10月23日に無事帰国.
今回印象に残った公演を,忘れないうちに記録.
“Tragedia Endogonidia BR.#4” : “Societas Raffaello Sanzio” from Brussels present.
Directied by Romeo Castellucci.
今回観た中では,もっとも秀逸.
三方が,見た目は大理石プレートの高い壁に囲まれた舞台.なので袖がないので,転換時はいちいち割り緞帳が閉まる.でも,その閉まった,たぶん持ち込みの白い緞帳を使って,遮られて見えない舞台中がめちゃくちゃ明るくなっているような光の演出もあり,すべての要素をうまく利用している.
抽象的な,その何もない舞台に,最低限の要素を置いて,幻想的でインパクトの強い舞台をものしている.
次々と,新しい可能性のある舞台は出てくるが,それをいち早くオーストラリアまで喚んでしまうこのフェスは凄い.それに毎年だし...
とにかく,光の使い方が良かった.機材をチェックしたわけじゃないけれど,HMIと通常の舞台照明と蛍光灯,それにビデオプロジェクターも照明の一種としてうまく扱っていた.それらと,マジックでも使えそうな道具を駆使した舞台装置をあわせて,映画ばりの,つまり目前の舞台でリアルタイムに,普通だったら目視するのは不可能なような効果を,うまい事現実化してました.
“the 51st(dream) state” : Sekou Sundiata.
こっちは,超クール.
このSekou Sundiataというおっちゃんは詩人らしい.舞台上は映像や通常照明に加えてストロボなんかも効果に使い,4人のこれまた恰好良いコーラスガールとドラム・ウッドベース・キーボードと,何やらその筋では有名そうなホーンのおっちゃんを加えたバンドもSekou Sundiataと一緒に舞台に立つ.
4人のコーラスは,それぞれソロでも歌い,バイオリンも弾く東洋系(たぶんベトナム人だと思ってたら,名前は中国系)と,NYのハーレムでゴスペル歌ってそうな弾丸ねーちゃん,中東の香りぷんぷんの美人さんに,南アメリカ出身ぽいグラマラスなおねーさんと,よくぞ揃えたマルチ・カルチャラルな美人揃い.みんな歌唱力抜群.
しかし,その強力なバンドのパワーも全体の半分程度に抑えて,メインはSekou Sundiata氏自身の詩の朗読に比重があるところが,ものすごく渋い.しかも,当然ながらそれがうまい.
といっても,その流暢な英語と多彩な発話の表現,早口言葉も真っ青なスピードに,ほとんど一言も言葉の内容は分かりませんでした.まあ,何について喋ってるかくらいは,何となく見当付いたんですが...
それでも,その全体の構成には,ものすごく感服.
映像も自由に使えるだろうし,ミュージシャンもすごくうまくて,舞台要素(音響・照明を含む)もよくデザインされてて,優秀なスタッフがいる事が分かる.それらをうまくコントロールしながら,あくまでもメインは詩人本人の朗読に比重を置くというのは,実際に作るとなったら相当難しい.だって,ある程度は,何でも出来るし,それで誤魔化したくなる.
う〜ん,大人な感じ.
しかし,こういう内容になると,全然言葉についていけない,自分の英語力が恨めしい.