Preparing to USA

「true」金沢・横浜が終わってから,ずっと図面を描いている.1月からのEa Solaアメリカツアー.
かなりコンディションの違う劇場7ヶ所での公演なので,一つずつ細かな打ち合わせをしなければいけないのだけれど,もういまはクリスマス.その前,僕が金沢に出かける前は,感謝祭だったのだあの国は.
余裕のある暮らしは,出来た方がいいと思うけれど,休んでばっかしじゃん.しかもねぇ,決まったルールには厳しい.公演の一月前には,確定図面が必要,というのはまあもっともだけれど,感謝祭だ,クリスマス休暇だというのは,こっちの知ったこっちゃないのに,休みの前には図面が出ていないと困るというところ多し.
ちみんとこの国のルールが全世界共通だと,なぜ思う...僕は別に,感謝祭もクリスマスも,関係ないぞ!
ぎりぎりまで描けなかった僕が悪いんですけれど.
横浜が終わってから,めずらしく作品の評判が気になって,ネットで「true」を検索してしまう.公演後に集まったアンケートが,少なかったせいだろうか.
そういえば,昔は公演後の感想を,ネットで探すなんて出来なかったのだねぇ.「S/N」を公演していた頃にブログがあったら,果たしてそれは公演を続ける力になったんだろうか?
ヒトはよほどの事がない限り,作品を全否定するような意見を書かない,普通は...
それはたぶん,パフォーマンスを観に劇場に出かける,という行為自体で,大きな選択が行われているせいだろう.否定的な意見があったとしてもたいていは,「あまり心に響かなかった」,というようなコメント程度.観に来る時点で,みんな舞台作品に,何がしかの思い入れがあるのですよ.
そういうのを超えて,その人の存在の基礎みたいな所に触れる作品,というのは,自分がどういう状況にあれば作りえるのだろうと,めずらしくまじめに考えてしまう.普段,劇場に足を運ばないような人達までが観に来てくれる,というような状況は,作品次第では訪れるのだろうか?
そもそも,舞台を観に出かけるというのが,かなり特殊な状況という現状は,いつから始まったんだろう?昔のヒトは,少なくとも1年に1度か2度は,祭事の際に舞台作品を観ていたのじゃないだろうか.
そこで自分の感覚や存在を見つめ直す,という行為があるとすれば,「true」も良い線いってると思うのだけれどなぁ.

After Yokohama

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true@横浜赤レンガ公演が無事終わって,京都に戻る.
来て下さった皆さん,ありがとうございました.
YCAMからも,金沢や横浜に来て頂いて,とても心強かったです.まだまだ変わり続けるであろう作品なので,初演を観ている人から話を聞けると,いろいろ参考になるし励まされもします.
ところで,その9月の初演時に,詳細な取材を受けた「ステージ&ライティングの現場」という,リットーミュージックムック本が発売されました.いったいどれだけ売れるのでしょう?という,マニアックな本ですが,trueのシステムがかなり詳細に載ってます.僕もインタビューを受けたのですが,打ち上げ翌日の二日酔いと解放感がごちゃまぜになってたようで,話さなくてもいいような事までかなり喋ってます.
関係者の方に聞いたら,trueの製作が決まって東京で開いた記者会見に行って,この本への掲載を考えたとか.何事も,やってみるもんです.
もし本屋で見かけたら,たぶん貴重だと思うので,手に取って見て下さい.

true at Yokohama

True_2007
金沢21世紀美術館公演,無事終了.一晩京都に帰って,横浜へ.
今日,仕込み初日,何とか終了.もともとは劇場じゃない建物だけに,いろいろ障害も多いが,テクニカル・スタッフの方々が責任感も有り協力的で(つまり,プロフェッショナル),何とか乗り切れそうな予感.
皆さん,ぜひ横浜に観に来て下さい.ネタバレ写真を公開しつつ,宣伝です.
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true / 本当のこと
12月14日(金)ー 12月16日(日)
Red Brick Contemporary Dance File 2007 
プログラミングとテクノロジーが、身体表現にあたえる新しい可能性
振動子+LED+センサー+映像+サウンド 
振付・出演: 白井剛 (AbsT/発条ト)
振付・テクスト・出演: 川口隆夫 (Dump Type)
ディレクション・照明: 藤本隆行 (Dump Type)
音響・映像・ビジュアルデザイン: 南琢也(softpad)
音響・振動・システムデザイン・プログラミング: 真鍋大度
映像・プログラミング: 堀井哲史(rhizomatiks)
機構設計: 齋藤精一(rhizomatiks)
デバイスプログラミング: 石橋素(DGN)
センサーシステム: 照岡正樹(VPP)
衣装デザイン: 北村教子
プロダクション制作: 高樹光一郎(Hi Wood)
■日時:平成19年
12月14日(金)19時30分
12月15日(土)14時・19時30分
12月16日(日)14時
*開場は開演の30分前
■料金:前売一般¥3,500・学生¥3,000 / 当日¥4,000 *全席自由
*横浜赤レンガ倉庫1号館・チケットぴあ・JCDNダンスリザーブ・ハイウッド
*未就学児はご入場いただけません。
*公演の一部に強い光の明滅があります。光刺激に弱い方はご注意ください。
■お問合せ:
TEL : 045-211-1515(横浜赤レンガ倉庫1号館)
   03-3320-7217(ハイウッド)
URL:http://www.yokohama-akarenga.jp/hall_space/calendar0712.html#3
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メールもらえれば,まだ席の確保は出来ます.
よろしくです.

Birthday 2007

12月6日は,娘の誕生日.おめでとう!
同じ今日のこの日に,友人の息子が生まれた模様.おめでとう!
同じカンパニーのメンバー2人も,6日が誕生日.おめでとう!
僕は,金沢で「true」のアップデート中.夏以来のメンバーが集合.
http://www.kanazawa21.jp/theater21/2007/true/index.html
佳境ですが,4日間の更新期間で,さらに作品がパワーアップ出来そうな感じ.
金沢の会場も,お勧めです.まるで,会場にあわせて「true」を作ったかと思うほど,ぴったりおさまっている.しかも,客席が近くて,何処からでもディテールが見えるので,この作品にはうってつけ.
おまけに,蟹も魚も美味しいです.
皆さまぜひご来場を,お待ちしています.

Kanazawa and Yokohama

25日に朝に帰国.
一週間後には,trueアップデートと公演のために金沢入り.
ツアー中は,なかなか他の仕事には注意を向けられない.そもそもあまり時間がない事が多いが,時間があっても頭の切り替えが難しいので,ついつい先延ばしにして,次に見えている休みというか家にいる間に,メールしたり図面を描いたり,先の仕事に対応しようと思ってしまう.
でも,ツアーの間は帰国後の時間が理想的に効率良く夢広がるのだが,まあ実際は当然というかそんなにうまくいくはずもなく,それなりの日々の雑事に追われて1日1日と過ぎていく.髪も切りたいし,身体のメンテもしたいし,金勘定も必要だし,少し先の未来やかなり先の話しもしないといけないし,身近に迫った公演もあるし...
その中で,もっとも気掛かりなのが来年1月から2月にかけてのツアー.1ヶ月7ヶ所11公演.その7ヶ所全部の打ち合わせが,まだ全然進んでいない.アメリカなんで,ここ一週間ほど感謝祭で誰にもメールが繋がらない.何だかね,因縁つけて国が戦争中なのに,のんびり屋さん.
でもなぁ,感謝祭を理由に仕事が進まないと愚痴ってても仕方ないし,少しでも進めておきましょう.
いずれにせよ,12月3日からは2週間ほどtrueに集中.

Patravadi !

Chiang MaiでのRC公演のあと,Bangkok_Patravadi Theatreで,Monochrome Circusの「怪物」と「きざはし」を公演してから帰国.
「怪物」も「きざはし」も共に30分弱の作品なので,2つ並べて1日1回の公演.Patravadi Theatreは,2004年にRC公演をした時と同じく半野外なので,日が沈まないと照明関係の調整は出来ない.
でもまあ,それが幸いして,最近ではもっともゆっくりとした時間を過ごす.
「怪物」も「きざはし」も共に好きな作品だが,照明に関しては既にできているものをなぞるのがメインの仕事.

Chiang Mai_02

Humanities_theater_1Humanities_theater_2Humanities_theater_3Humanities_theater_4Massageno1Banromsai
Chiang Mai大学内人文学部のHumanities theaterでの,Refined Colors公演を無事に終了.
Humanities theaterという名前の場所なので,いちおう劇場のように聞こえるが,実はただの講義室.普通の教室より,ただ少しでかいだけで,天井にバトンやグリッドがあるわけではなく,スタッフといえば管理のおじさんのみで,セットアップは全て学生有志の手による.
オーガナイズしてくれたのは,日本/東京での公演経験もある,女優で大学の先生でもあるKopさんと生徒のBuhm君,それに舞台学科で経験豊富なAppさんとその友人関係一同.音響のみレンタルで業者が入ったが,舞台の床から天井トラス,何枚か建て込んだ壁面パネルまで,全て学生の手で設置される.
僕たちが到着した当時は,前にも書いたが床材のロールが長過ぎて搬入できず,一階のエントランスでぶった切っている所だったので,かなり先行きを心配したのだが,それからのスタッフの頑張りが凄かった.床材のロールが上がらないぐらいだから,天井トラスはどうするのだろうと思っていたのだが,階段ホール8階にウインチを仕込んで,全て吊り上げて搬入,しかも学生がいる時間は危ないからと,深夜に行ったらしい.おかげで,翌日の午後には床とトラスの設置が済み,次はみんなでホール前の空間で,正面壁を製作していた.他にも,近くのショッピングモール内に,チケット販売ブースを設けたり,雑誌等にプロモーションをかけてくれたりと,多くの学生が手伝ってくれたらしい.
その甲斐あって,2日間3回公演の合計入場者数は,なかなか良かった.それに,2日目2回目の昼公演は,オーガナイザーのKopさんの尽力で,HIV孤児自立支援組織 BAN ROM SAIの子供達や聾唖学校の生徒さん,それに大学の舞台学科の生徒たちが来てくれた.そのほとんどが,おそらくコンテンポラリー・ダンスを観るのは初体験.公演後のアフタートークで,聾唖学校の娘さんが,物凄くいっぱい手話で喋ってくれたのだが,手話ータイ語ー英語と変換されてきた言葉はどうも簡略化され過ぎているような気がして,少々不満が残る.
でも,BAN ROM SAIの子供達やスタッフの方と知り合えたのは,とても良かった.BAN ROM SAIの活動は,サイトをみてもらえばよく解ると思うのだが,
http://www.banromsai.jp/info.html
僕がとても魅かれたのは,子供達の自立のためにと同じ敷地内に独立して建てられた3棟のゲストハウスとプール!
http://www.banromsai.jp/guesthouse.html
あいにく,曇りの夜に案内してもらったのだけれど,空港から15分とは思えないような森の中に,独立して3棟のゲストハウスとオープンエアーのダイニングスペースが有り,晴れた日には間違いなく星空が絶景.しかもサウナルームまで完備されて,その全てがきちんと気持ち良く保たれて,宿泊費は日本で考えると格安.いやもう,本気で僕がツアーをオーガナイズしようかと思いました.Chiang Mai自体,今まで訪れた土地の中では好感度高いのですが,その中でも最高のロケーション.3家族は一緒に泊まれるので,どなたかアジア旅行を計画中の方,是非一緒にChiang Maiに行きましょう.
そして,19日(月)は待望のオフ.午前中は迫り来る「true」と1月のEaさんのツアーの対応に追われるが,午後からはMacBookを無理やり閉じて街に.
まずはムスリム・エリアで,Singaporeで食べたラクサにそっくりの,ココナッツミルク味のピリ辛麺を頂いた後,Kopお勧めのデープなタイマッサー屋に出陣.観光客がたどり着ける可能性ゼロみたいな,地元民相手のマッサーは,竹で編まれたハーフ・オープンエアーな空間で,百戦錬磨のタイのオバチャン・マスターが,自身の全体重をかけて僕の体中の筋肉とツボを刺激してくれる.望めるなら,毎日はきついけれど1週間に1回は通いたい,僕のマッサージ人生の中でも「ベスト」と言っても過言ではない,深〜いマッサー屋さんでした.しかも,2時間ごりごりオバチャンの技を尽くしてもらって,料金は200バーツ,約700円なり.
やめられません...
写真は,Humanities theaterの変遷と,素晴らしいタイマッサー屋さん外観.そして,暗闇の中のBAN ROM SAIのプール.

Hanoi – Chiang Mai _01

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10年前に初めてハノイを訪れた時には,少し暗くて暑くて静かで,Sapaやハロン湾に行くための中継地としか思えなくて,サイゴンに比べると余り華がないような感じで,幾ら北が勝ったからってここが首都というのは無理があるんじゃないのと思っていたのだが,ここ数年縁があって何度か訪れる度に,かなりハノイが好きになった.
昔とは比べ物にならない喧騒(主にバイクと車の騒音とクラクション)と,気の抜けない買い物交渉に辟易する事もあるけれど,なかなか美しい街だと思う.車をほとんど見かけなかった,シクロと今の10分の1くらいの台数のバイクが走っていた97年頃の街をいまだに覚えていて,その印象が時々蘇る瞬間があるせいかもしれない.
街中に生息している巨木も,見慣れてしまうと見えなくなるが,改めて見渡すと相当大きくて美しい木々が街中に繁茂している.
そんな街で,いつか公演したいものだと思っていたので,去年のEaさんの公演に続いて,今年自分達の作ったRefined Colorsを持ってこれたのは,かなり嬉しかった.知り合いのハノイバレー団のダンサー達も何人か観に来てくれたし,何よりハノイ在住の日本人・カナダ人・フランス人の友人たちの多大なバックアップを受けて,RCとそれに続いて翌日にlostの公演もできた事に非常に満足.
RCは多くのお客さんが来てくれて,lostは招待状配布のみの,ちょっとシークレット・パーティみたいなノリの公演にして,かなりハノイでもアンテナを張っている感じの人達が集まってくれた.何年か後でも,この2つの公演の事を覚えていてくれるだろうか.
lost公演の翌日はオフ.Phoを食べて,まったりときついコーヒーを飲んで,ご飯の上に載せるおかずをいろいろチョイスするベトナム飯を食べて,フットマッサージに行ってお土産を見て,夜にはメンバーが集まってビヤホイで打ち上げ.なかなか幸せなハノイ最終日.
翌日は,またまたでっかいトランクを引きずって空港へ.荷物重量の超過が気になるが,カウンターの兄ちゃんは重さなど気にする事なく,さくさくトランクを通してくれた.
胸をなで下ろしつつチェックインカウンターを離れようとすると,大慌てで兄ちゃんが呼びに来たので内心舌打ちをするが,連れていかれた先はセキュリティーで荷物の重さの事ではなかった.同行していただいていたハノイ日本大使館のスタッフの方が,公演のための輸出入許可証を見せて事無きを得る.
そして,Hanoi – Bangkokと乗り継いで夕方にはChiang Maiに到着.初めての土地.ハノイより少し暑い.
公演会場は,広大なChiang Mai大学の中.Humanity Theaterという名前は付いているものの,まったく劇場仕様ではなくてただの講義室.そこにトラスから床材から音響機材まで持ち込んでの公演となるが,まだほとんど準備は進んでいない.僕たちが劇場のある建物に着いた時には,エレベーターに乗らず搬入できないからという理由で,3mほどの長さの白リノリウム(床用マット)のロールを,エントランスにて鋸で真っ二つに切っている所だった.うーん,あれをきれいに敷くのは無理だなぁ...本番まであと3日.何とかなるかな.
写真は,松本でのRC_WS風景.ハノイのYouth Theater仕込みと公演直前,巨木街路樹,それと最終日打ち上げ会場(路上).

Back to Hanoi

東京/スパイラル – 松本/まつもと市民芸術館と経て,今年のRefined Colors日本ツアーは終了.すかさず,機材をパッキングし直して,かなり重くて嵩張るトランク5つをメンバー7人で何とかハンドリングしながら,関空からバンコク経由でハノイに到着.1年と数ヶ月ぶりの街.
相変わらずの喧騒だが,今日入ったホテルも街のカフェも,ワイアレスが飛び交って何処からでもネットにアクセスできる.見えない所で,超速で変化している街.
Eaさんの映像を担当していたBrianさんも,ドイツからハノイに戻っていて,ハノイ・カルチャーガイドといった感じのサイトを立ち上げている.Refined Colorsの公演も載ってます.
http://hanoigrapevine.wordpress.com/
明日は仕込みリハ,明後日は本番,明明後日はおまけにlostも公演予定.
目白押しです.

Reconsideration

日記をつけなくなって久しいが,どうも咽に引っ掛かった小骨のようになっていたのがこれ,悪夢のPhiladelphia.
あれからどうも,いつまでたっても完全には疲れが抜けず,それが原因でか怒りっぽい.いかんなぁ.
Philadelphiaでおかしくなったのは,LED照明.疲れてくると,何がいけないといって根気がなくなる.あの時は,一見最初はうまく行きそうだったのが,余計問題を大きくした.
公演する劇場は,それなりに小奇麗だったのだが,見かけよりは古い所で,実は照明機材の電源ディマーなどが,一昔も二昔も古いものだった.それがわかったのは仕込み初日の昼頃で,現場スタッフが僕の持ち込んだ照明卓で劇場のディマーを動かすのに四苦八苦しだした.
Eaさんの公演では,僕は1台のPC照明ソフトで,劇場ディマーとLED照明の両方を,一緒にコントロールしている.この一緒にというのが曲者で,今まではなかったのだがトラブルの元になりそうな感じはいつもしていた.それで,スプリッターで信号を最初に分けて,LEDヘは直接ケーブルを引いて信号を送るようにしていたのだが,あの時はそれが確実にできているか確認しなかった.口では現場のスタッフに言ったし,彼らはOKだといったのだが,それは劇場既存の設備を使っているいわばブラックボックスの中の事で,僕は彼らの出来ている(はずだ)という言葉を鵜呑みにして,そのままほっておいてしまった.
いやぁ,「できてる」というのを検証して,少しでも怪しいと全部やり直してもらうというのは,機材や時間的に可能でもなかなかオーダーする方にも気力が必要なんです.
加えて,電源もディーマーを通っていない直電源をリクエストしているのだが,確かにそうかどうかを確認しなかった.
それで,点いたんですよLED,最初はなんとか.ちょっとおかしな事はあったんだけど,公演に支障があるほどでもなく,調整すれば何とかできるでしょうという感じで.
その後まず最初の問題が持ち上がったのだが,それはLEDじゃなくて,僕のプランニングミス.
ある照明機材が,その劇場にはいっぱいあって,僕の使いたい機材はあまりなかった.普段なら,当然欲しい機材を借りてもらうのだが,ちょうどそのプランニングを数カ月前にしていた時に,それと並行して,床に敷くダンスマットの交渉も行っていた.それでその時フェイスティバル側が,結構無理をして新しいダンスマットをこの公演のために買ってくれたんですよ.それでね,つい弱気になった僕は,劇場がいっぱい持っている照明機材でも,ちょっと工夫すれば,何とか使えるんじゃないかなぁと,思ってしまったのでした.それで,少しはフェスの予算も助かるし,あとは僕がちょっと時間をかければ何とか調整できるんじゃないかと...
それがまあ,大失敗.どうにもこうにも,一番よく使う地明かりがきれいに作れない.その調整に時間がかかり,なおかつ久々の公演なので少しきっかけを忘れていて,しかも予算の問題かこの公演からダンサーが3人減っていて,もともとあったきっかけがちょくちょく変更されている.
なので,もうリハが始まる前からバタバタで,そんな中,もともとあまり調子の良くなかった機材が異常を起こす.
その機材,自分がフルフル点滅し出すと,その影響がアドレスの近い他の機材にも及ぶ,かなり深刻な問題を抱えていた.でも,何台か予備を持っていて,調子が悪くなると別の機材に差し替えてこれまで使ってきて,何とかその場をしのいできていた.それに,問題が起こる頻度も,ごく少ないものだったし...
今から思うと,その時にまずデーターにノイズが乗っている可能性を疑うべきだったんだけど,僕は短絡的に,また調子の悪い機材が問題を起こしたと,決めつけてしまった.
それで,やむなくその機材をカットして,何とかその公演を終わる.
翌日,照明のフォーカスなどは既に済んでいて,とにかく一度公演もできているし,きっかけも思い出したしで,本番の数時間前に劇場にはいる.電源を入れて,点灯チェックも済まして,PC上のキューの整理などしている時に,突如4台のLEDが繋がっているデータトランスが動かなくなる.つまりその4台は消えてしまって,うんともすんとも動かなくなる.機材を降ろして見ても,何もわからない.仕方がないので,何とか残りのトランスにその4台のうち2台を繋げるように配線をし直して,両端の2台をカット.
おそらくいつもなら,この時点で僕はシグナルケーブルを直接引き直し,電源も取り直していると思うのだが,フェスティバル中の公演2日目で,他の仕込みにとられてほとんどスタッフがいず,開演も近いという事でその指示を出すのを躊躇う.
そうこうするうちに,今度は別のバトンに吊ったLEDのデータトランスも壊れて,かなり僕はパニック状態.
何とか配線を変えて,前後のバトン各2台ずつLEDをカットして,15分ほど開場を遅らせてそのまま公演になだれ込む.
そして何とか終了.それが,土曜日だったのですね.
つまり,LEDの代理店を探して,代替え機材を借りようにも,何処とも連絡が取れない.翌日の日曜日にできる事といったら,電源の引き回しを変える事ぐらい.機材の追加も人の追加もそれからでは難しく,公演は翌日の最終公演を残すのみ.
そこで僕は折れてしまって,Eaさんの,「今日と同じできなら何とかお客さんに見せられる,大丈夫」という言葉を受けて,現状維持で公演する事にしてしまった.もうこれ以上は,悪くはならないだろうと,ある種の希望を持って.
そして最終日.
いちおう早い目に劇場入りして,LEDのチェックをするが,ちゃんと点灯する.ただ,あまり長く点けていると,何だか機材が弱りそうで,怖くてそれほど念入りなチェックができない.なにせあと,本公演の1時間強もってくれれば,とにかく今はOKなのだ.それで,まずは電源を引き直して,あとは時々チェックをするだけで,本番に臨む.
でも,今から思うと,LEDの点灯チェックはしたが,劇場ディマーと併用してのキューのチェックはしていない.とにかく,何かあっても公演を中止にする以外に手は無く,何といってもいまは点灯はするのだ.
そして始まった最終公演.LED照明と並行して劇場ディマーが動き出すと,いきなり全てのLEDが制御不能になって点滅しだした.とにかく最初から,いっきなり.
その日電源を引き直したのには,2つの目的があって,まずきれいな直電源にして問題を回避しようという目的と,あと最終手段として,何かおかしくなったら,舞台袖でLEDの電源を直接切れるようにしておいて,最悪の事態に備えるという考え.
そして,その公演の間中,袖にいる舞監が,僕の指示でLEDのON/OFFを繰り返しました.劇場の照明は何とか動くし,LEDも色の変化などは制御できる.ただ,全体に激しく点滅し安定する事がない.なので,できるだけ通常照明でしのぎ,LEDしか使っていない場面は,真っ暗にするわけにはいかないので,いきなりビカビカ光るLEDが点灯し,それらしいきっかけでカットアウトの繰り返し.
いやもう,寿命が縮んだ縮んだ.
しかし,観客はそれでも拍手するのですね.まあ初めて観てしかも一回しか観ないんだから,何かがおかしいかどうかは,よほどの事がないとわからない.
しかし,こちらとしては,とんでもないものを見せてしまったと...まず何よりも,Eaさんとダンサーたちに申し訳ない.
そして,半べそかきながら撤去.
その後,日本に持ち帰った機材は全てメーカーでチェックしてもらったのだが,結果メーカでは異常なく動いている.こういうのが一番怖くて,たぶん何かが弱っていて,例えば通常100のノイズに耐えられるものが,10程度でもうおかしくなるとしても,ノイズの無い綺麗な環境ではわからない.でも,安心して使えないから,極めて精神衛生上悪い.何だか,疲れがまたどっと...
でも,さいわいメーカーがとても協力的で理解が有るので,何とかいま予定されている公演に支障が無いようには
機材を貸してくれそう.
あと,泣きっ面に蜂というか,帰ってしばらくしたら,Philadelphiaの宿泊費の請求が僕のカードに来た.チェックアウトの時は,フェスが払うから精算はないと,受け付けのスタッフが言って,僕は支払いのサインも何もしていないのにである.いい加減過ぎるぞ,Sheraton Hotels Philadelphia.アメリカ側に文句を言ったら,フェスがホテルにクレームを付けて何とかしたとの事だが,何だかフェス側にも非がありそうな...しかもその金額はいったん引き落とされて,いまだ戻ってこないし,もうトホホな状態である.
しかし,そんなこと言っていても時間は進む.
茅野市でのlost初演と,Refined Colors公演とワークショップを楽しく終えて,スパイラルでの公演も無事終了.
観に来て頂いた皆さん,本当にありがとうございました.
機材もまあ何とかなった事だし,次はtrueの機材をYCAMでパッキング.夏以来,やり逃げ状態ですいません.次に向けて,いよいよ本格始動.
そしてそして,11月初めは松本市でのRefined Colors公演とワークショップ.その後続いて,ベトナムのハノイとタイのチェンマイで公演.
そして帰って,12月には金沢と横浜でtrueの公演が待っていて,その後1月初めからは,Eaさんのアメリカ長期一ヶ月7ヶ所ツアー!
がんばるぞ!ガンバリマスよ.続けていられるだけでも,幸運なのだ.
29日の月曜は悌二の命日.11年経ったよ.いまだにこうやって舞台関係の仕事が出来て,自分で作品も創れるという事に,文句なんていってられない.

Refined Colors@Tokyo

Rc_tokyo
公演のお知らせです.
今週末の20日(土)・21日(日)と,東京のスパイラルホールでRefined Colorsというダンス公演を行います.
http://www.refinedcolors.com/rc.html
これは,ご存知のように出演者はMonochrome Circusという京都のダンスカンパニーのメンバーで,テクニカルは今夏にYCAMで作った新作trueのテクニカルチームの中核と同じ,
ディレクション・照明:藤本隆行(Dumb Type) 
音響・ビジュアルデザイン:南琢也(softpad)
音響・プログラミング:真鍋大度
という面子です.
つまり,このRefined Colorsは,trueの基盤といえるような作品です.
製作から3年以上のアップデートを繰り返し,世界15ヶ所以上での公演を続けてきたその結果を,できることなら見とどけて下さい.東京で公演するのは,これがたぶん最後の機会になると思います.
そして新作trueも,この12月に行う金沢と横浜公演に向けて,いよいよ動きだしました.
請うご期待.
僕は,かなり疲れていたようですが,やっと訪れた秋の涼しさと共に,かなり回復したと思います.このブログも,がんばって再開しましょう.
それでは,よろしくお願いします.
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04年山口YCAMでの初演から、国内外15都市でのツアーを続け、世界的な評価も高い本作品。東京・スパイラルホールでの公演です。ぜひお見逃しなく!
日時:2007年10月
20日(土) 開演15:00 /20:00
21日(日) 開演14:00
会場:スパイラルホール
料金:全席自由 前売り2,500円 当日2,700円
ディレクション/照明=藤本隆行(dumb type)
演出/振付/出演=坂本公成(Monochrome Circus)
振付/出演=森川弘和・佐伯有香(Monochrome Circus)
振付=森裕子(Monochrome Circus)
音響/ビジュアル・デザイン=南琢也(Softpad)
音響/プログラム=真鍋大度
http://www.refinedcolors.com/
[光との旅]
Monochrome Circusが,旅と人との出会いを作品化していくシリーズを続ける中で,この作品に出会ったのが’04年。ツアー先各地の、光と音をサンプリングしながらシーンを更新していく中で、私達は様々な「光景」に出会った。東南アジアの極彩色の市場から、フランスの冷たい空気感や、東欧のやや陰鬱な光景、、、。
超ストイックな空間の中で、如何に空間に奥行きを与え、出会った「光景」のニュアンスを身体から滲んでいかせることができるか? 佐伯有香、森川弘和、2人のダンサーと共に腐心してきたのがこの作品だ。当たり前の事だが、光はダンサーに当たって反射し,観客に色として認識されるので,ダンサーは色が見えない、見えないものを触知しようとしてきたプロセスがこの作品でもある。
Monochrome Circus 坂本公成
[チケット取扱]
スパイラル4Fオフィス Tel/03-3498-1171(代表)
アンクリエイティブ Tel/03-5458-0548
[インターネットでの取扱]
Monochrome Circus Web申し込み: http://www1.neweb.ne.jp/wb/hot-summer/mc/
JCDNダンスリザーブ: http://dance.jcdn.org/
[お問い合わせ]
アンクリエイティブ Tel/03-5458-0548 
E-mail:office@ancreative.net
スパイラルホール
東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」B1出口前もしくはB3出口より渋谷方向へ1分。
〒107-0062 東京都港区南青山5-6-23 
Tel:03-3498-5936(会場直通・当日のみ)
web: http://www.spiral.co.jp/about_spiral/
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Refined Colors Performance
Refined Colors makes good use of the LED (light emitting diode) lights which generate about 16.7 million color variations with R(ed), G(reen), and B(lue) light emitting diodes. A feature of the LED, i.e., no requirement of large quantity of electricity and light mixing equipment, helps to make the Refined Color performance tour team full of mobility. The team needs only a notebook PC for all the operations necessary to create a variety of sound and lighting effects. It takes the advantages of the digital technology for incorporating the lights and sounds of various cities into its performing stage, and keeps updating its travel/work by connecting the different sights of cities one after another.
Date/Time: Sat 20 Oct. 15:00 / 20:00, Sun 21 Oct. 14:00
Venue: Spiral Hall Tokyo
Admission: 2500yen. (2700yen at the door)
Organizer: Monochrome Circus
Support: Color Kinetics Japan Incorporated, Wacoal Art Center,
the Agency for Cultural Affairs Government of Japan in the fiscal 2007
Cooperation: TamaTechLab, Kyoto Art Center
Co-production: Yamaguchi Center for Arts and Media(YCAM)
Tokyo present manage: An Creative Inc.
Direction/Lighting design =Takayuki Fujimoto (dumb type)
Direction/Choreograph/Dance = Kosei Sakamoto (Monochrome Circus)
Choreograph/Dance = Hirokazu Morikawa, Yuka Saeki (Monochrome Circus)
Choreograph = Yuko Mori (Monochrome Circus)
Sound/Visual Design = Takuya Minami (Softpad)
Sound/Program = Daito Manabe
http://www.refinedcolors.com/
[Travel with light]
It was in 2004 when Monochrome Circus came across with this piece of dance in a series of its effort to materialize travels and encounters with people into its works. We saw a spectrum of sights in the process of sampling lights and sounds and updating the scenes of our works in many destinations of our dance tours: vividly-colored markets of South-East Asia; cool and distant air of France; somewhat dark and depressive sights of Eastern Europe How can we transude the nuances of the sights we encountered from out of our body? How can we render a depth to the ultra-stoic dancing space available? Monochrome Circus fretted over these challenges together with two dancers: Yuka Saeki and Hirokazu Morikawa, and arrived at this piece. Needless to say, the dancers cannot see the colors; the light strikes at the dancers, reflects back, and is recognized as the colors by the audience. The process to feel and recognize what cannot be seen is nothing but this piece of work.
Kosei Sakamoto (Monochrome Circus)
[Only 28 lights]
Can only 28 lights do all the work,?
The LED lighting has a potential to transform the run-down warehouses and the deteriorated building floors into a venue for performing arts by using the digital lighting without requiring additional electricity nor light mixer, etc.
This Refined Colors is a piece of dance which keeps being updated. It has been performed at so many different places such as Asia and Eastern Europe as a sample of experiment to see to what extent we can expand the possibilities of expression with help of only a minimum machine and equipment. The lighting equipment used during the performance are 20 lights on the floor and 8 LED light suspended from the ceiling only. Those lights as well as the sounds are all synchronously operated from one notebook PC.
Takayuki Fujimoto (dumb type)
[Ticket]
spiral office: Tel/03-3498-1171
An Creative Inc: Tel/03-5458-0548
[Ticket by Internet]
Monochrome Circus Web: http://www1.neweb.ne.jp/wb/hot-summer/mc/
JCDN dance reserve: http://dance.jcdn.org/
[Inquiry]
An Creative Inc.: Tel/03-5458-0548
E-mail: office@ancreative.net
Spiral Hall
Omotesando subway Station (Ginza line, Chiyoda line, Hanzomon line) B1, B3 Exit
address: 5-6-23 Minamiaoyama Minato-ku Tokyo, 107-0062 Japan
tel: 03-3498-5936 (direct line only connect on the performance day)
web: http://www.spiral.co.jp/about_spiral/

lost

Philadelphiaでの反省をいまだ書かないうちに,次の事が起こってしまう...
詰め込み過ぎだと,無理を言って付き合ってもらっている友人にいわれながらも,次から次に転がっていく.
でもね,こんなことはそうそう続くものではないので,続く限りは行けるとこまで...と,覚悟を決めたここ最近です.
次はきっと,Philadelphiaでの失敗談を書きませう.
その前に,お時間のある方は,6日(土)の19時から,ここに繋いでみて下さい.
http://www2.chinoshi.net/shiminkan/index.html
Monochrome Circusとの最新作「lost」というダンスパフォーマンスの,世界初演生中継が配信されます.
どんなふうにみえるのかは,ちょっと分かりませんが,30分ほどの作品なので,どうぞおつきあい下さい.
Lost_invitation_chino_3

プレゼンテーション“lost”
会  場=茅野市民館内 茅野市美術館
日  時=:2007年10月6 日(土) 開演19:00
演出/照明デザイン=藤本隆行(dumb type)
演出/振付=坂本公成(Monochrome Circus)
振付/ダンス=森 裕子(Monochrome Circus)

Philadelphia

Sun_dawn
今日は家族と,鞍馬から貴船に歩いて,その後また叡電で鞍馬に戻り温泉に浸かり,汗を流したあとは駅近くのオーガニック・ティーハウスでくつろぐ.4歳に近づく娘は,鞍馬から貴船までの山道を,歩き通した.父ちゃんがいない間も,成長しちょります.母子でがんばってるわけですな.
久々の山歩きは,鈍った身体には足がガクガクするほどで,その間に汗をかいた後に温泉でぶわーっと流して,ようやく身体がいつもの状態に戻り始めた感じ.
8月初めからの日々は,楽しく面白く,その分特殊で忙しく目が回るような時間だった.
まずは,砂さんのソロで,デスクワーク中心だった今年前半の僕の身体を舞台寄りに調整.
その後3週間は,YCAMでどっぷりクリエーション.自分の選んだクリエーションメンバーで,いちから舞台作品を作り上げるなんて,一生にそう何度でもあるもんじゃないと思っているので,日々その時間を堪能.自分の能力では手も出せないようなイメージが,何人かの手を経て,思いもよらない形で舞台上に現出するのは,何ものにもかえ難いほど面白い.
その結果,なんとか「true」というパフォーマンスは人前に出せて,これから更新していける感じになった.
と,ここまでは良かったんだけど,その後が大変.
思ったように身体が動かない,というのとはちょっと違う気もするけれど,何だかねジイサンになったということでしょうか...
true公演翌日に,長らくお世話になったYCAM_StudioBに別れを告げて,公演を観に来てくれた家族と京都に戻り,自宅に一泊.翌日朝に関空に向かい,昼の便でDetroitからPhiladelphiaへ飛ぶ.EaさんのDrought and Rain Vol.2@Temple University Live Arts festivalのため.
http://www.livearts-fringe.org/2007/details.cfm?id=1098
アメリカね,どうも大変なんですよ.水があわないというか,たぶん時差がきついせいか...でも今回は,そんなレベルじゃなくて,僕の怠惰というか反応の遅さで大変な目に遭いました.おかしな事が起こった時に,その原因を探り当てて対処していくのが,何事につけプロフェッショナルに求められる能力だと思うのですが,そういう力が疲労からか思った以上に減衰していました.
すいません,Eaさん.(Philadelphiaでの惨状は,忘れないためにも後日レポート予定.)
それでまあ,最後まで時差ボケと数々のアクシデントに四苦八苦しながらも,優に予想の2倍はあるハンバーガやオムレツやフレンチポテトなどを朝に昼に夜中に喰らいながら,青息吐息でEa Sola公演@Philadelphiaを終了.10日の昼前に現地を出て,11日の夜に関空に着くという,どう考えても半日くらい損したようないつもの時差マジックを体験しつつ帰国.
帰国からほぼ一週間経つけれど,ようやく自分の体の現状を認識できてきた感じ.かなり疲れていたようです.
頭では,「疲れてる」と思ってたんですが,それがどの程度か鞍馬で実感しました.つまりは回復のきざしか.
それでようやく,日常に戻ってきた感じ.
写真は,時差ボケの証というか,ホテルから見た朝焼け.朝でも夕でも普通は見ないです.寝てるか劇場で仕事してるもの.

true@YCAM 02

制作日記の方は,青息吐息ながらほぼ毎日更新しております.
www.true.gr.jp
夜中にレオパレスに帰ってからの更新なので,時々日付が変わって中1日空いてたりしますが,気分は毎日更新.
ちなみに,tureドメインの「gr」はgroupの略だそうです.
.comも,
.or.jpも,
その他いろいろ探したんですが,「true」というのは,たいていもうどっかが押さえて,高値で売ってたりするんですね.
なんともまあ,見事な錬金術!物質的にはまったくの無から,形のない技術や信用のような関係性からも離れて,言葉しかもアルファベットの組み合わせだけで,お金もうけができるわけですな.
ドメイン取っておいて,こんなこというのもなんですが,「.com」なんかが押さえられたら,もっともらしい理由を付けて「.gr」などを「地域属性ドメイン」なんて,それらしいブランド名で売り出すわけですな.
で,僕なんかが買うと.
うーん,食べるものや,着るものは,どうなっちゃうんだろう...

true@YCAM_01

Karinui_2
YCAMでのtrue滞在制作日記を,ようやく書き始めました.
こっちにも,いろいろ書けるかな?
とりあえず,おヒマな時にのぞいて見て下さい.
http://www.true.gr.jp/diary/index.php
目指せ,毎日更新!
写真は,仮縫い中の衣装.

FCB

First-Class Barbarian終了.
trueクリエーション開始,YCAMへ.
砂山氏の公演は,良い意味での力技.そこだけ切り取って観れば,こっ恥ずかしかったり,繋ぎが悪かったりする場面もあったと思うが,それすら作品の一部だと好意的に受け取れるような,良い公演でした.そこまでもっていったのは,彼女のスピリットや技量でしょう.
例えば,振付家や演出家などという人達がいて,誰か,パフォーマーやダンサーという人達に指示を出す,という形では決して生まれえないものでした.まさに体当たり.
しばらくディスクワークが続いていた身には,いいリハビリでした.
3日間の仕込み・リハ・公演・撤去の合間に,「true」の制作発表記者会見@渋谷アップリンクなんて,今まで生きてきた中で初めてのことんなんかもあったりして,この歳になって記者会見初体験...色んなことがあるもんです.
今日はすでにYCAMに入って2日目.
true制作の模様は,おいおいまた.

Kagurazaka die pratze

これはまた,凄い楽しいというべきか,見ようによっては追いつめられているとも言える状況.
上海から帰って,8月の「true」YCAM制作/公演の準備をしつつ,9月「Ea Sola」アメリカ公演の打ち合わせをしつつ,10月・11月の「Refined Colors」公演のやりとりをメールしながら,12月の金沢・横浜「true」公演の...
と,その前に忘れちゃならないのが,明日・明後日に神楽坂die pratzeで公演の,砂山典子パフォーマンス「First Class Barbarian」.期待に違わぬ,パワフルかつ珍妙な?!作品.
今日は,その仕込み.久々に,現場に入って,しばらく忘れていた感覚を取り戻す.前は,アサヒアートスクエアーでの,esquisse quartettoの公演.長いこと仕事してないねぇ.そんなことで大丈夫なのかワタクシ...
しかしまあ,昨日までは,あれもこれもと焦りながらも,まあ長いこと娘と一緒に居れる時間もあって,はぢける前の静けさとでもいうか,少々時間がゆっくり流れていたのだけれど,昨日からはいきなりワープするぐらい加速.
バタバタじたばたしながら,びわ湖にSasha Walts & guestsの「Korper」を観に行って,そのまま新幹線で東京入り.新幹線の中で,照明のキューをプログラムし始めて,本日仕込み/クリエーション/パートリハ,明日本番です.別に手を抜いてたわけじゃありません,この場所でしかできないことを,この場所で作ってるだけのこと.ツアー等,内容と別のことは一切考えない,この場だけの一本勝負.これこそ,見逃したらもう二度と...
お時間のある方は,明日・明後日にぜひ神楽坂die pratzeへ!
そういえば,「Korper」の一週間前に,寺田みさこさんの「愛音」も観ました.何よりも,高嶺格のセットデザインが印象的.いい仕事してました.びわ湖のフェスティバル,他にもいろいろ観たい作品はあったのに,今年はこれで精いっぱい.

Shanghai 03

Sunday_loadBacksideMaruyakiDim_sumLubolang
段ボール肉饅の話を書こうかと思ったら,捏造らしいとのニュースが23で流れていた.
上海で一番感じたのが,食への執念というか,簡単にいえば1元(約16円)の肉饅でも,当然とにかくまずは基本美味しいのが当たり前という質の高さである.
日本だけじゃないけれど,安かったり夜中に開いていたり注文してから来るのが速かったりという条件があると,まあまあの味でも食べられるだけでも幸せというような感があるが,それは上海では通じない.
たまに,化学調味料てんこ盛りか?という味に出会う事もあるけれど,とにかく何処でもまずは美味しい.美味しいのが当たり前,その上で遅くに開いていたり,値段が安かったりという特徴で,客を集めているという感じなのだ.
そのもっとも印象的なのが,道端で売ってる点心だった.だいたい1元,高くっても2元以下で1個.僕の知っている言葉で書くなら,糯米萬頭だ焼売だというものが,ワサワサ人が集まっている道端で売られていく.「何て美味しそう!」という期待に違わず,それらは美味しいのだ.高額のレストランが美味しいのは当たり前,でも上海では1元の萬頭でも美味しくなければたぶん人は買わない...なかなかすてきな街でした.
帰国当日,フライトが18時過ぎなのでそれまでの数時間,美術館の人が残園に連れて行ってくれた.日本でもさんざん紹介されているだろう,上海随一の観光地/旧市街.その中でも,USA_クリントンやUK_エリザベス女王が訪れたという「Lu Bo Lang(緑波廊)」でランチ.とっても美味しゅうございました.

Shanghai 02

TobiGranularNabe
もう何日目だか判然としない,蒸し蒸し泥デロ搬入.
しっかしまあ,英語の通じない事.いや,別に中国人が,英語を話せなくてはいかん,といういわれはないのだが,しかしお互い相手の言葉が話せないのに,どうやってコミュニケートすればいいのやら.
それはさておき,日々工事現場みたいなところで,作品の組み立てをしているわけだが,いろいろと呆れる事,感心する事多し.さすが中国四千年の歴史,侮りがたし.
昨日一番感心したのは,最初の写真の鳶職人.まだ十代でも通じそうな若者で,作品の構造を固定するワイアーの仕込みを頼んだら気軽に引き受けてくれた.何処から張ろうかと訊くので(身振り手振りで),できたらあそこからがいいなぁでも無理かなと,10mほど上の梁を指さすと,「あいよっ」と消えて行った.で,数分後にはひょいひょいとその梁の上を歩いて行って,両手を放して普通に立ってこっちにワイアーの端を投げてくれた.命綱もセーフティネットもない,ちょいと散歩に行くような気軽さである.
美術館の表に仮設されている,分館のような展示スペースも凄い.2枚目の写真の構造が出来上がるまで,ほぼ4日.建築足場とプラスティク製の布の構造で,天井部や床のパーツを除けばほぼ2日で,何にもない空き地にこれだけのモノが立ち上がった.けっこう強い夕立なんかにも耐えて,どんどん建築物らしくなっていく.
3枚目は,夜中近くに唯一開いていた食べ物屋にて.ひどくお腹が空いていたので,3人で行ったにしては頼み過ぎ.しゃぶしゃぶ屋さんみたいなところで,いろんな具をこまごま頼んで楽しむ.茸の盛り合わせは,初めて見るモノもあって(ひょっとしたら,知ってる茸が巨大化しただけのものかもしれないが...),興味は尽きず美味しくいただく.

Shanghai 01

上海に来て数日.
今回は,ダムの作品のインストール.O Art Centerという美術館でひらかれる,Body Mediaという展覧会.
僕たちの作業の様子も含めた日々の詳細は,美術館のブログで公開されている.
http://www.oartcenter.com/wblog/
上海は,僕が生まれて初めて訪れた海外の地でもある.
1984年ごろ,日中国交正常化がなされてわりとすぐに,ひょんな事から上海・西安・北京と廻るチャンスがあって,生まれて初めて国外に出た.あれから数十年,当然隔世の感がある.その時は,まだこっちの人はほぼ全員人民服を着ていたのだ.
上海は2010年にエキスポが,北京は2008年にオリンピックだ.なので,もう街中が工事中.しかし,東京オリンピックと大阪万博や,バルセロナオリンピックとセビリア万博みたいに,こういうのはセットになっているものみたいだなぁ.そうやって,一時期に一点にお金が集中して,「開発?!」されて行く事の繰り返しで,ずっと稼いでいる人がいるのだろうね.
しかし,この時期の上海,毎日曇っていて,京都以上の湿気と熱気.まるで,埃だらけの蒸し風呂です.ただ,ご飯はたいてい何処で食べても,安くて美味しい.
そうそう,YCAMのサイトに,9月の新作「true」の紹介ページができました.また,チェックしてみて下さい.
http://www.ycam.jp/?module=event&action=show&id=572

true_YCAM residence 02

PhotoImage
あっという間の一週間.
フライヤー用の写真撮影を軸に,いろいろ試すことができた.制作に入ってしまうと,とてもあんなふうに,撮影に時間を割くことはできない.
まだパフォーマンスの具体的な内容は,ほとんど決まっていないが,写真用のビジュアルを作っていくというのは,服や明かり.人のポーズや小道具など,ある意味公演のためのガイドラインを作ることにも近いので,かなり夢中になってしまった.その分,音はおいてきぼりになった感があるが,まあM鍋氏との制作は,かなり場数をこなしているので,何とかなるでしょう.それよりも,もう一人の音響担当のMナミ氏に,早くビジュアルデザイン作業から音制作にシフトしてもらわないと...

First-Class Barbarian

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前述の「true/本当のこと」の製作に入る前に,東京の神楽坂 die pratzeで公演する,C.Snatch Z.こと砂山典子さんの,「First-Class Barbarian」というパフォーマンスの照明を担当します.
出来立てほやほやのフライヤーが送られてきたので,貼っときます.
正真正銘体当たり,これを見逃す手はないです.東京の皆さんもそうでない方も,8月6日(月)7日(火)の夜は,ぜひ神楽坂 die pratzeへ!

true_YCAM residence 01

True
すでに山口情報芸術センター(YCAM)の情報誌で発表されたが,8月にパフォーマンス作品を滞在制作して,9月1日(土)に初演します.
タイトルは「true/本当のこと」,参加メンバーは下記のようになってます.
true creation member :
振付・出演: 白井剛(発条ト/AbsT)
振付・テクスト・出演: 川口隆夫(Dumb Type)
ディレクション・照明: 藤本隆行(Dumb Type)
音響・映像・ビジュアルデザイン: 南琢也(softpad)
音響・プログラミング: 真鍋大度
映像・プログラミング: 堀井哲史(rhizomatiks)
機構設計: 齋藤精一(rhizomatiks)
石橋素(DGN)
センサーシステム: 照岡正樹(VPP)
衣装: 北村教子
この,僕的にはかなり豪華なメンバーで,YCAM公演は一回のみ.皆さまお見逃しないように.
それで,一昨日から8月製作の実験をするために,山口に滞在中.YCAMに籠もるのは久々だが,製作のしやすさは以前と変わらない.もちろん,よく知っているというのもあるし,設備が良いというのもあるけれど,やはりこういう劇場やアートセンターを支えているのは,結局は中のスタッフだなぁということを,改めて実感する.
一緒に作っている,という感じがするのですよ.
乞うご期待.

Gyoza

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めずらしく,家族が揃う日曜日.(普通は,平日に休みをあわせることが多い)
突然強い雨が降る変わりやすい天気だったので,外に遊びに出るのはやめて,ウチで昼ご飯に餃子を作ることにした.「こどものとも」のわりと新しい号に,姉弟が餃子を皮から作る絵本があって,それがこのところ娘のお気に入りだったので,それじゃあ実際にやってみようかと.
ずいぶん前は,手打ちパスタなんかも作っていたことがあるのだけれど,このところ仕事に追われて,洗濯くらいはしても料理は妻に任せっきりの毎日だったので,久々に一緒に食べ物を作った.
やってみるとやはり面白い.例えば,手で広げた皮は,やはりどうがんばっても麺棒で伸ばしたものより厚く,それは皮だけの見た目ではわからないのだけれど,水餃子なんかにして食べてみると,如実に口の中で違いがわかる.手で伸ばした厚ぼったい皮の餃子は,それはそれでネパールの餃子(モモ)みたいで,ボリュームはあるのだけれど,やはり皮が薄くてきゅっと餡を包み込んで締まっているのは,なぜだか洗練された感じがする.
娘も大層楽しかったようで,昼寝から起きた第一声も「餃子美味しかったね!」だった.食いしん坊...
夕方には,3人で近所を少し散歩して,なかなか初夏の穏やかな日でした.
そろそろ今年前半の,ゆるゆるとした日々が終わろうとしている.
後半は,いま見えている限りでも,なかなか疾風怒涛.
詳細は,またおいおい.

A regrettable feeling

Bu
アートスクエアーでのesquisse quartettoコンサートは,楽しく終了.LED12灯だけ,仕込みからオペレーションからバラシまで,一人でできる範囲の仕事としては,それなりにうまくいったと思う.これもLEDの特性を活かしたといっていいかな.
帰りに,長年良いデザインのモノを探していた,ブタの蚊遣りに遭遇.速攻で購入.今は,ウチに鎮座ましましている.なかなか可愛い.
6月1日は,とある照明のシンポジウムに参加するが,これが非常に残念な感じのもの.
会場は大学で,産学協同何ちゃらとうたっているが,まがりなりにも劇場舞台関係のメーカーが主催して,それなりのゲストや世界初お目見えの新機材のデモなんかあったわりには,舞監もMCもいない.自分が参加しておいて,悪口を言うのもダメな話だと思うが,いい加減なことをしていては,「こんなもんで良いのか」と学生は世間をなめるし,お金を出してる企業も報われない.まあ,企業は自業自得だが...しかし,そこのお客は舞台やテレビの業者さんつまりその手のプロが多いわけで,そんなことは百も承知のはずなのに,あんなイベントの仕切り方をしてしまうのは,ヤバすぎるんじゃないかなぁ.
学生と業界のプロの両方を,ちゃんと満足させるための補助線にアートを使う,というのは良い考えだと思うけれど,それ相応の覚悟で取り組まないと,どちらからも突き放されてしまう.その辺りがわからない,舞台関係のメーカーって???
まあ僕としては,かなり好きな会社であるHigh End Sysyem社のCEOやテクニカルの方といろいろ話せたし,それぞれに活躍中の皆さんの仕事も垣間見れたので,収穫はあったんですけどね.

Asakusa

Sanjya
5月19日
明日にある,esquisse quartettoの公演の為に浅草入り.街はちょうど三社祭.しかし,京都の祇園祭みたいな賑わいを想像していたので,ちょっと肩透かしをくらった感じ.あんなに,身動きも出来ないくらいに,観光客が押し寄せてきているわけではない.でも,まあそれは僕の勝手な思い込み.それなりの人出だし,神輿を担ぐ男衆のみならず粋なオネーサンやちびっ子まで,鯔背な格好で街を闊歩している.今でもまだちゃんと,この街の人たちのお祭りなのだ.
何だか嬉しくなって,一人でそぞろ歩いたら,アジアの屋台街みたいに道にまで床几が溢れ出した一角にでる.どこもメインは牛筋煮込みだけれど,他にも店によっておでんやら焼き鳥やらお好み焼きやら...いやあ,浅草,いいなぁ.
昨日は,伊丹に白井剛+アルディッティ弦楽四重奏団の「アパートメントハウス1776」公演を観に行った.観に行くまでは,白井君のダンスを観るという気持ちが強かったのだけれど,始まったらぐんぐんアルディッティ・クアルテットの演奏にも引き込まれる.あの手のレコーディングされた音を聞いていると,たいてい眠くなるのだが,ライヴは音の振動というか空気の震える感じが押し寄せてきて,全然眠くなるようなものじゃなかった.
もちろん,白井君のパフォーマンスと映像も,とても面白かった.非常に抑制された照明も恰好良い.でもなにより,舞台上の中年のおっちゃん4人が,当然ながらどんな舞台装置もかなわないものすごい存在感を放射している,
そして今日は,浅草に来る途中に,横浜に寄って去年亡くなられた吟遊詩人故ハムザ・エルディーンさんの追悼イベント「ハムザ・デイズ」に寄り道.
今日の夕方のライヴは,劉宏軍(バーウ、笛)・常味裕司(ウード)・おおたか静流(ヴォーカル)・クリストファーハーディ(タール、レク、ダルブッカ)という構成で,会場にはおおたかさん目当てのちびっ子も多くて,なかなかの盛り上がり.明日も,違うメンバーでライヴがあるようです.
http://www.yamaboshi.com/hamza/liveschedule.html
こちらも,明日18時からesquisse quartettoの東京/浅草公演.僕が照明で参加するのは,明日が初めてなので,僕にとってはワールドプレミア.うー,緊張する.皆さん,観に来て下さい.
http://www.p3.org/aas/

esquisse quartetto

Img663_ev_esqqurt
久々に,コンサートの照明をします.
といっても,「インスタレーションとコンサートの間くらいで...」というお話で,挑戦させてもらっている.
esquisse quartettoは,京都をベースに活動しているmamamilkというバンドの,生駒さんと清水さんが中心となった新ユニット.手廻しオルゴールを中心にトイピアノや、リコーダー、ヴォイスの織りなす詩的な世界.
僕が参加するのは,東京公演のみだが,下記をご参照の上,タイミングのあう方はぜひどうぞ.
http://www.windbell.info/evnt_esqquart.html

A long holiday 2

京都に生まれて,このところ年々京都が好きになってきたと,ずいぶん前に書いたが,連休の京都はいささか話が違う.
何処に行っても人ヒトひと.
来て頂いてありがとう,と言いたいところだが,どうも僕個人的にはあの溢れ返る人とは,関係ない所にいる気がする.実は,目を家族や親族に広げれば,観光客の人々にけっこうお世話になっているのですが...
なので,まあ出来るだけ人混みにあわないように,あまり人の来なさそうな所に的を絞って,この3日間娘と散歩に出かけた.
5月3日は,逝ってしまった金魚のぐるぐるを埋葬する為に,疎水の横を沿って行って鴨川へ.冷泉通りが鴨街道に突き当たる所に小さな児童公園があって,そこの桜の樹の下にぐるぐるを埋める.
4日は,吉田山の頂上近くにある公園へ.ここには,道さえ知っていれば自転車で来れる.黒谷から真如堂経由で,なかなかに良い道.途中,時代劇を撮れそうな所もある.公園の近くには,茂庵さんというなかなかに優れもののカフェもあり,存在を知らずにたどり着いたら,相当嬉しいだろうなと思うような,隠れ家的(でもきっと雑誌とかで有名な),場所である.今回は,娘と二人だけだったので,茂庵さんには寄らず公園でお弁当を食べて帰宅.
家人は観光地の仕事場で働いているので,こういう時期ほど書き入れ時なのだが,忙しい合間を縫ってピクニック用のサンドイッチ・ランチを作ってくれていたので,それを娘とほおばって帰ってきた.いやぁ,ご馳走さんでした.
5日は,蹴上のインクラインの線路を登って,上がり切った所の児童公園へ.途中,蹴上の浄水場のツツジ祭りの様子を右手に見つつ,あちらとは打って変わって人の少ない道を歩く.そして公園で遊んだあと,水楼閣へ.この,蹴上の水力発電所から南禅寺の水楼閣へ抜ける道は,派手さはないがちょっとスリリングな散歩コースで,歩いているのが人造の水路とそれに付随する歩道だと思うと,その建造に要した労力に感心する.
水楼閣に出ると,そこはすごい人で,改めて観光地に住んでいることを実感.
別に不平不満は言いません.きっと,いくばくかは,この人出が僕の生活にも関係しているんだろう.
願わくば,そのいくばくかのお金でも岡崎の動物園にまわっていって,もっともっと動物にとっても面白そうな施設に変わることを望む.

A long holiday

DaimonjiGuruguru_die
まあ,長いタイトルほど,あまり書くことが無いようなのだが...
連休は,保育園が休みで,僕は続けて娘と日を過ごす.まあとにかく,日ごろとは違う行動パターンになるので,いろいろ発見も多い.近所の散策だって,娘が産まれなければ,これほど歩き回らなかっただろう.視線は常にもっと遠いところに向いていたようなので,京都の良さを再認識させてくれたのは,彼女の存在だといえる.
前に書いた大文字山も,毎日自宅から眺めていたとはいえ,わざわざ登りに行くなんて,前は考えもしなかった.でも,改めて登って見ると,なかなか面白かったりして...
そんな連休のさなかのある朝,ウチの金魚が死んでいた.
今年の初めに飼い始めた,ぐるぐるという名の赤い金魚らしい金魚だったのだけれど,世話が足りなかったのか,レトロな水槽に水草のみという環境が悪かったのか,徐々に弱ってきたのは気になっていたのだけれど,遂に逝ってしまった.
僕の世代ですら,死は身近でなく,あまり亡き骸を見ることは多くない.昆虫類はともかく(ゴキブリを叩きつぶしたりもするので),もっと大型の生命体の生きている様が,死骸に変わるのを見ることは稀だ.
亡き骸を見て,改めて実感したのだが,生きているものと死んだものの間には,宝石とそこらの川石くらいの違いがある.何というか,生きてる時には当たり前すぎてわからないのだが,金魚の死骸といえども,何だか内から光り輝いている感じが無くなるのだ.
「魂」という概念を,当たり前に多くの文化が持っている理由を実感できる.
まだ3歳半の娘が,完全に死を理解したとは思えないが,彼女もぐるぐるん死を悼んでいる.去年,祖父が二人とも逝ってしまったのも,現実としてちゃんと理解しているようなので(つまり,もう会えないということ),それよりももっと身近なぐるぐるの死は,彼女にとってものすごく大きな出来事かも知れない.
それが恐怖にならないように,できるだけちゃんとケアーしたいと思う.
写真は,自宅から望む大文字山と,手製のお棺に入ったぐるぐる(冥福を祈る).

Mt. Daimonji

Daimonji_2Daimonji_1
あまり連休とか祭日に縁のない生活をしているが,たまたま今日は家族三人休みだったので,出かけることに.娘3歳半にして初登山.大文字山の山頂を目指す.
正確に言うとてっぺんではなくて,頂上近くの「大」の字の広がっているフィールドである.
銀閣寺の横から歩き始めて,どれくらいかかっただろうか?まわりは終始,人がいる.大文字山,えらいこと人気のスポットらしい.平日の方が人が少ないのかというと,それはそれで幼稚園や小学生の遠足で,ごった返しているという話もある.
中には,スカートを履いて登っている人もいるぐらい,なめられている山だが,いやいやなかなか変化に富んで面白い道.今までの人生で2〜3度登ったことはあるが,途中の道はあまり覚えていない.登り切った時に広がる京都の町の風景しか記憶になかったが,緩急のある坂に階段に,急に広がる広い空間もあって,新緑の登山道は楽しかった.
好天に恵まれたせいもあるのか,娘はほとんど自力で上まで登り切った.
本当によく聞く弁ではあるが,いやホント,あっという間に大きくなるもんだ.

“lost” creation

Sosui
めずらしく京都で制作中.そして,なかなかに規則正しい生活.
短いパフォーマンス作品を,Monochrome Circusの二人と創っているのだが,まだ公演予定はない.こういう作り方も初めてなのだが,とにかく彼らも僕も4月中に時間があって,練習場所も確保されており,少し暖めていたイメージも持っていたので,何処でいつ公演するかというのは創ってから探すことにして,基本的な構造を組み立てはじめた.
おかげで,午前中は自宅で事務仕事や図面作業をして,午後は京都芸術センターへ通う毎日.しかも土日は作業は休みで,彼らはワークショップ・フェスティバル,僕は土曜は別の作業で日曜は子供の世話.
いやいや,先だってのシンガポールのように,通常はどこかで滞在制作というのが多いので,制作となると2週間なり3週間なり,ほぼスタジオ/劇場に籠もって集中するということになる.それは,どちらかというと非日常の時間なのだけれど,今回はその時間が日常の中に流れ込んできて,気がつけばそれは大学生の頃の生活のようでもある.午前中が一般教養で,午後は制作みたいな...
ちなみに,それじゃあいつもは京都にいる時は何をしているのかというと,こちらも制作には違いないのだけれど,図面や企画書制作,メールでの打ち合わせなどと,ひたすらコンピューターの前に座っているのだった.
作品のタイトルは,まだ仮題だけど「lost」.12灯のLED照明と,中古を譲ってもらったスタジオモニター用スピーカー1セット,それにダンサー独りの作品.5m四方以上の踊れる空間があれば,あとは家庭用の壁コン1個から取れる電力だけでOK.ギャラリーなんかでまわりが白い空間ならかなり強力な公演ができると思うが,別に床も壁も白くなくても上演可能な作品になってきている.
ところで写真は,近くの疎水を観光シーズンだけ運行している十石舟に乗った時のもの.桜の季節とも相まって,なかなか侮りがたい.花筏も美しく,普段とは違う目線で見たご近所の風景は,とても新鮮に映った.
端的に言えば子供へのサービスの一環として,観光客に交じって乗った訳だが,改めて普段何百何千回と見ている景色の中に,どれほど見えていないものがあるかを実感.なかなかのお勧め.できれば一人ではなく,誰かと一緒に乗るのが楽しかろうと思います.