Linz-Angers

Am5CdgAngersCndc

1月24日に関空からLinzへ向かって,その後26日にLinzからフランスのAngersへ.Linzは,打ち合わせ.仕事が決まったら,また詳細はのちほど.
Angersでの仕事にあわせて,Linzの打ち合わせを設定してもらったので,少しスケジュールにタイトなところがあり,大阪からLinzに飛んだ2日後に,LinzーMunichーParis CDGからTGVで3時間ほど走ってAngersまで行く強行軍.で,到着翌日は9時から仕込み.しかし,今回の公演スケジュール全体は,かなりゆるゆる.
昨年12月に続いての「Monster Project」の公演だが,今度はいよいよ作品のフランス側振付家Emmanuelle Huynhの本拠地CNDCでの公演.CNDCの詳細はまた書くとして,とにかく地元という事もあるのか,客席が100席程度と少ないせいか,公演日7日+1日オフの間に本公演が7回と,地元の小中学生を対象にした課外授業としての作品後半パートの公演が5回の,計なんと12回公演.今回の僕の仕事は,この一ヶ所だけの長期滞在.こう書くと忙しそうだが,一度仕込んでシステムが稼働すれば,僕の日々の作業としてはたかが知れている.CNDCがレジデンス用に持っている,街中のアパートのひとつに滞在しているが,ネットが通じない事を除いては,かなり居心地が良い.ネットは不便だけど,劇場に行けば通じるので,その分ウチではちょろっと料理したり,Macのメンテナンスと整理をしたり,本を読んだり,ワインを飲んだりと,半分休暇に来たような生活.これで季節が良ければ,言う事ないんだけど,残念ながら外は木枯らし冬景色.
写真は,時差ボケの朝5時窓の外,CDG空港TGV乗り場の掲示板,いかにもおフランスなAngersの街遠景とCNDC外観

Savoy cabbage

僕は,個々人のヒトに対しては,わりとうたがり深いところもあるのだけれど,押し並べてヒトの特性というか能力は,そんなに極端な差はあまり無いだろうと信じている.なので,何でも食べる.
まあ,何処に行っても,その土地のヒトが食べている物はという意味だが.ああ,そんなに偉そうな事言っても,極端な悪条件下で生きる為に仕方なく食べているものを,好奇心で食すというのは無理かもしれない...でも,内臓系とか,タガメ(虫)とか蛇とか,羊の脳みそのカレーとか,その土地の文化に育まれたものは,食した事があります.それで,美味しかったものも,ハッキリ言って僕にはまずいとしか思えなかったものもあるけれど,だからといって何ら身体に変調をきたした事はない.
加えて,どうも僕には,ちりちりとした外観のモノが美味しく見える性質があるようで,ドライトマトとかサラミなんかを見ると無条件に涎が出る.
ということで,今朝買い物に行って,芽キャベツかちりめんキャベツか迷ったものの,ちりめんキャベツをひと玉買った.だってちりちりしてるし,生の味を知らなかったので.何でああちりちりしたものは,美味しく見えるのか???
で,すごく苦い.苦いし,硬い.
欲張って外側の方まで使ったからか,もともとそういうモノなのか.美味しいオリーブオイルで,ハムと一緒に炒めても,苦いし少し青臭いし,硬いし...
意地になってトマトソースで煮込んでみても,あまり改善しない.
みんな,どうやって食べているのだ,このちりちりは?
Tiritiri

CNDC

CNDCは,Theatre Le Quaiという国立アートセンターの,一部をなしている.
CNDCとOpen Arts,そしてNTA-CDNで,Theatre Le Quaiは構成されている.
Open Artsの事は,ちゃんと説明を聞いていないので,よく分からないが,美術系のオーガナイゼーションな模様.NTA-CDNは,国立の演劇センターで,CNDCはCentre national de dance contemporaine,つまり国立コンテンポラリーダンス振り付けセンター.クリエーションの為のレジデンス施設であり,教育機関であり,発表の場/劇場でもある.
レジデンスに来た人達用のWelcome冊子によると,3つのオーガナイゼーションをあわせたスタッフ数は,写真入りで紹介されていた正規スタッフだけで76名!
先日,ぐるっと全体を案内してもらったんだけど,900席のプロセニアム劇場と,400席の20m角のキューブ状の実験劇場,そしてその400席と同じだけの容積がある,演劇創作用のスタジオとダンス創作用のスタジオがひとつずつ,それに鏡のついたいわゆる練習スタジオが複数ある.
実は,今回Moster Projectを公演しているところは,ダンス創作用のスタジオだ.それでも,100席の客席が常備されていて,そのスタジオの大きさは前述のように20m角程度でタッパもスノコまでが8m.ちなみに,400席劇場は,4方の壁全部にかなり急勾配の客席が収納されていて,平場にも様々な形態の舞台と客席の関係も組める.
しかも,900・400と創作用スタジオは,全て天井スノコが格子になっていて,上を歩いて舞台上も客席上にも自由にアクセスでき,ウインチやバトンを仕込める.900席の劇場は,舞台部のタッパが20m以上あって,ブリッジもバトンも普通以上に完備されていて,しかも上のスノコから何処にでもアクセス可能.しかもスノコ上は,普通に背を伸ばして立って歩ける.
全体的に,奇抜なデザインも目立つものの,スノコの事からもわかるように,舞台機構に関しては,テクニカルの目線に軸足を置いてよく考えられている.例えば,プロセニアム劇場の1階客席奥に,標準以上の広さの操作室があるが,そこと客席の仕切り(大きなガラス窓のついた壁)は,仕切り全体が横にスライドして開き,操作室と客席最後方は,間口3mくらいの開口で段差なく繋がる.古い劇場だと,下手をすると操作室の窓さえ開かないところがあるのに,これは非常に使いやすそう.
観客の目に留まるところだけに,過剰なお金をかけて飾り立てる事しかしない,劇場の仕事を知らないある種の建築家の仕事とは大違いだ.結局,劇場は舞台作品を創る場所でもあるのに,見せる事だけしか考えられない設計者がいるのだ.
ちょうど館内ツアーをしている時は,900席で翌日の演劇公演の明かりあわせ,400席は,たぶん演出家とセットデザイナーが,ドロップを実際に仮吊りしながら打ち合わせ中で,演劇創作用スタジオは,学生がセットを組みつつ実習中.
しかも,CNDCは,Theatre Le Quaiができる前に使っていた市内のスタジオもまだ持っていて,そこでもアメリカから招聘されたダンサーが,創作中.
それで,ダンス創作用スタジオでは,Monster Projectが,前述のように7日間12回公演で,毎回満席.昼の子供たちへの授業公演では,決して子供用に作られた訳ではないダンス作品を,まあ静かにとまでは言えないけれど,小学生たちが笑い感嘆し,時には怖がりながらちゃんと観て,その後出演者達と質問とディスカッションまでして,楽しそうに帰っていく.
Angers市内の人口は,15万7千人.郊外を合わせても27万人.京都の4分の1以下だ.
何でしょね,これがフランスの底力かな.
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