@NY

昨日から「true」公演のためにNY入り.
折しも今日は,大統領選投票日.今こちらは夜23時過ぎで,TVをつけると,聞こえてくるのはOBAMA,OBAMAと,どうもオバマの勝利は確実みたい.McCAINの勝っている州もあるのに,アナウンサーの口からは,McCAINの名前はほとんど出てこない.
でも,NYの街中にいる限り,そんなに熱狂的な,例えばサッカーのワールドカップの時のような,大騒ぎは見受けられない.TVをつけると,何処かに物凄い人数が集まって,開票結果を固唾を呑んで見守っているのが映るのだけど,ホテルの窓から見る限り街は普段と変わりない.
でもまあ,そうは言っても,今日のセットアップは,選挙結果が気になるから早く帰りたい,という事で20時過ぎには終わったから,やっぱりみんな関心があるのは間違いない.何たって,国民が直接投票して選ぶんだからなぁ.
しかし,史上初のアフロ・アメリカンの大統領,もしくは初の有色人種の米大統領というのは,めでたいとは思うけれど,こんな莫大な負の遺産をブッシュ政権から譲り受けて,何とかなるんだろうか?
忘れっぽい民衆の記憶の中で,いつの間にか「やっぱ黒人の大統領なんてダメじゃん」と,全ての責任を押し付けられて,一期で消えていかない事を祈るばかりだ.大統領になった後で,「俺の政策がうまく行かないのは,みんな前ブッシュのバカのせいだ」なんて言っても,誰も納得はしないだろうし...
「true」@NY公演は,舞台の天井高4mという,今まで経験した事のないような条件下での公演.でも,現場での10日間の準備期間をもらい,リクエストどおりの音響システムも長期間借りてもらい,しかも舞台装置の建築足場は,天井高が低くて入らないからと,普通はレンタルするものをわざわざ購入して足を切ってもらうという,なかなか恵まれた公演でもある.契約はずいぶん前だとはいえ,こんなに経済が悪化している時に,きちんと対応してもらえるのは,ありがたい話だ.
舞台は,組み上げてみると,それなりの格好はついてきている.もちろん,オリジナルの舞台とは,見た目も受ける印象もずいぶんと違ったものになるだろうが,きっとこれはこれで面白いモノになるという確信じみたものはある.何より,普段のJapanSocietyの舞台を知っている人が見に来たら,その変わりようだけでも楽しめる事だろう.
さて,仕込みは明日まで.明後日からは,久々に腰を落ち着けて「true」のアップデート.ニュージャージーでのダム公演から東京に戻りDAF2008,その後京都での休憩を経て,山口でYCAM開館5周年をお祝いして,とってかえしたNY.楽しんでいきましょう.

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true in NYC 081108

trueのクリエーション/アップデートが続くが,みんな時差ボケに悩んでいる.
僕はどちらかというと,日本に居た10日間の方が時差ボケがひどくて,こちらに来てからだんだんと回復している様子なのだけれど,二徹や三徹夜くらい何ともないはずの他のみんなが,夜19時を過ぎるともう眠くてたまらない様子.
でも,とりあえず,今回一番の懸案だった「社会」のシーンは,そうそうにかなり再編集された音が出来てきて,振り付けが進んでいる.
音も照明も,一度データを変えればそれは定着するけれど,人体はそうはいかない.それに,明確に出来る事と出来ない事がわかるテクニカルに比べて,身体の動きはやってみないと当事者にも分からない,という事がパフォーマーにはある.ほとんどの事が,コンピューターを介してプログラマブルにできるようになった今,それでも人体を介したパフォーマンスが面白いのは,コンピューターを使う「ヒト」自体が,一番制御し難いモノだからと思う.
(でも,その人体の文字通り「顔」である顔面の表情筋をコントロールして見せている,true_音響・振動・システムデザイン・プログラミング担当のM鍋氏のYouTube動画は,ただいまホットに物凄いアクセスを記録している.http://jp.youtube.com/watch?v=YxdlYFCp5Ic
まあ,だからといって,今のところ本人にすごく良い事があったというわけでは無いようなので,誰か彼に幸せを運んであげて下さい...大きなお世話かもしれないけれど...)
明日の日曜は,今回唯一のオフ.もともとは休みじゃなかったんだけれど,NYC滞在という事で,そんなにぎちぎちに詰めればいいというものでもなさそうなので,休みになりました.この機会に面白いものを観れて,次にいかせればいいのだけれど...いまのNYCが,そんなにわくわくするほど面白いのかどうか,僕には分からない.ホテルと劇場以外,何処にも行っていないんだから,分からなくて当たり前か.
で,それでもやはり眠らないNYCというのは健在らしく,時差ボケで眼が明いた夜明け前5時過ぎでも,ホテルの向かいのビル群の明かりは煌々と灯っている.まあ,点けっ放しで帰るんだろうけど,朝7時頃にカーテンを開けると,もう向かいには人影が見えたりするから,本当に忙しい街なのだ.車のクラクションも,気にしだせばずっと響いてるし...

Nyc_night

そんな中,水曜の午前中は,Japan Society向かいの公園には,市が立っていた.たぶんニュージャージーからの,新鮮な野菜や果物,蜂蜜やオーガニックフードの屋台が出ていて,思わず買い求めた,しっとりとしたアップルケーキが,とても美味しかった.
あと,たぶんカリフラワー/ブロッコリーの亜種だと思うが,見慣れない野菜があって驚いた.何処かアジアの小国だとか,南アメリカなんかもそうだけど,市に行けば必ず見た事も無い野菜と出会うが,NYのど真ん中でも知らないものはあるのだ.
Strange_vegetable_01Strange_vegetable_02

そして,trueの進行状況.
なんだか,わざわざトリミングしたみたいに,映像が横長で上下切れてます.実際もこんな感じなのですが,でもそれで,作品の何処がマイナスなのかというと,照明灯体が目に入って眩しいという以外,さしたる違いは有りません.
こんなtrueが観れるのは,たぶん今回のみなので,皆さんお誘いあわせの上,是非おいで下さい.
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お待ちしています.

Various places

NYでのtrue公演は,無事に終了.
10日間のアップデート期間があったが故に,かえってパフォーマーには,ぎりぎりまでの変更で,過度な負担を本番でかけてしまったと思うけれど,公演自体はよくできたと思う.
経済は大変な状況で,しかもオバマ氏の大統領選出など,劇場に足を運んでるどころじゃないようなエキサイティングな時期だったのに,回を重ねる毎に(といってもたった3回だけれど),お客さんも増えていって,やっていて嬉しかった.
写真を見ると,やはり小さな空間だなあと思うけれど,たぶん始めて観るお客さんは,無理やりセットを空間に押し込めたような印象は持たなかったんじゃないかと思う.それだけまあ,空間にあわせてカスタマイズできたと...ひとえに,無理なオーダーをきいていただいた,JapanSocietyのおかげです.
また,何人か,古い友人にも会えたし,何よりNYの街自体に,すごく久しぶりに滞在したので,とても懐かしくもあった.ダムの最初の国外公演は,まさにこのNYのPS122という小劇場で,僕はまだ見習いみたいな立場でそのツアーに付いて行って,公演が終わってからもしばらく残って,ウロウロしていたのでした.もう20年も前の話だ...
そして,いったん帰国.3日ほど京都で休んでから,「lost」公演の為に山口湯田温泉へ.
「lost」は,ポータブルさが売り物だけに,今までにかなり変な公演歴をたどっている.
茅野市民館内の美術館>ハノイのオーケストラ練習場>別府温泉の商店街>有明パナソニックスタジオでのDAF東京>山口湯田温泉でのYCAM企画美術展オープニング,という流れだ.
今回は,この寒いのに何と野外!中原中也館前庭横の駐車場での特設ステージ.庭にはUVAのLEDポールのインスタレーションが立ち並んでいて,その点灯式が展覧会のオープニングセレモニーで,その後続いて「lost」を観てもらう.
市の関係者の人などが多くて,何といっても11月末の夜の野外,27分の作品といえども,寒くてどのくらいの人が最後まで観てくれるのかと心配したけれど,意外に?というのもおかしいけれど,皆さん最後まで楽しんでいただいた様子.
その後の,展覧会オープニングレセプションの会場でも,積極的に感想など話しかけていただいて,なかなかどうして,山口市の包容力というか,侮りがたしです.
もう時差ボケだかどうなってんだか分からない体調で,デジカメを持っていくのを忘れてしまったのが悔やまれる.しかし,朝晩と温泉につかって,疲れはかなりとれました.
で,京都に戻ったら,ちょうど娘の保育園の秋祭り打ち上げというのがあって,小さめの居酒屋ながら,店一軒丸ごと保育園スミレ組の父ちゃん母ちゃん子供でいっぱい,という中に突入.居酒屋の店長さんが,けっこう面倒見が良くて,カウンターに4〜5歳児ごっちゃり鈴なりというのを横目に,お茶をすする.実は翌日,ダムのツアーでフランスに行くので,まだ何だかんだと準備があって,お酒を飲んでリラックスというわけにはいかなかった.
そういえば,NY終了時,たぶん生まれて始めて集合時間を寝過ごした.しかも8時半ロビー集合という,そんなに無理のない設定.前夜,簡単な打ち上げをして,部屋に戻ってパッキングしながら,残っていたビールを2本空けた辺りまでは覚えているのだけれど,次に気が付いたら,ドアはガンガンノックされてるし,携帯は鳴ってるし,頭もガンガンしてるし,部屋の電気もつけっ放し.何とかまあ,フライトには間に合ったけど,かなりショック.
というのもあって,少々お酒を警戒しつつ,荷物をlost仕様からダム+Monochrome Circusの「怪物」公演仕様に切り替えて,翌朝関空へ.
エールフランスでフランス北東国境近くのMulhouseへ向かう.と,今度はエンジントラブルで,AF機の出発が2時間遅れて,機内で缶詰め.CDG空港でのトランジットが3時間ほどあったので,乗り継ぎに支障はなかったけれど,もしあれが飛ばなかったらと思うと,少々冷や汗モノ.
Mulhouseに同日夜中近くに到着し,翌朝から2日仕込みで続いて本番2日というスケジュールだったのだ.
なので,まあ無事に着いて良かったと,翌朝眠い目を擦りながら劇場に行くと,何と日本から送った機材が届かない.前夜,空港から町に向かう時にもかなり雪を目にしたのだが,けっこうな寒さなのだこの辺り.それで,輸送トラックが,何処かの峠で雪でスタック,朝8時半には劇場に着く予定が半日以上の遅れ.
劇場は,客席1000人程度と大きなところだが,意外にけっこう使いやすい.年に何度,この席が全て埋まるのかと,疑問に思わないではないが,「大き過ぎる」以外の劇場の仕様は,細かなところまで配慮されていて,建築家のエゴより気遣いの方が多く感じられる設計で,いろいろな公演にちゃんと対応できるような印象.劇場の事が分かってる建築家さんの設計なんでしょう.その辺り,フランスは結構ちゃんとしてる.
写真は,true@NYと,終演後,テーブル内部見学に群がる友人知人.

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MulhouseのLa Filature内,大劇場.仕込み開始時,パフォーマーの場当たり,終わりの挨拶.まあ,一箇所目,無事に終了.

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