CNDC

CNDCは,Theatre Le Quaiという国立アートセンターの,一部をなしている.
CNDCとOpen Arts,そしてNTA-CDNで,Theatre Le Quaiは構成されている.
Open Artsの事は,ちゃんと説明を聞いていないので,よく分からないが,美術系のオーガナイゼーションな模様.NTA-CDNは,国立の演劇センターで,CNDCはCentre national de dance contemporaine,つまり国立コンテンポラリーダンス振り付けセンター.クリエーションの為のレジデンス施設であり,教育機関であり,発表の場/劇場でもある.
レジデンスに来た人達用のWelcome冊子によると,3つのオーガナイゼーションをあわせたスタッフ数は,写真入りで紹介されていた正規スタッフだけで76名!
先日,ぐるっと全体を案内してもらったんだけど,900席のプロセニアム劇場と,400席の20m角のキューブ状の実験劇場,そしてその400席と同じだけの容積がある,演劇創作用のスタジオとダンス創作用のスタジオがひとつずつ,それに鏡のついたいわゆる練習スタジオが複数ある.
実は,今回Moster Projectを公演しているところは,ダンス創作用のスタジオだ.それでも,100席の客席が常備されていて,そのスタジオの大きさは前述のように20m角程度でタッパもスノコまでが8m.ちなみに,400席劇場は,4方の壁全部にかなり急勾配の客席が収納されていて,平場にも様々な形態の舞台と客席の関係も組める.
しかも,900・400と創作用スタジオは,全て天井スノコが格子になっていて,上を歩いて舞台上も客席上にも自由にアクセスでき,ウインチやバトンを仕込める.900席の劇場は,舞台部のタッパが20m以上あって,ブリッジもバトンも普通以上に完備されていて,しかも上のスノコから何処にでもアクセス可能.しかもスノコ上は,普通に背を伸ばして立って歩ける.
全体的に,奇抜なデザインも目立つものの,スノコの事からもわかるように,舞台機構に関しては,テクニカルの目線に軸足を置いてよく考えられている.例えば,プロセニアム劇場の1階客席奥に,標準以上の広さの操作室があるが,そこと客席の仕切り(大きなガラス窓のついた壁)は,仕切り全体が横にスライドして開き,操作室と客席最後方は,間口3mくらいの開口で段差なく繋がる.古い劇場だと,下手をすると操作室の窓さえ開かないところがあるのに,これは非常に使いやすそう.
観客の目に留まるところだけに,過剰なお金をかけて飾り立てる事しかしない,劇場の仕事を知らないある種の建築家の仕事とは大違いだ.結局,劇場は舞台作品を創る場所でもあるのに,見せる事だけしか考えられない設計者がいるのだ.
ちょうど館内ツアーをしている時は,900席で翌日の演劇公演の明かりあわせ,400席は,たぶん演出家とセットデザイナーが,ドロップを実際に仮吊りしながら打ち合わせ中で,演劇創作用スタジオは,学生がセットを組みつつ実習中.
しかも,CNDCは,Theatre Le Quaiができる前に使っていた市内のスタジオもまだ持っていて,そこでもアメリカから招聘されたダンサーが,創作中.
それで,ダンス創作用スタジオでは,Monster Projectが,前述のように7日間12回公演で,毎回満席.昼の子供たちへの授業公演では,決して子供用に作られた訳ではないダンス作品を,まあ静かにとまでは言えないけれど,小学生たちが笑い感嘆し,時には怖がりながらちゃんと観て,その後出演者達と質問とディスカッションまでして,楽しそうに帰っていく.
Angers市内の人口は,15万7千人.郊外を合わせても27万人.京都の4分の1以下だ.
何でしょね,これがフランスの底力かな.
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