TVのワードショーを見ていて気づかされたのだけれど、福島原発事故の対応をしている現場のトップは誰なのだろう?
東電にも、応援の自衛隊や警察にも、それぞれ指揮官はいるのだろうけど、現地のトップで指揮をとっているであろう原発の専門家は、何処の誰なのだろう?
先日の震度6という余震(この揺れで余震って・・・)の時に、福島は一時電源消失したが、それは津波警報が出たために、現場の人員が避難しなければならず、迅速な対応ができなかったからだと聞く。
危機管理という意味では、そういう類いのこれからも起こるであろう最悪のストーリーというのも想定して、各対応方法を立てていくことが必要とされると思うが、そのためには十分な知識のある指揮官が必要だ。
具体的に書けば、もし、もし仮に4基の原発のうちのいずれかが暴走を始めたら、現場の人間はどうするのか?
津波警報がでると、電源消失の可能性があっても現場スタッフが避難するということは、実際の暴走が起こると、残り3基はそのままにして全員退避になるのだろうか?ということは、いまだ終息とはほど遠いこの状況は、もし1基が暴走したら、それは4基全部の暴走を意味するということだ。
現場では、当然そういう認識で日夜努力が続けられているとは思うのだが、その指揮をこの国の総理大臣や東電の社長や安全委員会のスポークスマンがとっているわけでないのは、誰の目にも明らかだろう。
もちろん、何人もの専門スタッフが状況分析をして、いろいろな提言とアイディアを出しているとは思うのだけど、でも組織が迅速に動くためには、何処かで意見を一極に集めて、誰かが決断して指示を出すことが必要だ。まさか、何人もの専門家が、闇雲にかわりばんこに、水ガラスやらおがくずやらを汚染水に放り込んでいるわけではないだろう。
僕は、1基が爆発しそうになっても、現場は身を挺して残って作業を続けろといいたいわけではない。ただ、ちゃんとそういう状況も視野に入れつつ考えられる人が、はたして現場にいるのかどうかが心配だといっているわけです。
もし、「そんなことは冗談でも口にするな」というような状況で、誰もが目前の火消しのコトしか考えられない状況だとしたら、そのままでは、今後何ヶ月も過酷な作業を続けるのは困難だろう。
いずれにせよ現場は超過酷で、しかも今でも日々生命の危機を感じながら、そのプレッシャーのもとで作業が続いているのだと思う。
そんな中、外部に対するパブリッシングが後回しになるのは当然とも思うが、でもそろそろ、誰が実際の現場で日本の運命を握る決断を迫られているのか、その状況を教えてもらえないと、信頼できる情報ソースというものが、ほとんど見いだせない状況だ。
もし仮に、それが個人ではなくて何人かのチームなのだとしたら、それでもいい。僕は、その人達のコトが知りたい。
余談だが、僕にとって今もっとも信頼できる状況分析は、小出裕章さんの発言だと思うが、それはご本人の話にもあるように、詳しい内部情報を分析したものではなく、いま公表されている一般情報が元になっている。
仮にいま日本が瀕死の状態だとしたら、セカンドオピニオンを得るためにも、原発反対派の原子力研究者も現場に迎え入れ、その分析も公表すべきだと思うがどうだろう?
Lecture of Mr.Koide
16日に行われた小出裕章氏の講演が、ustreamにアップされている。2時間強あるが、昨日の夜に思わず全部見てしまった。
原発に関して不勉強な僕でも、いろいろなことが腑に落ちる、とてもよくまとまった内容。
小出氏の強い姿勢が静かな口調の中にも現れていて、それはバランスをとった中立の解説ではもちろん無くて、いかに原発を廃絶したいかという意思のもとに話されているので、その強さゆえに果たして手放しで全て信じていいのかと、自分の判断基準のために反対意見が欲しくなるところもある。
つまりそれは、どれほど正しく見える高潔な意見でも、やはり少しは疑ってみないとというへそ曲がりな僕の性分によるのだけれど、それでも思わず一気に全記録を見てしまう、見ずにはいられない内容。
見終わったあとに、「小出裕章氏への反論」でググってみても、今は最初の60トピックぐらいには、さしたる反論が見られない。
ずいぶん前の映像記録で、原発推進派と反対派の討論があって、その中でいつまでたっても平行線で噛み合ない話が続くのは見ることが出来るが、でもその程度。
それは、小出氏の存在が、推進派(大まかに言えば日本政府と電力会社)にとってはとるに足らない存在で、今までは歯牙にかけてもいない存在だったせいかもしれない。
しかし、だからといって、小出氏の論がとるに足らないわけでは、全くない。僕には、もう遅すぎるのかもしれないが、耳を傾けるべき重要な意見に思える。それを、手放しで信じろとは言わないけれど、せめてもっと万人が見つめる場で、推進派と互角な立場で意見を交換できるようになってほしいと思う。
マスメディアがまだその意見を、メインの放送帯で取り上げることに躊躇するのなら(かってNHKで作られた、秀逸なドキュメンタリーなどはあるが)、まずは個人が手持ちのツールを使って、これらを広げていくことから始めればいいのではないだろうか。
What do you mean? What? ! ! ! !
文科省が福島県内の保育園、幼稚園や小中学校を普通に利用する際の限界を1時間あたり3.8マイクロシーベルトと定めたらしい。
こういうのは、文科省が決めるんだ?
いままでの生活を享受して、原発だってたぶん大丈夫だろうと傍観して来た大人達(僕を含む)が、そのつけを払うのなら、まだしも納得がいく。
でも、東京で使う電気を作っていた原発の出した死の灰で、福島の子ども達が被爆してしまう量を、いきなりこれまでの基準の20倍に設定して、まあすぐには異常は出ないから大丈夫と、事態を矮小化してみせるなんて、自分で自分の首を絞めるヒトデナシだ。
いまでも十分国が亡ぶような状況なのに、「がんばれ日本、復興に向けて進もう」なんて言っといて、自分たちの国の未来を己で踏みつぶすというのは、どういうこと???
せめて、自分の判断材料になる情報を持てるようにしましょう。僕には、マスメディアに流れている情報は、ほぼ原発推進派から出た情報ばかりに思えます。
前にも書いた、原発反対派の原子力研究者の小出裕章京大助教の発言をまとめたページから、無断で抜粋します。
http://hiroakikoide.wordpress.com/
チェーンメールは困るけど、いまはテレビだけが情報源じゃないんだから、多くの人がこれらの情報に接するように、広げる努力は必要でしょう。
以下、上記HPの記事から抜粋。
・(文科省が福島県内の保育園、幼稚園や小中学校を普通に利用する際の限界を1時間あたり3.8マイクロシーベルトと定めたが?)驚いた。普通私たちが生活している環境では0.05マイクロシーベルトが普通。その80倍。
・(年間で20ミリシーベルトという基準で算出したものだが?)その前提がとてつもなく高すぎる。一般の日本人は法律で年間1ミリシーベルトしか被曝してはいけないと決まっている。それをいきなり20倍にする権限が誰にあるのか不思議に思う。こどもは特に放射能に敏感であるのに、そういう基準を押し付けるやり方がなぜ許されるのか分からない。
・なぜ原子炉が特別に危険なのかというと、核分裂生成物(いわゆる死の灰)ができてしまうから。JCO事故で核分裂したウランの量は1ミリグラム(1000分の1グラム)。灯油に換算すると2リッター分のエネルギーが出る。たった1ミリグラムでも、JCOのときは500メートル離れた場所で許容基準を超える被曝が起こった。
・日本の法律では年間1ミリシーベルトを超える場所は放射線管理区域に指定される。そこでは寝ることも食べることもできないし、こどもはもちろん入れない。チェルノブイリ事故では、これに該当するエリアは700kmのところまで広がった。面積で言うと、本州の約6割の広さ。このチェルノブイリ周辺地域に現在565万人が住んでいて、生活を営んでいる。避難してほしいと思うが、住んでいる。
・放射線ガン死には年齢依存性がある。細胞分裂は若いほど活発。若いときに遺伝子が傷を受けるとそれが複製されるため異常が起きやすい。人間で言うと、30歳を平均とすると、50歳では影響の受けやすさは100分の1くらいになる。が、乳児やこどもにはたいへんな危険。
Resign
他のサイトからの受け売りになりますが、管内閣の放射能防護担当内閣官房参与である小佐古敏荘氏が、菅直人総理が自分の提言に聞く耳を持たないという理由で、辞意を表明したということです。
これまで、人が感知し得ない放射能の脅威に関して、政府や専門家が大丈夫だというのなら問題ないはずで、自分は専門家ではないしその意見を信ずるしか無いと言っていた人たちに、この辞意表明を積極的に届けるべきでしょう。
大手新聞やテレビ局が取り上げればいいのですが、未だこの状況でもそれができないマスコミなら、個人の手持ちのメディアを使ってできる限りの拡散を試みてもいいと思います。
あまり良い言い方ではありませんが、この小佐古敏荘氏はどちらかというと原発推進派、政府や電力会社の御用学者です。そうでなければ、内閣官房参与に推されることもなかったでしょう。そういう立場の人でさえ、今の政府の対応に危機感を覚えているということです。
しかし、自分で選んで官房参与にした専門家が、危機を表明しているのに、それを無視する菅直人と周辺の政府は何を考えているのでしょう?
そもそも、現政府は「子育てを応援します」みたいな政策を売りにしていたのではないのか?!
========================================
平成23年4月29日
内閣官房参与の辞任にあたって
(辞意表明)
内閣官房参与
小佐古敏荘
平成23年3月16日、私、小佐古敏荘は内閣官房参与に任ぜられ、原子力災害の収束に向けての活動を当日から開始いたしました。そして災害後、一ヶ月半以上が経過し、事態収束に向けての各種対策が講じられておりますので、4月30日付けで参与としての活動も一段落させて頂きたいと考え、本日、総理へ退任の報告を行ってきたところです。
なお、この間の内閣官房参与としての活動は、報告書「福島第一発電所事故に対する対策について」にまとめました。これらは総理他、関係の皆様方にお届け致しました。
私の任務は「総理に情報提供や助言」を行うことでありました。政府の行っている活動と重複することを避けるため、原子力災害対策本部、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、文部科学省他の活動を逐次レビューし、それらの活動の足りざる部分、不適当と考えられる部分があれば、それに対して情報を提供し、さらに提言という形で助言を行って参りました。
特に、原子力災害対策は「原子力プラントに係わる部分」、「環境、放射線、住民に係わる部分」に分かれますので、私、小佐古は、主として「環境、放射線、住民に係わる部分」といった『放射線防護』を中心とした部分を中心にカバーして参りました。
ただ、プラントの状況と環境・住民への影響は相互に関連しあっておりますので、原子炉システム工学および原子力安全工学の専門家とも連携しながら活動を続けて参りました。
さらに、全体は官邸の判断、政治家の判断とも関連するので、福山哲郎内閣官房副長官、細野豪志総理補佐官、総理から勅命を受けている空本誠喜衆議院議員とも連携して参りました。
この間、特に対応が急を要する問題が多くあり、またプラント収束および環境影響・住民広報についての必要な対策が十分には講じられていなかったことから、3月16日、原子力災害対策本部および対策統合本部の支援のための「助言チーム(座長:空本誠喜衆議院議員)」を立ち上げていただきました。まとめた「提言」は、逐次迅速に、官邸および対策本部に提出しました。それらの一部は現実の対策として実現されました。
ただ、まだ対策が講じられていない提言もあります。とりわけ、次に述べる、「法と正義に則り行われるべきこと」、「国際常識とヒューマニズムに則りやっていただくべきこと」の点では考えていることがいくつもあります。今後、政府の対策の内のいくつかのものについては、迅速な見直しおよび正しい対策の実施がなされるよう望むところです。
1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい
この1ヶ月半、様々な「提言」をしてまいりましたが、その中でも、とりわけ思いますのは、「原子力災害対策も他の災害対策と同様に、原子力災害対策に関連する法律や原子力防災指針、原子力防災マニュアルにその手順、対策が定められており、それに則って進めるのが基本だ」ということです。
しかしながら、今回の原子力災害に対して、官邸および行政機関は、そのことを軽視して、その場かぎりで「臨機応変な対応」を行い、事態収束を遅らせているように見えます。
とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な指導・助言の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放射線防護の基本に基づく判断に随分欠けた所があるように見受けました。例えば、住民の放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものでありますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されていない。法令、指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを前提にした定めがあるが、この手順はとられず、その計算結果は使用できる環境下にありながらきちんと活用されなかった。また、公衆の被ばくの状況もSPEEDIにより迅速に評価できるようになっているが、その結果も迅速に公表されていない。
初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福島県、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。
また、文部科学省においても、放射線規制室および放射線審議会における判断と指示には法手順を軽視しているのではと思わせるものがあります。例えば、放射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」ですが、この件は既に放射線審議会で国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告の国内法令取り入れの議論が、数年間にわたり行われ、審議終了事項として本年1月末に「放射線審議会基本部会中間報告書」として取りまとめられ、500mSvあるいは1Svとすることが勧告されています。法の手順としては、この件につき見解を求められれば、そう答えるべきであるが、立地指針等にしか現れない40-50年前の考え方に基づく、250mSvの数値使用が妥当かとの経済産業大臣、文部科学大臣等の諮問に対する放射線審議会の答申として、「それで妥当」としている。ところが、福島現地での厳しい状況を反映して、今になり500mSvを限度へとの、再引き上げの議論も始まっている状況である。まさに「モグラたたき」的、場当たり的な政策決定のプロセスで官邸と行政機関がとっているように見える。放射線審議会での決定事項をふまえないこの行政上の手続き無視は、根本からただす必要があります。500mSvより低いからいい等の理由から極めて短時間にメールで審議、強引にものを決めるやり方には大きな疑問を感じます。重ねて、この種の何年も議論になった重要事項をその決定事項とは違う趣旨で、「妥当」と判断するのもおかしいと思います。放射線審議会での決定事項をまったく無視したこの決定方法は、誰がそのような方法をとりそのように決定したのかを含めて、明らかにされるべきでありましょう。この点、強く進言いたします。
2.「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい
緊急時には様々な特例を設けざるを得ないし、そうすることができるわけですが、それにも国際的な常識があります。それを行政側の都合だけで国際的にも非常識な数値で強引に決めていくのはよろしくないし、そのような決定は国際的にも非難されることになります。
今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。
小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。
また、今回の福島の原子力災害に関して国際原子力機関(IAEA)の調査団が訪日し、4回の調査報告会等が行われているが、そのまとめの報告会開催の情報は、外務省から官邸に連絡が入っていなかった。まさにこれは、国際関係軽視、IAEA軽視ではなかったかと思います。また核物質計量管理、核査察や核物質防護の観点からもIAEAと今回の事故に際して早期から、連携強化を図る必要があるが、これについて、その時点では官邸および行政機関は気付いておらず、原子力外交の機能不全ともいえる。国際常識ある原子力安全行政の復活を強く求めるものである。
以上
========================================================