにしてはすごく安いが,部屋はきれい.トイレは廊下だがシャワーは部屋に付いている,という自慢気な宿の親父の言通り,確かに写真のようにシャワー箱が部屋に付属.箱としか言いようのないようなものだが,これでも立派に温水は出るし,おもしろがって茶化して紹介はするが,宿としてもかなり良いところです.特に,周りの界隈が,コジャレなブティックからSEX SHOP,高級食材から中華のテイクアウトまで,何でも揃ってしかもカフェなどは夜中でも賑わいを見せている.とても楽しい地区でした.
Eaさんの公演のための照明引き継ぎは,Carlosと旧知のインディペンデント・ディレクター氏の自宅で作業.はじめは劇場の片隅でも借りようとしていたのだが,色々あって個人の自宅をお借りすることに.
この家が,またすごく居心地が良い.独り身だという,50過ぎくらいに見えるディレクター氏が,自分の居心地が良いように造っていった自宅.もうたぶん一生行くことはないだろうし,とにかく車で連れて行かれたパリの東の外れで,未だにどこだかわからない.でもとても良い家だったので,とりあえず写真を1枚.
当のディレクター氏には,初日に笑って握手をした後はついに会えず,結局名前もわからない.
17日夜には,パリ郊外でやっていた,Preljocajの1989年の作品「Noces」の再演を観に行く.いかにもヌーベル・ダンスというかヌーベル・バレエ.良くできた振り付けで,なかなかよかったです.椅子というかベンチ使ってました.これはヌーベル・ダンスのお約束なのかな?
そして,18日早朝に友人を訪ねてウィーンへ向かう.ここからは短いながらも休暇モード.3日間は,打ち合わせも何もなし.早朝の便だったので,朝6時前にパリ北駅へ.駅に入ると,そこはさながら野戦病院のような状況.
ホームレスならぬホテルレスの人たちが,若者のみならずいい歳をしたおっさんまで,駅の床でごろ寝.その横を早朝出勤の人たちが平然と歩いていたりして,異様な風景.でも,パリではよくあることなのか,寝ている方も通り過ぎる方も平然としている.僕も,これが昨日大騒ぎしていた群れかと思うと,あきれるばかり.こんなにまでして応援に駆けつけるその情熱の大きさよ...
そして,無事ウィーンの友人宅に着く.

Wien

ただいま,ウィーン空港でハノーバー行きの便を待っているところ.ハノーバーからほど近いところにあるらしい,Wolfsburgというところで,Eaさんの公演がある.今回はスペシャル企画で,15年前に初演されたDROUGHT AND RAIN VOL.1と,去年公演したVOL.2をあわせて観せる.Vol.1はベトナム人のおばあさんばかりで演じられ,Vol.2は同じくベトナムの若手ダンサー達が踊る.
僕はこのVol.2に,LED照明を持って参加しているのだが,残念ながら今回は,ダムのLjubljana公演と日が重なって参加できない.ならばせめて仕込みだけでも手伝おうということで,今日からWolfsburgに入る.
Wienでは,友人宅ですっかりくつろいで,昨晩は数人の日本人で宴会.せっかく奮発して買った(ウィーン市内の日本屋という店)芋焼酎がちょっと残念な代物だったが,それ以外は昆布と鰹節でしっかり出汁をひいた簡単和食.久々の味で満足.お世話になりました.(写真は,友人宅)
しかし,この前までワイアレスのないpbG4だったので,全く状況を自覚していなかったのだが,この頃のワイアレス環境はすごいことになってますな.今も,空港のゲートの待合室で,コンピューターを開けると,いくつかのネットワークが見える,そのうちのWireless Vienna Airportというのに試しに繋いでみると,何の認証もなくネットに繋がった.
その他,この前Glasgowで30日間入ったワイアレス・プロバイダーのHotSpotも至る所にある.
実は出発前のゴールデン・ウィークが祟って,せっかく発注しておいたアップルのUSBモデムが届かず,現機にはモデムがない状態なのだが,ほとんど困らない.
携帯も合わせたら,周りは電波だらけだ.

Wolfsburg

Hanoverから車で1時間くらいのところにある,Wolfsburgというところに滞在中.
このWolfsburg,町というにはあまりにも奇妙な場所である.そこで行われるmovimentosというフェスティバルのセットアップに数日だけ参加.
ここは豊田市のフォルクスワーゲン版というか,元々ナチスがワーゲンの生産強化のために,何もないところに発電所から建て始めて工場を作り,そしてその労働力としての住民の町を作ったのが始まりらしい.それが車の(「車で」ではなくて「車を」買うための)お買い物を楽しみつつ滞在できるような万博もどきのテーマパークになっていて,だだっ広い敷地の中に幾つものパビリオンが点在している.
ホテルはただ一つThe Ritz Carltonしかないのでそこでお泊まり.遠くに,よくミニカーをプラケースに入れて展示してあるのを見かけるように,実車をガラスの高層ビルにぎっしり並べてあって,そこを螺旋状の通路に沿って車で動きながら,欲しい車を選んで購入できるビルが,3つくらい並んで建っているのが見える.
圧巻は,この場所の基となった発電所で,まだ現役で稼働中.並んだ超高い煙突が,ファシスティックに威圧してくる.そして,そのまだ現役の発電所の中に特設ステージが組まれていて,公演はそこで行われる.
かなりの客席数がある巨大なステージが組まれていて,お呼ばれされたおセレブな御人たちが,かなりコンサバなチョイスのショーを見ては,夜な夜なその後のパーティでご歓談なされるらしい.
舞台は仮設といっても,ドイツらしくしっかりと組まれていて,発電所の中の年季の入った広大な空間とも相まってすばらしい.
しかし,どうもこのお泊めいただいているリッツ・カールトンといい,その周りの風景といい,広大な敷地内に犬の糞どころか塵一つ落ちていない,上手にカモフラージュされた監獄みたいなところである.
写真は,部屋の窓から見える発電所(劇場でもある)とプール(昼・夜)、車のショー・パビリオン、送迎車のスピードメーター!320kmまで切ってある。

power plant

本日,スロベニアのLjubljanaに移動.
でも,とりあえずWolfsburgの公演会場である発電所の中がすごかったので,写真をいくつかアップ.
まずは,照明を吊るためにトラスが降りている舞台.とにかく仮設とは思えないくらい機材が豊富で,望むものは吊り放題.次は,客席とその横にしつらえてあるバーの様子.そしてバー/歓談室.
あと,リハーサルルームというか空間はこんな感じ.
舞台の下,奈落にはシャワーとトイレがこれまた仮設されているが,その様子だけでもちょっとした地下都市.
最後は,リハーサル空間に続く機材置き場.
とにかく,圧倒的に存在感のある空間でした.
明日からは,LjubljanaでVoyageのセットアップ開始.