27日にLAから Santa Barbaraに移動.UC Santa Barbaraは確かに大学なんだろうが,劇場の周りは研究施設が建ち並んでいるような印象.あまりのどかなキャンパスという感じがしない.公演会場のCampbell Hallは今回最大の難所.タッパが低くて,でもバトンは一切降りず,舞台奥行きも通常この作品を公演している半分くらいしかない.でも,間口は広くて客席は傾斜があまりなくて800席と,要するに講演会場.もしくはリサイタル・ホール.(実際,アコースティクな音環境は,すごくいいみたい.)
しかも,しかも毎日朝から午後2時までは大学の授業で使われていて,仕込みもリハも本番日も会場入りは午後2時から.
最初に図面を見た段階で,オーガナイザーに「無理」と伝えたんだけど, 何だか絶対やらないといけないみたいで...Eaさんも,ダンス的な部分はカスタマイズできるというし...
で,2日間仕込みでやってみたら,何とかできました.はい.
結局は劇場は「人」というか,無理な事をやらなきゃいけないと一番認識しているのが現地スタッフで,とにかく一生懸命対応してくれる.少しでもよくなるように協力してくれるという体制で,なんとかなりました.(でも,基本的には,そんな無理して見せるんじゃなくて,普通にがんばって100%に近いものを,お客さんには観てもらいたいですが.)
そんなこんなで,毎日朝から昼過ぎまでは時間があったんだけれど,ほぼホテルから外に出ず.というか,車がないと何もで出来ない.Santa Barbaraの街は映画「ゾロ」の設営ロケ地だとかで,スペイン風の低層住宅が建ち並ぶ瀟洒な町らしいのだが,ホテルが郊外にあるのか街が何処にあるのか全然分からない.聞く所によると,住民の80%くらいは,金持ちのリタイア老人らしい.物価も,他に比べてバカッ高.僕の見聞きしたほんのわずかな事柄からの印象としては,この地域全体が高級老人ホームと研究施設の集合体.こんな所にゃ,住みたくない.
そして,またまた1回公演の本番が終わって,バラシてその夜にRiversideに移動.車で2時間半くらいだったかな.今度は,UC RiversideのUniversity Theaterで公演.1日仕込みで翌1日1回公演.ベルトコンベアーに乗ってるみたいですな.
夜中2時過ぎに宿泊先に着くが,今回は学生寮というか,大学の宿泊施設で,普通のホテルじゃない.到着が遅いので,チェックインのやり方をあらかじめ,メールで教えてもらっていたのだが,それによると,何時に着く事になっても玄関先のインターフォンの下の赤いemergencyボタンのようなものを人がでるまで押して,誰か答えたら「I NEED CHECK IN !!!」と叫べと書いてある...何かめちゃくちゃだなと思いはしたが,まあその通りにすると,数分後に胸に「Geek !」と書いた気の良さそうな東洋人の眼鏡君がとことこ出てきて,無事チェックイン.
はあやれやれとベットに潜り込み,翌日(もう同日朝だが)の仕込みは10時からなので少しは眠れるなぁと熟睡していたら,朝8時にこのツアーのオーガナイザーアシスタントのジャッキーから,つまらない電話がかかってきてたたき起こされる.
まだ会った事はないが,こいつ絶対バカだ.(ひとの悪口は,そのうち自分に返ってくると思うのですが...あまり溜めておくのも,精神衛生上よくないので,ちょこっと書いておこう.
写真は,Santa Barbaraのホテルの庭.カリフォルニアの青い空.Campbell Hallの外観.そして客席だけど,これは終演後ではありません,14時に授業が終わったところで,これから僕等は仕込み開始.
そして,初めて見た脚立.A ladderというのだそう.そのまんまの名前.
UC_Riverside – San Francisco
Riversideの公演も終了し,遂に最終地San Franciscoに到着.
Riversideは何というか,これまでの大学の中では一番お馬鹿な大学っぽくって,好感が持てました.
学生の幅が広いというか,ピンからキリまでいる感じ.これまでのところは,カラーが(肌の色じゃなくて)あまりにも単一で一定レベル以上で幅が無い感じだったけれど,ここはそうでもなかった.
まあ,キャンパス内をふらふらしている学生の数が,ただ単に多かっただけかもしれないけれど...でも,みんなのびのびしてる感じがしました.まあ2日間程度,しかもほとんど劇場内の滞在だったので,適当な事しかいえません.それにしても,Riversideでも学生の半分くらいはアジア系.何でしょね,アメリカの大学は,アジア系の学生を海外から受け入れる事で,大学の寿命を延命しているのか,もしくは,アメリカの人口比率でアジア系の占める割合が飛躍的に増えているのか.
とにかくまあ,Riversideも無事公演終了.
そして,かなり学習の成果が上がったのか,さしたる混乱もなく,空港のチェックインカウンターで大荷物を預ける事に成功し,LA空港を発って一路San Franciscoへ.
いやぁ都会です.ツアー2ヶ所目のSeattleの劇場は,大学キャンパス内でダウンタウンから相当離れたところだったけれど,今回はYerba Buena Centerなので,おそらくはSFのダウンタウン直下,向かいはSF MOMA.久々に行くあてもなく街に溜まっている,学生じゃない若者を見る.そう,今までの公演地では,若者といえばほぼ学生,大人はみんな先生か事務員さん,みたいな世界だったので,すっかり忘れてましたこういう空気.ここには山ほどのホームレスや鬱屈した若者や,バリバリ稼いでそうな小綺麗な人達,いろんな肌の色と言葉とファッションがごちゃごちゃになってます.
Yerba Buena Center for the Artsのテクニカルスタッフも,かなり個性的な面々.仕込み初日が済んで分かったんだけど,頼りになる人達です.
そして,ここは食べ物が美味しい(高いけど).それに,わりと適量なところが多い.
今回改めて実感したけれど,合州国内の食べ物屋で盛りつける量を,人が食べるべき適量に減らすだけで,地球温暖化も飢餓に苦しむ人々もエネルギー不足も解決できるんじゃないだろうか?それくらい,僕にとっては尋常じゃない量が一人前として出てくるし,結構みんな平気で残している.まあ,学生なんかは,ドギーバックをもらって持ち帰っていたけれど...
あと,いろいろ廻った大学の全ての学食で,使い捨ての食器とスプーンやフォークが使われていた.おそらく経済的には,食器等を洗って使い回すよりも,そのほうが安いんだろうし,食洗機なんかを使い出したら,ひょっとしたら洗う方が余計にエネルギーを使うのかもしれない.でもね,学食でベルトコンベアー式に食物を皿に盛られて,食べ終わったら食べ残しごとお皿をごみ箱にポイ,というのを毎日繰り返していたら,それは相当ダメな状況だと思うのだが,いかがなものか.
もちろん,日本でだって,コンビニでは時間刻みでお握りやお弁当を捨てているし,割り箸だって使い捨てで,アメリカはあからさまにそういうのが見えているだけなのかもしれない.だけど,どう考えたってまともじゃない.
写真は,好感度の高いUC riversideのキャンパスと,劇場の外観・舞台.
San Francisco/Yerba Buena Center for the Arts
ついに!というか,やっと...というか,いよいよSan Francisco公演最終日,一ヶ月間のツアーの終わりにきて,とてもコンディションの良い劇場で公演できている.周りには,学生のいい加減なスタッフなんて一人もいない.気持ち良く仕事してます.
90年代のはじめ頃に,ダムの作品展示でSan Francisco MOMAに来ているはずなんだけど,何一つ覚えていない.もしくは,SF MOMAの周りがまったく変わってしまったようで,ひとつとして見覚えのあるところが無い.
まあ,今回の会場でありSF MOMAの向かいにあるYerba Buena Center for the Artsも,93年だか94年だかに建ったらしいので,前に来た時はまったく違う景色だったのだろう.
そのSF MOMAでは,Ólafur Elíassonの大きな展覧会をやっていた.多くの作品は03年のベネチアビエンナーレ・デンマークパビリオンで観たものだったけれど,やはりどれも素晴らしい.03年以降の作品も交えて,興味深い作品の多い展覧会でした.サイトスペシフィックな作品の多いアーティストらしいので,できればどこかの建築用に作り込んだ作品を,そのうち現地で観てみたいなぁ.
あと,ホテルから劇場へ行く道の途中に,どうやらリベスキンドらしい建築中の建物があって,表示を見ると「Jewish contemporary museum」だった.何だか,いっぱい建ててますな.まあそれが仕事なんでしょうが.
写真は,Yerba Buena Center for the Artsの劇場舞台部外観と内側.SF MOMAとリベスキンドらしき建築中のミュージアム.