Think about the hotel

MulhouseからLe Havreに移動.
今回のツアーは,よほど乗り物運に恵まれていないのか,MulhouseからParisまでのフライトは,問題なく飛んだものの,CDG空港からLe Havreに向かうバスが,途中でどうも様子がおかしくなる.うとうとしていたので,どの辺りからおかしくなったのか分からないが,道中後半は制限時速100キロ程度の高速を,ぜいぜい息を切らしながら60キロほどで走っていた模様.でも,何とか止まってしまう事なく,夕刻にはLe Havreに着いた.
「ル・アーヴルの第2次世界大戦後の再建計画は都市計画の伝統と近代の建築・技術・都市計画の発展の先駆的試行における統合の顕著な例である。」
「ル・アーヴルは組み立て式の工法と形式・基準寸法の機能的利用・コンクリートの革新的使用に基づく都市計画・建築の顕著な第2次世界大戦後の例である。」
との理由で,世界遺産に指定されている町ですが,今の時期,天気悪くて寒くて太陽の出てる時間少ないです.調べてみると,今日の日の出は08:39で,日の入りは17:08.とにかく,朝8時に起きても,まだ窓の外は暗い.
そんな中,幸せな事に,ホテルはなかなか居心地が良い.しかも,次の公演仕込みまで,3日間のオフ.(今頃,Voyageのセット・機材は,Mulhouseから峠を越えて,トラックで運ばれているはず.)
しかも,さすが海の傍,牡蛎も魚も美味しい!
ホテルの部屋は,そんなにだだっ広くないものの,入り口と部屋の間にちょっとしたエントランスがあって,そこに浴室とクローゼットがある.なので,ホテルの廊下からドアを開けても,寝室に入るには,もう一枚ドアがあって,それが結構プライベートな感じで良い.部屋のインテリアも,すっごく高級な訳ではないけど,ちゃんとデザインされている.
最初は,まともな机が無いのが不満だったんだけど,後の写真にあるように,ベットを跨ぐように,ちょっと病院っぽいともいえる棚みたいな机があって,これがなかなか使い勝手が良い.ずっと暮らす自室にあると,上にどんどんモノが積もっていってどうにもならなくなりそうだが,一週間程度の滞在だと,かえって部屋を広く使えて暮らしやすいかもしれない.
それに,久々にバスタブもあるし,ネットはちゃんと繋がるし,この機会にゆっくりしながら,溜まっていた図面仕事などを少し片づける.
ちなみに,窓の外にはこれから公演する劇場が見える.オスカー・ニーマイヤー設計「Le Volcan」.何で劇場が「火山」なんて名前なんだろうと不思議に思ってたんだが,実際に見たら一目瞭然.大劇場と小劇場があります.まだ中には入っていないけれど,窓の外を見ても楽しい.
それで,部屋でうとうとしつつ,これまでにツアーでまわったホテルの事をつらつら思い出しつつ,ランク付けしてみた.
ダントツで良かったのは,セビリアのPatios De La Alameda.
仕事で行っているので,基本的には寝れればいいようなもんだが,ここは建物の中に入るだけでずいぶん幸せな気持ちになれた.ダムと,それからRCの公演でも泊まったので,一度だけの印象じゃない.僕は,セビリアの街がかなり好きだけれど,その半分くらいは,このホテルに滞在していたせいかもしれない.
部屋での仕事のしやすさというか,ホテルのサービスなどのソフト面とハードの充実だと,アメリカ・ポートランドのThe Heathman Hotelが,すごく記憶に残っている.ずいぶん前なので,細かな所までは覚えてないんだけど,ベットルームと別に,使いやすい机のある部屋で,気持ち良く過ごした.
面白かったホテルは,LAのThe Standard Downtown LA.正式にはStandardのロゴが,上下逆さに逆立ちしている.デザイナーズホテルの極みみたいなもんで,僕がのぞきに行ったメンバーの部屋は,ひとつとして同じじゃ無かった.その全部が,Not Standard.
ついでに書くと,プライベートで行ったところでは,バリ島のウブドゥのAlam Indahが,価格とロケーションを考えると,とても良かったかな.
でも,インド北部のチベット文化圏Ladakhの街Lehで,数週間ベースにしていた,今はもう名前を忘れてしまったゲストハウスも,そこからの景色は忘れがたい.ペントハウスで(といっても3階建てくらいだけど),屋上にはその部屋しかなかったので,三方がガラス窓でもかなりプライベートな環境で,部屋の中から窓越しにも,深い青色の空とそそり立つ山々が見えた.夜は,空が星で埋まっていた.
シャワーも満足に無いような宿だったけれど,いつかまた行けるものなら再訪したいもんだ.
写真は,Le Havreのホテルの部屋と,その窓から見えるLe Volcanの威容.

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Le_volcan_01Le_volcan_02Le_volcan_03

Finish, Travel and her birthday 2008

Le Havreでの公演終了.一回だけの公演で,照明のフォーカスにちょっと手間取った事もあって,仕込み1日目・2日目そして本番で続けてバラシと,バタバタと過ぎていった感はあるが,その前に3日間も休みがあったし,何よりお客さんがかなり来てくれたので(実数はちゃんと知らないが,パッと見800人位.1200の客席の両側を,見切れで切ってました),充実した滞在でした.
天気は悪かったけど,冬に来れたのは,食べ物の美味しさからいえば正解だったかも.
劇場は,見かけの異様さも含めて,まさに「昔の未来」.結構設備もくたびれていたけれど,そんな中,ちゃんとシンクが付いていて,ソファーなんかも置いてある休憩室(グリーン・ルーム)は,なかなかお洒落で快適でした.
変な所もいっぱいあったけど,基本的な設計は,わりとちゃんとしているのだ.惜しむらくは,何だか全体的にくたびれてきている.たぶん,管理とかメンテナンスがもっと行き届いていれば,抜群に良い劇場なんだろうけれど,人も設備も新陳代謝が衰えている感じ.
そして,僕は翌日,別の公演のために一人Saint Brieucへ向かう.地図でみると,Le HavreからSaint Brieucは,海岸線をたどって行けそうなんだけど,だがしかし,送られてきた列車のチケットはパリ経由.Le HavreからSaint Brieucへの距離を仮に100とすると,80くらいの距離にあるパリまで戻り,それから,140位の距離を走ってSaint Brieucに着く.
しかもパリでは,重い荷物をゴロゴロ転がして,St LazareからMontparnasseに地下鉄で移動.前夜の打ち上げ+メンバー数名の誕生会もあって,ふらふらした足取りの僕には,かなりきつい行程.
ちなみに,ダムのメンバーの2人は同年同日の誕生日で,しかもそれがウチの娘と同じ日(正確には,ウチの娘が,同じ12月6日生まれ).
皆さん,おめでとうございます.ウチの娘さん,スマン,お祝いできなくて...そういえば,彼女が生まれた時も,パリで公演中でした.
家人にも,いろいろ無理言ってます.
で,何の話しかというと,ちょうどハブ空港の話を読んでいたのだが,別段その発想は新しいものではないんだなと,日本に居ると,まさに網の目のように張り巡らされた交通網が標準的なものに思えるけれど,フランスだと,都市設計から鉄道網まで,スター型というか自転車のスポークとそれをまとめるハブ方式.FedExがサービスを始めた時に,アメリカの何処かの空港をハブにして,画期的な物流システムを開発したみたいに宣伝していた記憶があるが,なんの事はない昔からあるシステムなんだ.
それで,パリというでっかい丸に,各スポークが刺さるように幾つも駅があって,そこからフランス各地に線路が延びている.
ということで,乗り換えも含めて,朝10時過ぎにLe Havreを出て,Saint Brieuc到着は夕方17時過ぎ.結構な長旅で,しかもほぼひと言もフランス語が解らないので,くたびれました.
前にも書いたかもしれないが,これだけ来ていても,僕の耳にはひと言もフランス語が入ってこない.これがスペイン語になると,結構するする聴き取れるのだが,どうも僕は視覚と繋げて音を聞くようで,基本的に読めない言葉は音も解らない.なので,韓国語も,何度聞いても単語がちゃんと言えないが,広東語やスペイン語はちょっとは頭に入る.
例えば,切符に書いてある指定席の「車両/〜号車」という単語を見て意味を理解しても,それをどう発音するのか分からず,結果何度見てもその単語をすぐ忘れる.何だかね,発音しないHとか,まともに言えたことのないRとか,子音が続いて並んでいたり,難しいですフランス語.結果,未だに数も数えられない...困ったなぁ.
写真は,Le Havreの港のランドマークになっている教会.結構凄いです.
Church_01Church_02Church_03

これは,Grand Volcanのグリーンルームや,エントランス周辺.何気なく,天井にまで文字が.
Greenroom_01Greenroom_02TheaterentranceTheaterlobby

あと,本番中に写真撮ってみました.シャッター音は,たぶんお客さんには届かなかったであろうと...
Performance

Saint Brieuc

Saint BrieucでのMonster project初海外公演終了.
残念ながら,ダンサーの都合で,一人今回は代役が立つことに.急拵えではあったけれど,それはそれで新たな作品にはなっていた.僕は,照明での参加.
今回の劇場「La Passerelle」では,6年くらい前だと思うが,ダムの公演をしている.でもその時の会場は大きい方の劇場だったんだが,今回はPetit Theatre.
この劇場,全体的に古くて,ダメな所もいっぱいあるんだが,小劇場を今回じっくり見てみると,かなりかわいい素敵な劇場だった.自分の作品を公演したいかと言われれば,なかなか難しいとは思うが,趣味で持っていたい骨董品みたいな場所ではある.
フランス人は,「イタリアン・シアター」と呼んでいたが,額縁舞台のオペラ劇場.でも,かなりちっちゃい.ちっちゃいんだけど,バルコニー席は3層つまり4階まであって,4階はかなり高くから舞台を見下ろす.
この4階が,歌舞伎で言う大向こうになっていて,ここだけ客席が極端に安い席料な造りになっている.でも,写真を見てもらえれば分かるが,その席はそれなりにしっかり造ってあるのだ.
今でも,「大向こうを唸らせる」とか,言葉としてのオオムコウは残っているけれど,実際にこんなにすごく特殊なサイトラインの,こういう席を持っている現役の劇場を見たのは,初めてだと思う.
これは凄い.安い席を作るために,建築が頑張ってるわけだ.そうでもしないと,劇場としての席数が確保出来なかった,という考え方もあるけれど,でもたぶんもう少し大きな規模の劇場を造る事だって出来たはずだ.どっちかというと,このかなり小さな劇場を造りたいという意思/欲望が,この大向こうに象徴されているような気もする.
何だかね,楽しいんですよ.気に入った演目なら,ここからの様子を観るために,もう一度チケットを買って(しかもたぶん結構安い),このバルコニー最上階から見直してみようか,という気にもなると思う.大げさに言えば,そういう劇場文化が,確かにあるという,その記憶みたいな劇場でした.
写真は,まず小劇場の天井に燦然と輝くシャンデリアと天井画,それにグランドレベルから見た舞台と,外の待ち合い.

CeilingStage_01Lounge

そして,バルコニーと大向こうの外側の様子,それに内部の席の様子.

BalconyOomukou_01Oomukou_02

そして大向こう席上手端から見た舞台.ここから今回の公演を観た人は,たぶんいないと思うけれど,もしかなうなら僕は一度観てみたい.

Stage_02_2

Season’s Greetings

皆様:
今年も大変お世話になり,ありがとうございました.
来年も,よろしくお願いします.
2008 :
true, lost (with Monochrome Circus), Voyage (dumb type),
Lighting design for Nakaya Fujiko_Fog sculpture
09_kinsei_seasons_greetings

Upcoming 2009 :
2月 : Monster Project@Angers/France (Monochrome Circus/Lighting design)
5月 : LED WorkShop@Hot Sommer in Kyoto/Kyoto/Japan
8月 : true@Tokyo/Japan
10月: true@Europe tour