もう10年以上も前になるが,初めてこの街/国を訪れた時は,なんて小奇麗で面白味のない所なんだろう,と思っていた.まだリー・クワンユーががんばっていて,やれ長髪だとパスポート・コントロールで追い返されただの,道に唾を吐いたら罰金とられるだの,いろいろ聞いていたうえに,他アジア諸国と比べて少々物価も高かった.
でもそれは,どちらかというと,僕の経験と知識が,足りなかったせいかもしれない.もしくは,ここ10年で,ものすごーく,シンガポールが変わったか.いずれにせよ,どんな街にも悪場所はあるものだ.完璧に管理された綺麗な街なんてあるはずがない.(あれだけいろいろ厳しくやっていたクワンユーの息子が現国家元首で,事情はよく知らないが世襲制にも見える胡散臭さがあるのも,また面白い.)
その点,いまのシンガポールは,なかなか良いバランスをとっているような感じ.相変わらず買い物天国がウリに見えるが,ちゃんと文化も,中身が積み重なっているようにみえる.えらそうな言い方になってしまったけど,人々がそれほど仕事や何か競争に追われ続けてへとへとになっているわけでなく,自分たちで楽しみながら生きてる感じ.生活が辛くなさそうに見える.
そう見えるのは,街が変わったのか,僕が変わったのか.
日本の方が,自分の人生を放り出しちゃいたい人が多そうで,欲望がねじくれて影に潜り始末に悪い.
シンガポール滞在,なかなか楽しいです.単にここの景気がかなり良いからかもしれないけど...
写真は,アラブストリートと,そこで水パイプをたしなむ怪しいひと.ものすごい色彩の食堂.近代的なアーケード.一心に願うおっちゃん.