今日は,webサイトのアップデートのお知らせです.
8月の東京公演を控えて,「true/本当のこと」のサイトを,大々的にリニューアルしました.
もともとの構想は,それこそ07年のパフォーマンスを創っていた頃からあったのですが,ようやく出来上がりました.
trueで映像等を担当してくれている,ライゾマティクス_堀井君の力作です.堀井君や各メンバーの紹介は,trueサイトのCREDITSから確認して下さい.
http://www.true.gr.jp/
フロントページに飛んでいる単語群をクリックすると,パフォーマンスに関係した言葉や写真や動画が呼び出されます.
単語以外のところをクリックしつつ,カーソル/矢印を画面下から上に動かすと,単語の飛んでいる空間の奥に進めます.上から下だと,手前に戻ります.
各コンテンツに入ると,矢印に「X」マークが付いてくるようになるので,それを押せばまたフロントに戻ります.
ほぼ和英バイリンガルで,かなりのボリュームです.
FLASH_ver.10が入っていないと見れないのが難点ですが,みなさまぜひFLASH10に対応して,中を探査してみて下さい!
One year passed
そうか,ババさんの一周忌だ.
ご冥福をお祈りします.
死に目にも会えなくて,お通夜やお葬式にも行けなかったので,まだ実感がありません.
true at Setagaya Theatre Tram
あっという間に8月です.
ブログの更新ができないのは,自分に余裕がないからだということを実感しています.
困ったなぁ.
そういいつつも,「true/本当のこと」東京公演です.劇場に入るのも久々です.ギャラリーとか大学とかでLED照明は使ったりしてるのですが,劇場仕事は2月のフランス以来かも.わくわくするねぇ.
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「true/本当のこと」東京公演
会場:シアタートラム http://setagaya-pt.jp/
2009年8月
6日(木)19:30開演★a
7日(金)19:30開演★b
8日(土)15:00開演/19:30開演★c
9日(日)15:00開演
公演後,アフタートークを行います.
★a:佐々木敦(批評家・HEADZ)×藤本隆行×齋藤精一
★b:伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)×日玉浩史(ダンサー)×川口隆夫×白井剛
★c:MIKIKO(Perfume 等を手掛ける演出振付家)×真鍋大度×石橋素
http://www.true.gr.jp
問:ハイウッド tel 03-3320-7217 true.tokyo@gmail.com
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ちなみに,6日はもうほぼ売り切れました.ありがとうございます.でも,8日・9日の15時からの公演は,まだまだ余裕があります.みなさま,もしこの時期に東京に居られるなら,観に来て下さい.
そうそう,5月に受けたインタビューが,ちゃんとまとめられてwebにアップされました.しかも和英バイリンガルです.すごい.
長々と話したのをまとめてもらっているので,話し過ぎてる部分や足りないところなど,会話ではサラッと流せても文字になると気になる点はいくつかありますが,それでもこんなにきちんとまとめてもらえて,どうもありがとうございます.
http://performingarts.jp/indexj.html
このページの写真を見て,自分はひょっとしたら桂文珍師匠に似ているのでは?ちょっと思いました.
A Perfect Life at d-soko Theater by Takao Kawaguchi
true/本当のこと@トラム公演には,とても沢山の方に来ていただきました.ありがとうございます!
それで,true公演最終日翌日に,A Perfect Life仕込みの為にd-倉庫入り.なんて,チャレンジングなスケジュール.素敵.
メインのタカオちゃんも含めて関わっている全員が,昨日の初日本番で初めて作品の全容をつかむという,まあ予想通りの展開でスタートした本公演ですが,今日と明日夜のあと2回あります.
http://kawaguchitakao.com/news/index.html
trueの中で,手書きの文章をプロジェクションしているところがありますが,あの書いてある文章の中身も大事なのだけれど,手書きの思考の痕跡というか,文字を消したり加えたり,のたくったり飛んだりするのが文意と同じくらい重要で,しかもおそらくその言語のネイティヴな使用者でないと,それらが読み取れないところが面白くて,その言語を知らない人にとっては,まったく何も意味が読めない落書きでしかないのが,面白いと考えています.
なので,あのパートは各公演地の劇場の人に「個人的な色の記憶」に関して,各国で書いてもらっています.
と,何の説明かというと,その手書きの文章みたいな作品です.今回の,「川口隆夫:A Perfect Life@日暮里d-倉庫」.
もともとこのシリーズは,そういう感じの作品だと思いますが,僕が前回初めてかかわった3作目より,今回の方がそういう思考の痕跡をたどるような作品という感じが強い.
もしお近くにお住まいで,今晩か明日の晩お時間のある方,よかったら観に来て下さい.
「true/本当のこと」と,かなり違った川口隆夫が楽しめます.
LIGHTS with [ ]
ちょこっと縁があって通っている,京都造形大_空間演出デザイン3回生の,LED照明を使ったパフォーマンス作品の発表が,9月4日の夕方にあります.
http://kukan.tv/modules/news/article.php?storyid=227
3回生3チームの発表と,僕のチームの発表.
■2009年9月4日(FRI)
■OPEN-16:45 / START-17:00
■Galerie Aube(ギャラリーオーヴ)
4作品とも各10分以内.生徒の授業発表なので,無料の公演です.
僕は実は授業にかこつけて,来年度制作予定のパフォーマンスの試作をしているので,発表の最後に,Monochrome Circusのダンサー・振付の森裕子さんたちと作った10分のダンスをみせます.
LEDや秘密の小道具の椅子,それに衣装まで,いちおういま考えている要素のプロトタイプは,すべて盛り込 んであります.そして音響は,Dotsメンバーの古舘君.
お時間のある方のない方も,よろしかったらぜひ観に来て下さい.
本当は自分のパートの宣伝をしなければいけないんでしょうが,生徒の作品もなかなか侮れません.
ぶっちゃけ言ってしまえば,前は経験値が必要だった舞台照明のいろいろな要素がデジタライズされると,照明効果の部分は.経験値より感性勝負になるということだと思うのですが,その点,学生たちは結構善戦してると思います.
とりあえず,いくら言葉を尽くしても,こういうのは観ないとわからないので,4日午後5時にはぜひ造形大Galerie Aubeに!
Masa
大学の時の恩師が亡くなった,とのメールが今朝Munichから届いた.
何人もお世話になったセンセイはいるけれど,もっとも印象に残る人だった.
東京芸大を出るだか中退だかして,その頃の西ドイツに渡る.
そこで大学に入り直して,改めて絵画を学び,画家になる.
日本に戻ろうかと思ったら,たまたま京都芸大に募集があって,応募して審査を受けたら受かった.そしてここにいるのだと,彼は話していた.
僕が油画の3回だか4回だかの時だったと思う.
洛西の団地に住み,大学から与えられた教員室で旺盛に絵を描いていた.僕は,彼以外に,学校で制作していた油画の先生を知らない.
油画の学生ならヨーロッパを見てみないといけない,といって,自ら旅行会社とタイアップして,学生数十人を引き連れての,ヨーロッパツアーを企画してくれた.
今ではわりとある企画だと思うが,当時そんなことに時間を割いてくれる先生はいなかった.
いや,たぶん彼自身ヨーロッパが恋しかっただけかもしれない.
でも,彼のプランで初めて回ったヨーロッパの印象は,今も強く残っている.あのツアー以来,足を踏み入れてない街も多くある.あの時のツアープランは,たぶんなにがしか彼の記憶の結晶で,彼の見ていたヨーロッパなのだと思う.
結局僕は,彼の企画したヨーロッパツアーに参加して,帰ってきたら大学院を落ちてフリーターになっていた.
もともと就職する気はさらさらなくて,何の就活もしていなかったので当然のこと.
絵は下手だったのに,やる気と好奇心だけは旺盛だった僕に,「おまえみたいなヤツが世界に出ればいろいろ面白いかも知れないけど...」といってくれたのは結構ありがたかった.たぶんその後に続く言葉は,「でも絵は下手過ぎるから,他の道を探せ」みたいなことだったと思うのだけれど.
そんな彼は,そのまま行けば教授になるようなレールにのっていたのに,数年でさっさと京芸をやめてドイツに戻ってしまった.
詳しいことは知らないけれど,世俗的なことを理由に,自分が嫌な事や馬鹿馬鹿しいと思うことを我慢して,収入を増やしたりポジションを上げていけるような人ではなかったのだと思う.
そして,いつだったかはっきりしないのだけれど,彼がドイツに戻るというので空港まで見送りに行った.
その時のいでたちが,もうチェックインは済ませて手荷物だけの姿だったのだけれど,胸ポケットに歯ブラシさして手にはペラペラの紙袋を抱えていた.袋に何を入れていたのか覚えがないけれど,「飛行機乗るのに,別に何も要らないよ,パスポートとチケットがあればいい」と笑っていたのが記憶に焼きついている.そしてそれが,今も僕の旅のスタイルの理想像だ.
その後も彼は,定期的に日本に戻り,画廊で個展をひらいてはドイツに帰っていった.
僕は何度か,ダムの公演などでMunichに行き,タイミングが合えばパフォーマンスを観に来てもらい,それが無理でも会えるようなら食事をしたりして,そのうちメールなんかも使えるようになり,気がつけば20年以上の付き合いになっていた.
と言っても,その間に会ったのは数回だけれど...
山が好きで,ヨーロッパが好きで,古いタイプかもしれないけれどまっとうな画家で,己に正直なアーティストで,僕に世界と画家の矜持を見せてくれた人です.
たまたま9月後半からEUにtrueのツアーで行くので,先月半ばにメールを送ったところでした.その時は,文面からは具合が悪いなんて読み取れなかったのに...9月後半の予定まで書いてあって..
3~4週間くらい前から具合が悪くなって,病名はleukaemia(白血病)だそうです.ご家族がそれを知ったのは先週の金曜との事でした.
Some of you may know that Masa has been sick during the last 3 or 4 weeks. The diagnosis leukaemia we were told only last Friday shocked us. The physicians did their best but were not able to help him.
Masa died on Sept. 1st around noon having suffered a short but heavy illness.
できれば,もう一度会いたかったです.
本人にとっては,自分好きなコトをやって来たというだけかもしれませんが,それこそが僕の手本です.
ありがとうございました.
僕には,数少ない年上の友人でした.
あまりに急な話ですが,ご冥福を祈ります.
Upright two-wheel running
昨夕,6歳弱の娘が,初めて近所の公園を自転車で,補助輪無しで独立で回周した.
補助輪をはずしてからはや数ヶ月,保育園に通う彼女と共に,自転車を抱えて公園に通う時間がなかなかとれず,ようやく一緒に行った一昨日までは,まだ数メートルしか自律走行できない彼女の,やれハンドルを持てとか,後ろから押せとか,肩を持てとか側を離れるなとか,いろいろな無理難題に翻弄された.
それが,昨日公園で,危なっかしくフラフラしながら直線10mほどを走り切ったと思ったら,それからモノの数十分で,公園一周を独力で回り切った.
さらにもう数回並走した時点で,彼女は危なげにハンドルを取られても自律軌道修正し,次には余裕綽々で「父ちゃん,もう横走らんでもいいで」とのたまう.
その十数分で娘の中に起こった変化は,言語で説明は難しい.彼女は,言葉で説明できるような身体操作を,自ら意識して行ったわけではないので...
何だかね,ありきたりな言いようですが,すべての個体が奇跡というか.
娘にしても,5年10ヶ月ほど前は目に見えないほど微細な遺伝情報だった.
実際僕は,精子も卵子も単体で見た事はない.それが,環境因子の影響は絶大だとは言えるけれど,それでも僕の遺伝情報と妻の情報とをかっきり半々に合わせ持った彼女が,6年弱で自転車に乗れるまでに大きくなったというのは,単純にすごいなと思います.
だって,生まれる前は,本当に形もなかったんだから!(当たり前だけど)
Transart
イタリアのBolzanoという町で行われているTransartというフェスに,ワークショップで参加.
今回は,true_EUツアーの前ノリという形で,僕とT氏の2人でWSを行う.
T氏はヴェニスで小品の公演をして,それからBolzanoに,僕は,関空>Amsterdam>Roma>Veronaと乗り継いで,そこで迎えに来てくれていたフェスのディレクターに拾われ,夜中の高速をアベレージ180キロぐらいでぶっ飛ばして1時間半くらいかけてBolzanoに着く.
かなりの長旅で,車中ではほぼうたたね.
Bolzano周辺は,鍾乳洞がありそうな,雨に削られ切り立った山肌を見せる奇岩がにょきにょきと生えている.その斜面にはブドウ畑.麓にはリンゴ畑が広がっている.こう書くと,さながらおとぎの国っぽいけれど,そのリンゴの木がどういう品種なのか,背も低くてあまり枝も広げていないのに,あらゆる部分に無理やり実を付けているような状態で,ボコボコリンゴがなっている.しかもボロボロ地面に落ちて転がっている.
まあそれなりに落ち着いた石畳の町並みがあり,ゆっくり散歩でもできたら気持ちよさそうなところなのだが,残念ながら今回のWS会場は町から車で30分ほど離れた村に建つ,お洒落な街灯を作っているらしき会社のミーティングルーム.
この会社が独自でLED照明器具を作っていて,それを使ってWSをしてくれというお願い.機材は,それなりに明るくて,Liddellで制御した反応も悪くないけれど,何せ街灯用なので防水等作りが万全過ぎてかなり重い.今回は床置きで使ったけど,もし舞台でバトンに吊るなら,普通の舞台照明より重いくらいなので,何だか使い勝手が悪い.
あと,なぜかチャンネルの設定がRGBではなくてGRB.それでいけない理由もないが,なぜ?波長の長い順でもないし,アルファベット順でもない.イタリア語の色の名前に関係あるのかな?なので,チャンネルのパッチをいちいち変えなければいけなくて,それがちょっと面倒でした.
そして,3日間の滞在、毎日朝9時から夕方17時まで,この会社に滞在.受講生はBolzanoの大学でデザインを学ぶ学生9人とその先生2人.熱心でしかも楽しんでくれた様子.今回はT氏がフィジカル面でいろいろサポートしてくれて,WS終了後の感想でも,普段あまり身体を動かさないので,毎日最初にやるストレッチやゲーム的なエクスサイズがとても刺激になったとの声もあった.
この辺り,イタリアとはいいながら第一次大戦前まではオーストリア.
住人もイタリア系とドイツ系がいて,WSの学生グループも自然とイタリア系チームとドイツ系チームに別れていた.
で,どうも食べ物も,確かにパスタなんかも多くあるのだけれど基本は肉と芋.それにビールとワイン.特筆すべしは,パンがとても美味しい.まあこれは太れと言わんばかりの状況.
結局,美味しいイタリア料理が食べたい!と勇んで行ったレストランが一番高くてイマイチの味だった.ハウスワインは,とても美味しかったけど.
で,安くて美味しいけどオーストリア料理屋さんだよと言われたところが,ビールも料理も雰囲気も良かった.
肝心の,Transartフェスは週末ごとにイベントがある.
基本的に町の住人に対する公演なので,僕等の滞在時にはあまりイベントがなかった.
でも,グラニュラーシンタシスの片割れのKurt Hentschlager氏のFeedのリハを見せてもらったのはよかった.去年だか一昨年だかに評判になっていた作品だけど,噂に違わず思い切って突き抜けてました.まだまだいろんな事ができるなぁと感心.