祭りネタをもう一つ.
昨晩,久々に送り火を見た.あらためてみると,結構な大イベントである.
生まれ育った実家の自室からは,「大文字」と「舟形」が見えた.もう,その家はないが,送り火の度に親戚が集まっていたことを思いだす.僕の中では,正しいお盆の過ごし方の原風景である.それも祖父の加減が悪くなってからは,ポツポツと集まりが悪くなっていき,やがては途切れてしまった.
去年は確か,まだこの時期はシンガポールかクアラルンプールにいたはずである.
今年は,僕の両親が近くに引っ越してきたので,そのマンションの屋上から送り火を見ることにした.かなり良いロケーションなので,何山見えるか楽しみにしていたら,なんとなんと五山全てが一望できた.
「大文字」「妙法」「舟形」「左大文字」「鳥居」,一度に全てを見たのは,生まれて初めてである.
宗教にも当然エンターティメント性は必要で,それは断食や瞑想などによる人体への操作か,建築的なビジュアルや音響操作によるところが多いけれど,この送り火は三方を山に囲まれた京都の地の利を生かした,独自性のあるとても良く考えられた壮大なイベントだ.
何の宗教的な知識やバックグラウンドが無くても,一瞥しただけで楽しめるのがすごい.僕には詳しい知識はないが,たぶん仏教的な理由があるんだろう「大」という漢字と,神道の象徴である「鳥居」や,祖先の霊を送り返すためであろう「舟形」がシンボルとして描かれて,それらが共存しているところもすごい.
世界各地に色々なお祭りイベントはあるだろうけど,これだけの規模で視覚的なモノが他にあるだろうか?
観光地というのは,実にいろんな要素から成り立っているもんである.