アメリカとイスラエルに腹ばかり立てていても,何も変わらないと思いつつ,またアメリカ関連でムカツク事しきり.
11月にEaさんの公演で,ノースカロライナに行く事になり,そのために芸人さん用のP1-VISAをとらなければいけない.ダムの公演でも既に数回収得しているが,今回はその手続きをすべて自分でしなければいけない.
ネット上で必要書類を確認し,申請書に記入,自動でpdf化されたそれを出力し,その他もろもろの書類と一緒に持って,大阪の領事館に「面接」に行かねばならない.
その面接予約の時点で,100ドル払えとアメリカは言う.しかも,ヴィザがおりようがおりまいが関係なしに,一度支払った100ドルは返ってこない.8月のレートで11600円のお支払い.何だかね,他人の弱みにつけ込んで,金もうけかい.
まあでも支払いはいいや,どうせアメリカのプレゼンターに返してもらうから.でもね,その提出書類の記入項目の多い事.なんだよ,「この10年間に行った国を全部書け」とか,「小学校以上の学歴(入学・卒業日時含む)すべて」とか,たかが一週間程度の滞在に,ここまで聞くか.しかも,これで同じヴィザとるの3度目か4度目だぞ.
それで,ようやっと必要書類に記入し,写真やパスポートもそろえて,予約した日時に領事館へ.
これがまたまあ,入館するまでにも一苦労.日本でも,よほど恨まれているのかアメリカ...空港のセーフティ・チェックなみ.中に入ると,早々とチェイニー・ブッシュ・ライスの写真がお出迎え.(この3人の肖像は至る所に飾られている)
僕らの前には,スカーフを被った,どう見ても外国人のおばさんとかもいて,いったいどれだけせっぱ詰まった事情で,今ヴィザ申請に来てるんだろう...
さて,やっと中に入った,でここからが本題だが,まず僕らは3階に上がって「申請書受け付け」のための窓口に並ばなければいけない.これがまた,長蛇の列.
しかし,しかしだ,なぜウェブ上でいやほど申請書に記入して,しかも「面接予約」で日時指定までして100ドル払って,ここで並んでいちからやり直しな訳だ?ちなみに,オーストラリアのヴィザも取る必要があるのだが,こっちは電子申請で面接無し,すべてウェブからの書き込みだけで済む.
この「申請書受け付け」は,申請書を書き込んで面接予約までした人が,全員受けなければいけない.じゃあ時間指定の面接予約は何なの?と思いつつ辛抱強く並び,5つくらいある窓口(全員日本人のスタッフ)に,辛抱強く進む.
そして,やっと自分の番が来た.
ここでわかるのは,「僕らが来た」ことのみが重要であるという事.ちらっと写真と実際の顔を確認され,たわいもない質問に一つ二つ答えれば終了.あとは,すべてコンピューター上で確認された模様.
でも,これはまだ意義が感じられる.
そして次に2階に降りて面接を受ける.今度は窓口にアメリカ人が並んでいる.でも,「面接」ってなんだ?必要なデータ収集や本人確認は,どう考えても3階での「面接受け付け」で済んでる.
ここで僕の面接のお相手となったのは,何だか有名な大学出てUSA外務省に入って(よく知らないけど),ひょんな事から大阪の領事館勤めになってしまったような兄ちゃん.とにかく毎日毎日毎日毎日,有象無象のヴィザ申請者のお相手をし続ける,悩み多いインテリさんだ.
彼はまず喋らなかった.僕は今回一緒にツアーに行く3名で面接を受けているが,現地からのインビテーションのオリジナルは一通しかなく,それを僕が持っている.もうすぐにでも隣の窓口で,別のメンバーが面接を受ける.
そんなことを話そうとしたら,その面接官は,何も言わず手で制した.どうも口をききたく無い模様.
「あらま,面接というからには,やはり英語で話さなあかんのかな?」と英語に切り替えて説明しようとしたら,今度は露骨に否な顔をされる.しかし,彼はまだ何も話さない.しかも,何だか怒ってるし...
でも心配で,説明を続けようとしたら,彼は日本語「大丈夫」といった.
なんだ日本語はなせるんだ,まあこの仕事なら当たり前か.でも,英語の方がやはりネイティヴだろう.こっちは「面接」というのは何か意味があると思ってるから,ひょっとしたら英語力の確認かと思って,なおも英語で話すと,彼はいきなり怒り出した.「日本語の方が早いですから! それで仕事は? えっ? もう一度ゆっくり言って! ああそう,じゃ一週間後くらいにはヴィザ届きますから.はい終わり」
って,何の意味もないじゃん.単にこいつらに仕事を与えるためだけに,この「面接」という儀式が用意されてるわけだ.面倒な事もあるだろう確認作業は,すべて3階での受け付けで済んでる.それが終わって,また並んで,苦虫かみつぶしたような兄ちゃんに,日本語で喋れよ,と文句言われて,100ドル払って,ありがたくヴィザを手にした(はず,まだパスポートは返ってきていない)訳だ.
あの兄ちゃん,どうも僕だけに怒っていたわけではなくて,前の申請時にも居たような...それで前も「感じ悪い」と誰かが言っていたような...
仮にも日本に来たからには,ひょっとしたらあの兄ちゃんも,大学かどこかで日本に関係した事を,自ら望んで学んだのかも知れない.地位も給料も,それなりのもんなんだろう.
それが,毎日毎日毎日むかっ腹を立てながら,領事館で意味も無いような仕事に従事しているわけだ.何だかねぇ,あまりに不幸だ.僕の後ろに回された,頭をスカーフで隠していたおばちゃんは,どうなったんだろう...