Brazilian tour ended from continuous crisis

今回のブラジルツアーは,はなっから綱渡りの連続.それでも,最終的に何とかなってしまうところが,この国の良さというか,だから学習しないの?というか...
まずは,ヴィザ.
毎回,いろんなカンパニーが必ずもめてアタフタする.数えきれないほど同じような状況に陥っているだろうに,何ヶ月も前から急かしていたのに,東京出発組の労働ヴィザが降りてパスポートを受け取ったのが出発当日の午前中.関西組は,名古屋の領事館発行で,出発前日に手元に届く.
もちろん,届いて良かった!でも,なんで,やっぱりこんなにギリギリなの.
そして私は,イパネマ海岸で,海パン一丁で茫然自失.
でも,改めて思うけれど,コンピューターが無事で,パスポートが無事で,身体にも何一つ怪我もせず,仕込みも公演も,何の支障もなくて良かった!
いやホント,仕込み初日にコンタクトをはめて劇場に戻ったら,何の事はないまだ劇場の舞台と客席を作り直している最中.つまり,作業的には零以下.
僕がいてもいなくても,問題は無い感じでした.日本から参加してくれたスタッフが,少々手持ちぶたさな感じで,劇場スタッフのお尻を叩いてたのでした.
次は,ブラジル到着数日後.イパネマの災難もちょっと癒え,仕込みもリハも順調なある朝.
起きてベッド脇のサイドテーブルの目覚ましを持ち上げると,なぜか底がびちょびちょ.??? その時には出来ていた新しい眼鏡をかけてみると,どうもサイドテーブルの天板がキラキラ.その真ん中に,宿のキッチンから持って来た背の高いプラスチックのコップがある.
そうだ,昨夜結構酔って帰って,台所でウォータークーラの水を入れ,ぐびぐび呑んで残りを入れたままそこに置いた...
天板の上には,3冊の本.その一番下の漫画,西原理恵子先生の「できるかなEX」が,見た目はっきりブヨブヨしている.そして,サイドテーブル2段目からはMacBook Proの上面がはみ出して,そこにはどう見ても透明なH2Oが微妙に溜まっている!
原因は,プラコップが明らかにひび割れていた.捨てろよ!そんなコップ.
僕が呑み残した水は,夜中じゅうかかって天板上面に広がり,西原センセの漫画をブヨブヨにしたのみならずそこから下に滴って,Macの上面と回り込んで底もかなり湿っぽい.
どうすんだよぉ.と文句を言っても始まらないが,Macはスリープ状態で前面の白色ダイオードがゆっくりウインクしている.とにかくまわりを拭いて,神仏は信じないものの何かにすがる気持ちで恐る恐る蓋を開けてエンターキーを一打すると,うぃぃい〜んと目覚めの音を発して画面が馴染みのディスクトップになったかと思うと,ぷっといきなり画面が真っ暗に!あわわわっわわわわわわわっっわ!
落ち着け,相手は水だ,H2Oだ,無色透明乾けば何の痕跡も残さない.
ずいぶん前に,確かM鍋氏が同じような事になって,その時は僕は何してんだかって鼻で笑って,でも翌日には「乾かしたら直りました」とふざけた事を言っていて,そんなまあとても都合の良いと思ったけれど,とにかく速攻でバッテリーをはずし,蓋を90度開いてHDD側を上にして立て,そこに全力最大風速で扇風機を向ける.
前に,HDDの換装をしたので,だいたいMacの中身は覚えている.僕のマシンはわりと古いので,電源と同じ側にHDDが位置している.とにかくデータが無事なら何とかなる.
それにしても,ここ数日のうちにダムのギリシャ/アテネ公演とフランス/カンヌ公演の図面を仕上げないと,サンパウロでの「true」公演が終わったら,その足でギリシャに向かうのだ!
そのまま扇風機フル稼働で約1日.翌朝祈るような気持ちでバッテリーをはめ,起動一発,MacBook Proさま見事ご生還.
コツは,いい感じで蓋を開け,内蔵ファンの排気口からバッテリーをはずした裏面に向けて,うまく風を送り込む事かも.
Macびちょびちょに濡れても,乾いたら動きます.
そしてリオの公演も無事終わり,僕等はサンパウロへ飛行機で移動.
到着翌日はほぼオフで,夜10時にリオから到着するトラックを待って搬入.
会場のSESC Pinheirosは劇場も立派で,大きな複合施設なので,搬入だって楽勝でしょうと鼻歌交じりで出かけたら,あらびっくり劇場の地下4階まで通じるエレベーターはどう見ても僕等の貨物の一番小さい箱がやっと載るかどうか,あとは駐車場の通路,よくあるグルグル螺旋に降りて行く道,しかもところどころにスピード出し過ぎ防止にわざわざ凸凹が作ってある坂道をぐるぐるぐるぐる地下4階まで行かなければいけない.
現地受け入れ側プロデューサーのペドロ氏も,通路の事は知っていたのかどうか,でもこちらの貨物の大きさはまったく把握しておらず(テックライダーの最初に書いてあるのに!),機材の箱の大きさを見てちょっと腰が引けている.
前の公演の搬出とダブりながら,約束の30分後ぐらいにようやく集まってきた搬入要員は,どう見ても60過ぎの白髪のおじいちゃんまで交じっていて,こんな夜中に1個600kg弱のフライトケースを計3個,地下4階までスロープを転がして降りて行けるようには見えなくて,その時はもう夜中23時.
そこにどこからか現れたのが,1台のフォークリフトとなかなか頼もしげなおっちゃん.何で,夜中におっちゃんがフォークリフトで?散歩?...
これがまた地獄に仏,フォークの名人.600kg弱の箱をフォークで差して,バックで搬入経路をグルグル降りて行く.しかもこのフォークリフトが優れもので,全部のフォークがそうなのかどうか知らないけれど,貨物を差したままフォークが左右にも動く.上下左右微妙に貨物位置を調整しながらほぼ通路幅一杯の貨物と共にグルグルグルグル,あっという間に一番重い箱を地下4階まで降ろしてくれた.
ありがとう,おっちゃん男前.
そして昨晩,サンパウロでの2日間仕込み後の2日計2回公演が無事終了.
客席が一杯でなかったのはちょっと残念だけど,お客さんの反応はとても良く,公演後わざわざオペブースにきて声をかけてくれる人も続出.公演の内容も,これまでのベストと言ってもいいかも知れない.
なにより,音響機材が充実していて,すごく音が良かった.ただし,配線やセットアップがいい加減だったみたいで,音響のF原さんがほぼ2日かかって全面的に繋ぎ直して調整し直していた.
みなさまゴクロウサマです.良い公演でした.
僕は,T氏とF原さんと一緒に,明日アテネに移動.
月曜からは,アテネでダムのVoyage仕込み開始.

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