true@伊丹アイホール公演、無事終了しました。
観に来て下さった方達、どうもありがとうございました!
ところで、この時期に公演が終わったばかりの僕が書くと、言い訳がましく聞こえるかもしれないが、このところの状況を受けてLED照明のことを改めて考えてみた。
舞台は基本的に虚構だけれど、観客に見せるためには莫大なエネルギーを使う。幻を現実化してみせるには、力が必要なのだ。そして、公演後はセットはゴミになり、舞台上で起こったことはほぼ記憶にしか残らない。つまり舞台は、かなり反エコで、それはまあどう言い訳のしようも無い。
その中でも、照明はかなりの電力を使う。
僕は、近年もっぱらLEDを使っているので、まったくもって公正な立場に立っているとは言いがたい。その上での発言なので、かなりLEDに依怙贔屓な言い分ととってもらって差し支えないが、とりあえず具体的な数字を使って書いてみる。
これまでも、下のようなことは考えていたのだけれど、でももう日本の劇場はインフラが整っているし、舞台照明のメーカーに関しては、数社の寡占状態にあるといってもいいと思うので、僕が何か書いてもどうにもなるもんでもないと考えていたのだけれど、でも今回の震災に続く出来事を見ていると、エネルギーの作り方も大事だけれど使い方も大事だと思った次第。
公演が終わったばかりの「true/本当のこと」を例にとると、この公演の照明には40台の1kwフレネルと14台の575w Source Four、24台のLED照明と12台の蛍光灯型LED照明を使っている。
ちなみに、40台の1kwフレネルライトというのは、小劇場にいっぱい照明を吊ったというレベルか。
これらの照明を、全部一度に点けるということは、まあ無いわけだけれど、でもいちおう全部点灯できるだけの電力は確保しておかなければいけない。それだけのインフラが無いと、劇場はできないわけだ。
この40台の1kwフレネルを全点灯させるには、400Aの電流が必要になる。1000W / 100V x 40台だ。
それに比べて、LED照明はどうか。
観ていただいた方には分かると思うが、舞台上の円形トラスには24台のLED照明がついている。このカラーキネティクス社のColorBlast12の1台をフル点灯するのに必要な電流は約1A。つまり、あの円形トラスについているLEDを全部白色にして点灯させるのに必要な電流は24A。そのLEDの上に吊ってあったフレネルライトをフル点灯したとして、そのうちの2台半ぶんの電流でまかなえる。
両脇の足場についていた蛍光灯型LEDに関しては、片側6本全部で3.5A程度。足場についている全部の蛍光灯型LEDをフル点灯しても、1kwフレネル1台の最大電流使用量以下で済む。
もちろんLED照明にできないことはある。それに、僕は現行の舞台照明の代替えにLEDを使えばいいとは思わない。もっと別の表現の可能性があるという方が面白いと思うから。にしても、併用はあり得ると思うし、それによって舞台表現のポテンシャルはもっと上がると思う。
ちなみに、今回の公演で使った映像プロジェクターは、メインが1台と、テーブルの中に小型のものが1台。このうちのメインのプロジェクターの明るさは7000ルーメンで、光源の電球は750W。
照明の次に電力を消費する音響(PAシステム)は、足場を揺らす振動子が案外電気をくって、60A。通常のPAも60A程度で、合わせて120A。また1kwフレネルの全点灯に変換してみると、12灯が点けばあの音を出すのに必要な電流と同じだけになる。
電気の作り方に関しては、ここにひとつの提言がある。
http://www.realtokyo.co.jp/docs/ja/column/outoftokyo/bn/ozaki_225/
僕の前のコメントも、これを読んでのコトだ。
そして使い方も、この機会に考えて変えていける一歩を踏み出せればと思う。
ガンガン作ってジャブジャブ使うというのは、やっぱりスマートじゃないだろう。