power plant

本日,スロベニアのLjubljanaに移動.
でも,とりあえずWolfsburgの公演会場である発電所の中がすごかったので,写真をいくつかアップ.
まずは,照明を吊るためにトラスが降りている舞台.とにかく仮設とは思えないくらい機材が豊富で,望むものは吊り放題.次は,客席とその横にしつらえてあるバーの様子.そしてバー/歓談室.
あと,リハーサルルームというか空間はこんな感じ.
舞台の下,奈落にはシャワーとトイレがこれまた仮設されているが,その様子だけでもちょっとした地下都市.
最後は,リハーサル空間に続く機材置き場.
とにかく,圧倒的に存在感のある空間でした.
明日からは,LjubljanaでVoyageのセットアップ開始.

Wolfsburg

Hanoverから車で1時間くらいのところにある,Wolfsburgというところに滞在中.
このWolfsburg,町というにはあまりにも奇妙な場所である.そこで行われるmovimentosというフェスティバルのセットアップに数日だけ参加.
ここは豊田市のフォルクスワーゲン版というか,元々ナチスがワーゲンの生産強化のために,何もないところに発電所から建て始めて工場を作り,そしてその労働力としての住民の町を作ったのが始まりらしい.それが車の(「車で」ではなくて「車を」買うための)お買い物を楽しみつつ滞在できるような万博もどきのテーマパークになっていて,だだっ広い敷地の中に幾つものパビリオンが点在している.
ホテルはただ一つThe Ritz Carltonしかないのでそこでお泊まり.遠くに,よくミニカーをプラケースに入れて展示してあるのを見かけるように,実車をガラスの高層ビルにぎっしり並べてあって,そこを螺旋状の通路に沿って車で動きながら,欲しい車を選んで購入できるビルが,3つくらい並んで建っているのが見える.
圧巻は,この場所の基となった発電所で,まだ現役で稼働中.並んだ超高い煙突が,ファシスティックに威圧してくる.そして,そのまだ現役の発電所の中に特設ステージが組まれていて,公演はそこで行われる.
かなりの客席数がある巨大なステージが組まれていて,お呼ばれされたおセレブな御人たちが,かなりコンサバなチョイスのショーを見ては,夜な夜なその後のパーティでご歓談なされるらしい.
舞台は仮設といっても,ドイツらしくしっかりと組まれていて,発電所の中の年季の入った広大な空間とも相まってすばらしい.
しかし,どうもこのお泊めいただいているリッツ・カールトンといい,その周りの風景といい,広大な敷地内に犬の糞どころか塵一つ落ちていない,上手にカモフラージュされた監獄みたいなところである.
写真は,部屋の窓から見える発電所(劇場でもある)とプール(昼・夜)、車のショー・パビリオン、送迎車のスピードメーター!320kmまで切ってある。

Wien

ただいま,ウィーン空港でハノーバー行きの便を待っているところ.ハノーバーからほど近いところにあるらしい,Wolfsburgというところで,Eaさんの公演がある.今回はスペシャル企画で,15年前に初演されたDROUGHT AND RAIN VOL.1と,去年公演したVOL.2をあわせて観せる.Vol.1はベトナム人のおばあさんばかりで演じられ,Vol.2は同じくベトナムの若手ダンサー達が踊る.
僕はこのVol.2に,LED照明を持って参加しているのだが,残念ながら今回は,ダムのLjubljana公演と日が重なって参加できない.ならばせめて仕込みだけでも手伝おうということで,今日からWolfsburgに入る.
Wienでは,友人宅ですっかりくつろいで,昨晩は数人の日本人で宴会.せっかく奮発して買った(ウィーン市内の日本屋という店)芋焼酎がちょっと残念な代物だったが,それ以外は昆布と鰹節でしっかり出汁をひいた簡単和食.久々の味で満足.お世話になりました.(写真は,友人宅)
しかし,この前までワイアレスのないpbG4だったので,全く状況を自覚していなかったのだが,この頃のワイアレス環境はすごいことになってますな.今も,空港のゲートの待合室で,コンピューターを開けると,いくつかのネットワークが見える,そのうちのWireless Vienna Airportというのに試しに繋いでみると,何の認証もなくネットに繋がった.
その他,この前Glasgowで30日間入ったワイアレス・プロバイダーのHotSpotも至る所にある.
実は出発前のゴールデン・ウィークが祟って,せっかく発注しておいたアップルのUSBモデムが届かず,現機にはモデムがない状態なのだが,ほとんど困らない.
携帯も合わせたら,周りは電波だらけだ.

EURO CUP

5月16日17日と,何でこんなにどこもホテルがとれないんだろうと思っていたら,サッカー・ユーロカップの決勝戦だかなんだかが,パリで開催されていた.マドリッドとバルセロナの対戦.スペインでやれ!そんなのスペインで!
おかげでパリは,どこに行ってもむさいおっさんが群れをなして大声で歌いわめき騒ぎ,酔っぱらい,地下鉄のドア越しに罵り合い,暑苦しいことこの上ない.ホテルは,星付きからバックパッカー御用達まで何処も満員で,知らずにパリにたどり着いた旅人たちは,ねぐらを探してうろうろしている.
僕は,前述の友人が紹介してくれた,ピガール辺りの小さな宿で部屋を確保,おかげさまで快適に過ごすことが出来た.
この宿,パリにしてはすごく安いが,部屋はきれい.トイレは廊下だがシャワーは部屋に付いている,という自慢気な宿の親父の言通り,確かに写真のようにシャワー箱が部屋に付属.箱としか言いようのないようなものだが,これでも立派に温水は出るし,おもしろがって茶化して紹介はするが,宿としてもかなり良いところです.特に,周りの界隈が,コジャレなブティックからSEX SHOP,高級食材から中華のテイクアウトまで,何でも揃ってしかもカフェなどは夜中でも賑わいを見せている.とても楽しい地区でした.
Eaさんの公演のための照明引き継ぎは,Carlosと旧知のインディペンデント・ディレクター氏の自宅で作業.はじめは劇場の片隅でも借りようとしていたのだが,色々あって個人の自宅をお借りすることに.
この家が,またすごく居心地が良い.独り身だという,50過ぎくらいに見えるディレクター氏が,自分の居心地が良いように造っていった自宅.もうたぶん一生行くことはないだろうし,とにかく車で連れて行かれたパリの東の外れで,未だにどこだかわからない.でもとても良い家だったので,とりあえず写真を1枚.
当のディレクター氏には,初日に笑って握手をした後はついに会えず,結局名前もわからない.
17日夜には,パリ郊外でやっていた,Preljocajの1989年の作品「Noces」の再演を観に行く.いかにもヌーベル・ダンスというかヌーベル・バレエ.良くできた振り付けで,なかなかよかったです.椅子というかベンチ使ってました.これはヌーベル・ダンスのお約束なのかな?
そして,18日早朝に友人を訪ねてウィーンへ向かう.ここからは短いながらも休暇モード.3日間は,打ち合わせも何もなし.早朝の便だったので,朝6時前にパリ北駅へ.駅に入ると,そこはさながら野戦病院のような状況.
ホームレスならぬホテルレスの人たちが,若者のみならずいい歳をしたおっさんまで,駅の床でごろ寝.その横を早朝出勤の人たちが平然と歩いていたりして,異様な風景.でも,パリではよくあることなのか,寝ている方も通り過ぎる方も平然としている.僕も,これが昨日大騒ぎしていた群れかと思うと,あきれるばかり.こんなにまでして応援に駆けつけるその情熱の大きさよ...
そして,無事ウィーンの友人宅に着く.

Paris again

打ち合わせと仕事の引き継ぎのため,再びパリへ.
この前と同じ,ネット環境の快適なホテルに泊まるが,4日間の滞在のうちの後半2日は,何だか予約がいっぱいで部屋がとれず,ホテルを代わることに.ホテルぐらい幾らでもあるだろうと高を括っていたら,何があるのかこの周辺のホテルはどこもかしこもいっぱい.ネットで探しても空きは見つからず,少々焦る.
結局,パリ在住の友人が,懇意のホテルを紹介してくれて,何とか部屋を確保.ありがたい.
打ち合わせの合間に,来週から始まるEaさんの公演ツアーの,照明引き継ぎ作業.ドイツでの公演がダムの公演と見事に重なり,僕は参加できない.なので,仕方なく,僕のやっていたLEDパートを,Carlosにお願いすることに.
ドイツ以降の,シンガポールとベトナム公演には,また僕が復帰する予定.
何とか,この2日で,すべてのきっかけを引き継がなくてはいけない.まあ,何とかなるかな.

Glasgow

5月12日.
今日・明日と,スコットランドのGlasgowで,ダムのVoyage公演.会場は,TRAMWAY.
遥か昔,もう15年も前に,pHの公演で訪れた事がある.使われなくなったトラムの車庫を使ったアートセンターで,地域社会とも密接に繋がっている施設という感じ.僕らが仕込みをしている間も,劇場以外のところは稼働していて,カフェや庭に,乳幼児とその保護者や,老人の姿も多い.聞くところによると,この街は一時すごく荒れていて,うかうか外を歩いてもいられない時期があったとかで,そういう状況からの避難所としての機能も,このアートセンターは持っているのかもしれない.
でも,今は,別段それほど危なそうな感じもしないけれど...(あまり町中に行っていないので,断言はできない.)
元々車庫(とたぶん電車のメンテナンスやひょっとしたら作ってもいたのかも...)だっただけあって,劇場の床は丈夫なコンクリートで,最終的にはそこに木製パネルを敷き詰めて舞台にする.また天井も,キャットウォークは何本か通っているけれど,バトンは昇降しない.
こういう,リノベーションした施設にはよくある不自由さだけれど,それをカバーするために写真のような作業車が導入されている.それがむちゃくちゃ便利,というほどではないのだけれど,古い建物を全部ぶっ壊して建て替えることを考えれば,ほんのわずかな投資で,それなりに十分な作業性を確保している.
15年前は,それこそまだぼろぼろの建物で,そこをコツコツ手作業で直しながら場所も組織も作り上げている感じだったし,それがずいぶんと綺麗になってきれいすぎるほどの施設になった今も,基本的な感覚というか,自分たちでこの場所を丸ごと作って動かしているんだというような,自立した独立心というようなものを感じる場所です.

A lighting design for the exhibition

不思議な縁で、展覧会の会場照明デザインをさせてもらった。
場所は、パリの日本文化会館。その展示ホールで6月24日まで開催されている、「L’air de rien – nouvelles pistes pour l’art contemporain japonais」という日本の現代美術展の照明を担当。
以下に、パリ日本文化会館のサイトにある紹介文をコピーすると、
『未来への回路〜日本の新世代アーティスト』展
1990年代半ば以降に注目を集めた11人の若手注目アーティスト(福井篤、廣瀬智央、明和電機、村田朋泰、中村哲也、佐内正史、齋木克裕、須田悦弘、束芋、高橋信行、横溝美由紀)による絵画、彫刻、写真、ビデオ、インスタレーションといった多用な表現を、特定の傾向やスタイルに焦点をあてるのではなく、モノづくりへの丹念な取り組みという視点から紹介する。なお、本展覧会は国際交流基金(ジャパンファウンデーション)主催により会館のみならず欧州各地において巡回展示される。
http://www.jpf.go.jp/mcjp/feat/index.html
というもの。
今回は、先に会場デザインの方がいらっしゃって、その方と二人三脚のような形で作業を進めた。
楽しかったし、それなりの形にできたとも思うのだけど、無事展覧会がオープンした矢先に、前にも書いたようにMacG4がクラッシュ。そのせいで、紹介がずいぶん遅れてしまった。
会場の構成が、大胆に太陽光を入れているエリアもあり、そこでは人工の照明は手も足も出ない。ならせめてもと、日が沈んでから真夜中近くまで、逆にその窓を利用して、会場内の様子が、揺れ動く光と変わり続ける色で、外の道から見えるようにプログラムしてみた。
写真は、その様子を外から撮ったもの。
実はすぐ横に、21世紀になってからずっと、ギンギンにライトアップされているエッフェル塔があって、その迫力には悔しいかな及ばないが、それなりに目立ってます。
展覧会の内容も、多岐にわたる作品が集められていて、なかなかいいセレクションだと思う。それに合わせて、照明も変化を付けてみたので、もし機会があれば見てみてください。

Difficulty

帰国してはやくも10日、怒濤のような日々が過ぎる。
パリ最終日の夜に、4年ほど連れ添ってきたmacpbG4がクラッシュ。頭を抱えながら、空港へ向かい、チェックインすると荷物が少々重量超過。
ヨーロッパ航路は20キロまでなのだなあ。
このツアーでトランクを買い替えるまで、機内持ち込みできるものをメインに使っていたので、ちゃんと知らなかった。今回は、パソコン2枚とかなりの周辺機器を持ち歩く必要があったので、さすがに前のものでは収まらず、新たに大きいものを買ったのだけれど、そのせいで重量オーバー。仕方がないので、その分をマイレージで支払うために発券カウンターに行き、その後再度チェックインカウンターに戻ると、対応してくれたおねーさんが大げさに微笑みながら、オーバーブッキングなので、ビジネス・クラスに移っていただきます、という。
なんだか、飴とムチを使い分けられている気分、行きほど無条件には嬉しくない。
しかしさすがにビジネスはゆっくりできて、さほど疲れもせずに帰郷。
娘は、えらいことおしゃまさんになっている。この時期の人間の成長は、かなり目覚ましいものがある。
それはさておき、早速、価格.comを使って、MacBookProのリサーチ。ツアー中に、BootCampの事が話題にあがっていて、かなり気になっていた。人によっては、MACでWINが立ち上がって何がおもろいねん、という人もいるだろうが、僕としてはMac機でLiddellが立ち上がって、DMX出力ができて照明のコントロールが可能なら、1台のコンピューターで全てをカバーできる。
しかし、Appleの自信はすごいなぁ。一見、Windowsに媚びているようなBootCampだけれど、OSの使い勝手、という同じ土俵で比べられるなら、絶対MAC OSの方が優れている、という自負があってこそのものだと思う。
そして、とにもかくにもMacBookPro購入。
関空に着いたのが27日木曜日の朝で、日本はまさにゴールデン・ウィーク直前。昔から、これには泣かされてきた。。。勤め人ではないので、発注も物流も滞るこの時期は、毎年何かと泣かされる。今回も、とにかく29日までに実機が届かないと、かなりヤバい。次回ツアー出発は、5月9日火曜日。
ダントツに安いところを見つけて、MacBookProをオーダー、無事に29日土曜に到着。HDケースも届いて、前機のハードディスクを入れて新機に繋いでみると、ちゃんと認識される。とにかくデータは無事だったわけで、これでまあ何とかなると一息ついて、新機にすべて移す。
しかし、その過程でどうも、新機のスーパードライブがおかしい。OSのインストールCDを認識しない。
何だかね、苦あれば楽ありというよりも、誰かの掌の上で転がされているような気がする。おちょくられているというかイヂラレテルというか。。。
結局、初期不良で修理ということになって、新機を5月1日月曜に回収に来ることに。。。
それでもまあCD/DVDドライブがおかしいだけ、他の作業には支障はない。とにかく急いで、次のツアーの準備。
ところが、本体と同時期に別発注で頼んだ増設メモリが、全然届かない。元々のメモリは512MB。OS X上で色々動かすには、あまりにも少ない。ああ、ここでもゴールデン・ウィークの余波が。。。
という経過をたどって、昨日5月5日にはようやく、メモリと共にBootCamp用に買ったWinXPも到着。
今は、見事にMAC本体上で、OS XとWindowsXPが立ち上がる。
ようやくここまでたどり着いた。

G4 crash

パリの日本文化会館での、展覧会会場照明の仕事が無事に完了し展示が始まったので、そのことでも書こうかと思っていた矢先に、とうとう長年使ってきたG4が動かなくなった。
なので、一週間くらいはいろいろなことが滞ると思います。
とりあえずメールなんかは、今使っている照明制御用のWin機でチェックできるけれど、必要なデータはすべてG4のHDの中。
まあ、まずは日本に帰ります。

とりあえず、展覧会の仕込みの写真だけ貼っておきます。ちなみに僕は、出品作家ではなくて、会場の照明デザインを担当しています。

Book 2006 04 23

旅に,本は欠かせない.
去年Eaさんの公演でパリにいた時には,野村進さんの「脳が知りたい!」がすごく面白かったけれど,今回また良い本に出会った.それも2冊.この頃は,こういう出会いは滅多にない.たぶん,僕の読書量が激減しているせいだと思うが...
まずは,Ken Grimwoodの「REPLAY」.
SFである.サイエンス・フィクションというと,荒唐無稽で何でもありなような気もするが,実はそれなりにきちんとつじつまを合わせておかないと,たちまち興ざめして読む気を失う.昔は,その説明がなかなかうまくできずに大変だったけれど,いまならシミュレーション・ゲームを例に取れば分かりやすいか.幾ら起こりえないような.つまり今まで想定されなかったようなことが起こったとしても,そこにはある種のルールがあって,それが貫かれていないと現実感は保てないし,そうなるとたちまち読み手はついてこなくなる.
その点,この「REPLAY」は,むちゃくちゃな設定なのに,いつの間にか本の世界のルールを納得し,しかも最初は(僕の)予想の範疇内だった展開をはるかに上回り,しかも最後まで落胆せずに読めた.関空の書店で見かけた時に,「本の雑誌(か何か)の,この数十年回のベストスリー」というようなポップに惹かれて買ったのだけど,それだけのことはありました.今までにもたくさんの人を楽しませてきたというのを,十分納得しました.面白かったです.
2冊目は,和田伸一郎「メディアと倫理」.
画面は慈悲なき世界を救済できるか,というサブタイトルが付いている.
少々言い切りすぎというか,断定的な見方が鼻につく部分もあるけれど,それを我慢して読み進んでよかった.僕のように哲学にあまり詳しくない読者にまで分かるように,噛んで含めるように,ビリリオからハイデッガーまで多くの引用を交えて,少々付け過ぎなくらい傍点を付けて,今の危機を解き明かしてくれている.
日頃どっぷりネットに浸かりながら,それでも何とか世界の状況にコミットしていきたいと思ってきたんだけど,その難しさを改めて理解しました.でもね,「映画」(もちろん全ての映画がではない)だけが,観る者を救済するというのは,違うと思うぞ.断じて,[だけが]ということはない.
もっとも,著者も言葉としては「映画だけが」といっているわけではなく,読後感としてそんな感じを受けるだけで,逆に「そんな断定はしていません」と,突っ込まれそうだけど...
でもとにかく,インターネットという超巨大メディアが登場した以降の現実感を,とても分かりやすくしかも危機感を持って提示してくれている.僕は,いろいろ参考になりました.

When I live in the theater

劇場に棲むと,公演ツアー中の場合,ほとんどそこから一歩も出ないことが判明.
いままで,公演会場と一番近かったのは,ストックホルムでの公演のホテルで,劇場の真横,つまり隣だった.2回公演に喚んでもらったことがあるが,2回とも同じホテル,一度は真冬でそれこそ凍り付くような寒さだったので,仕事場が住処と近いのは,とてもありがたかった.なにせ,レストランに食事に行く方が,遠くて辛い.
しかし今回は,その記録をはるかに上回り,滞在先は劇場の中.上手奥の階段を上がり,舞台袖上を奥に進んでドアを開けると,楽屋兼食堂.そして,その周りに寝室と事務仕事のできる部屋がある.しかも,街の賑やかな場所までは,タクシーを呼んで数分かかる.
こうなると,本当に何処にも出なくなる.まあ舞台が少々やっかいな構造で,仕込みに時間がかかり,しかも照明機材のトラブルなんかもあって,いつもより時間に追い立てられたこともあるが...レストランまで隣り棟にあるので,後半の2日間は,ほとんど外に出なかった.朝食を摂りに,プラプラ歩いて角を曲がったすぐの処にある,無愛想なねーちゃんがキビシイ食堂に行ったっきり,それ以外は同じ敷地の中で過ごした.
そして,20日の木曜日に公演.客席は,満員.こんなに人が来るなら,もう1日公演させてくれれば楽なのに,と少々愚痴りながらも,公演後はさっさとバラシ.
0時にはバラシ・パッキング・積み込みも終わり,わざわざ開けて待っていてくれたレストランで乾杯.
午前2時には就寝し,4時に起床.パリで別の仕事を任せてもらっているので,ダムから離れて空港へ向かう.
4時半にタクシーを予約していたのだが,本当に来るか少々心配していた.周りに人気のない場所だし,来なかったらすごく大変そうだったので.
しかし!4時15分頃に,門を開けてトランクを転がしながら出て行くと,とたんに少し先の角に止まっていた車がヘッドランプを灯す.さっすがドイツ系,頑固で理屈っぽすぎるところもあるけれど,しっかりしてます.4時過ぎには向かえに来ていて,出てくるのを待っていてくれた模様.
おかげさまで,余裕を持ってチェックイン.Linz-Frankfurt-Parisと飛んで,無事にパリ到着.

@Linz

フランス2カ所での公演が終わって,昨晩Linzに移動.
Posthoffという劇場のレジデンス施設に泊まっているのだが,まあ学生寮みたいなところ.しかし,さすがARS ELECTRONICAの地だけあって,ネットには快適に接続できる.でもできれば,昨日まで滞在していた,Nimes/Franceにもう数日留まっていたかった.
南仏のNimesはもう暖かくて,古い街並みと美味しい料理・ワインが揃っていて,ホテルも味わいのある豪勢な部屋で,思わず仕事を忘れたくなってしまった.まるでスペインのような気楽さも兼ね備えた街で,それだけ魅力がある証拠に,観光客もすごかった.
フランスの底力というか,有名な観光地ではあるんだろうけれど,決して大都会ではない街の劇場が,日本からカンパニーを喚んで,しかもテクニカルもきちんと対応できる人材を揃えて,そして公演をしてお客さんが600人程度は来るという状況に,改めて感心した.素晴らしい街ではあるけれど,決して大きくはない,旧市街は30分もあればひと周りできるようなところでこういう事ができるとは...日本では難しいだろうなぁ.
最初の公演地Chalonsにしても,街の規模は同じくらい.スタッフや設備も申し分なかったし,客席も満員だった.
そしてLinz.今日はイースターのお休みなので,どこもかしこも閉まっているらしい.その街に出るのも,ちょっと面倒な場所で,ネットだけは自由に通じるというのも,何やら皮肉な感じ.
写真は,ChalonsとNimesの劇場とスタッフ,そしてホテルの部屋.

Kim Maeja and Keito Oono

4月7日
パリ日本文化会館で,韓国の舞踊家「金梅子(キム・メジャ)」さんと、日本の舞踏家の大野慶人さんの公演を観る.金さんの,派手なところはほとんど無いのに,ひしひしと伝わってくる動きが素晴らしい.積み重ねられた訓練なのか,時間なのか,一挙手一投足の後ろに,何か確かなモノがある.
大野さんは,その金さんをたてて,ひたすら脇というか後ろにいるように務められていた感じ.そのわりに,白塗りなので,真っ黒な飾りっ気のない舞台の中で,嫌でも形が目立つ.どうしても,何処でも,何が何でも白塗りで踊らなければいけない,ということはないと思うんだけれどなぁ.
あと,劇場の設備のことだが,もう少し良いスピーカーを揃えるべきだと思う,韓国の伝統音楽は,打楽器系のインパクトが大事だと思うが,それがどうにも頼りない音だった.それとヨーロッパは何処でもそうだけど,非常灯の明かり,何とかならないかなあ.暗転で,板付く姿が,丸見え.
4月8日
これからCDGに戻って,夕方に着くダムと合流.Chalons en champagneへ向かう.
Voyageの公演スケジュールは,以下の通り.

11 April 2006
@ La Comete
5, rue des Fripiers, 51000 Chalons en champagne, France

15 April 2006
@ Theatre de Nimes
Place de la Calade, 30000 NIMES, France

20 April 2006
@ Posthof – Big Hall
Posthofstr. 43, 4020 Linz, Austria

lucky !

昨日の昼の便でパリへ.
ダムのツアー,CHALONS EN CHAMPAGNE/France,NIMES/FranceとLINZ/Austriaの3カ所で公演の予定.その後,別の仕事でパリに数日滞在してから帰国.たまたまこの頃にヨーロッパにいるということで,仕事が入ったが,こういうのはとても面白い.普段と違う場所で,新しい人達と一緒に働くのも,新鮮でいいかなと思う.
それで,とにかく昨日関空に向かったが,チェックイン・カウンターで,受付のオネーサンの様子が少しおかしい.「お一人ですか?」とか質問されたり,隣の少しえらそうなオネーサンと,何やら記号で話したり.
これは,,,もしや「あれ」かも!!!と思っていたら,ビンゴ!
「今日はエコノミーが満席なので,ビジネスに移っていただきます.」とのこと.やったぁー,やったーぁ,人生で3回目くらいのラッキーである.
しかも確か全部AF(エールフランス).嬉しいなっ,と.
そのかわり,逆にAFには,フライトキャンセルを食らったこともある.ある朝,空港まで行ったら,この便は飛びませんと言われ,他の人達が大阪のホテルに返送されるのを尻目に,さんざん粘って,東京経由で,ロンドンか何処かまで飛び,それからまた乗り換えて,Toulouseに行った辛い思い出...あとは,フライトが遅れて,乗り継ぎに間に合わず,ニース郊外の周りに何にもないホテルで一泊,ということもあった.
まあ,良いことも悪いこともあると...全体的に,つまりはいい加減なわけだが,それが裏目ばかりに出るわけではない(少なくとも僕にとっては)ということ.
ビジネスは,とにかく座席を倒したら,足を思いっきり伸ばしてほぼ寝ながら飛べる.食事も,ワインも豪華.エコノミーの苦行ではなくて,ゴロゴロしながら本を読んだり映画を観る時間を,12時間ほど与えられたようなもの.
楽チンでした.
しかし,後が怖い...忘れた頃に,いきなり今度は飛ばなかったりするわけだ.願わくば,それが,あまり切迫したスケジュールの時で,ありませんように.

sensibilia

4月2日(土)
あらま,明日で終わりやん,と気がついたのが,滋賀近代美術館で開催中の展覧会「sensibilia」.長い期間やってると思ってたのになぁ.Refined Colorsで一緒にやっている南君が参加しているsoftpadが,「演出」していると言っていいだろう展覧会.
とりあえず,仕事を置いて,バスに乗り電車に乗りまたバスに乗り美術館へ.しかし,土曜の午後の京都は,どこもかしこも人人人...それを掻き分け,滋賀へ向かう.
展覧会は,美術館側がよくsoftpadをフォローしている感じで,面白かったしその思いっきりのよさに驚きもした.
たまたま展示室に入ったタイミングだろうが,とにかく最初は部屋が真っ暗.何だか変な床だなぁ,と思いながら歩いていると,カール・アンドレの作品の上に立っていた.こりゃいかんと思いながら手探りで進むと,椅子のような物にぶつかったので腰掛けようとしたら,ソル・ルイットの作品だった.えらく大きな空調の穴が壁にあると思ったら,リチャード・セラだし,巨大な4面マルチ映像の部屋に入った時も,ちょうど暗くて,両手を前に突き出しながら恐る恐る進む始末.そのうちドナルド・ジャッドの作品の映像がずるずると伸び始めたのを感心してみていたら,真後ろに椅子があって人が座っているのに気がついた.
時間的なリミットがあって,マルチ画面の映像を一通り見られなかったのは心残りだが,softpadらしい果敢な試みで,危うく死蔵されてしまいそうな美術作品に,新たな可能性を示したと言えるだろう.滋賀県民の税金で買ってるんだよな,あれ.どれだけの県民が,自分たちがああいう作品を「持ってる」事を知っているんだろう.今回のような試みがどんどん増えればいいと思う.
でも,遠いわ滋賀近美.
人里離れた山の中に「文化」施設作ったら,人が来るようになるなんて,いったい誰が言い出して何処のお間抜けさんが信じたんだろう?
別に,信じたわけじゃなくて,綺麗な建前か...
「文化」は,人が暮らす混沌の中にしか,成立し得ないやん.

Sulayman Al-Bassam Thaetre

3月19日:
Sulayman Al-Bassam Thaetreの「Kalila Wa Dimna or The Mirror for Princes」をスタジオ21で観る.
ちょうどRCスペインツアーの時に,イスラム教入門みたいな本を読んでいて,ムハンマド(マホメット)の事やアッパース革命の時代背景,それにクルアーン(コーラン)が何より詩/言葉の芸術として傑出したものである,というような予備知識があったので,ようやっとついて行けた感じ.
「言葉」が強い力を持っていた/いる,状況での話しなわけです.
久々に観た演劇で,しかも台詞は英語で日本語字幕.結構言葉が多くて,それが字幕では簡略化されている上に,速いテンポで変わっていく.それをまあ,半分以下ながら聴き取りつつ,できるだけ字幕もフォローし,舞台上も観つつ,という忙しい状況.それでも楽しめたし,何となくわかったような...
どんな優れた「何か」でも,それが権力を生み出して継承していくうちに,腐ってくるものだということかな.そしてそれは,いつも意外なところから打ち壊されていく.
それにしても,ムハンマドもキリストも,もっと言えばモーセもアブラハムも同根.世界地図の上では,小指の先ほどのところでの時間差での内輪もめ.それがこんなに世界を巻き込んで,僕らまで付き合わされるなんて,本当にバカみたいだ.つくづく無宗教で良かったと,こればかりは日本で生まれたことを,とてもありがたく思う.(でも本当は,思うばかりではなくて,その利点を生かして何かをやらなければいけないわけだ.)

Cool! Clooney

最初に「ER」の小児科医役で見た時には,何だかにやけた兄ちゃんだなぁと思ってたんだけど,いかすぞジョージ・クルーニ!
つい最近も,某友人が最新作「シリアナ」というタイトルに,やけに注目して笑わせてくれていたが,いやいやなかなか格好いいです.
詳しくは,下記参照.(このブログ,好きでよくチェックしてます.)
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2006/03/post_e018.html#more

Christian Ziegler

Christian Zieglerのレクチャー(13日)とパフォーマンス(14日)を,京都造形大で観る.
Christian Zieglerは,ForsytheのCD-ROM “Improvisation Technologies”のプログラマー/デザイナー.
レクチャーは,なかなか面白かった.この人は,「狂言」という,日本の狂言に関するアーカイヴROMやインド舞踊のアーカイヴなども制作していて,その仕事は緻密で美しい.
しかし,パフォーマンスに関しては,何処かのメッセ会場で行われている,展示会のショーイングを見せられた感じ.
音も,映像も,ダンサーの方だって悪くないけれど,技術の成果発表会だけで1時間押し通そうとしたように,僕には見えた.その先が大事だと,自分のことも含めて思うわけですわな.

Fever

よく,子供はすぐに熱を出すから...という話を聞くが,本当にその通り.ウチの娘も,保育園に行っているせいか,色んなモノをもらってきては,ぴょいと高熱を出す.一昨日くらいから,少しハイテンションだなぁ,と思っていたら,昨日から今日にかけて,40度近い熱を出している.身体がまだ素直というか,すぐに外側からの影響を受けるわけだ.
素直ということでは,寝ぼけるところも面白い.普通に覚醒している時にも,何の遠慮もなく我が儘をいっているような気がするが,あれはあれでちゃんと抑制しているのだということが,寝ぼけている時の行動からよく分かる.まさに「切れ」てる様子,ちゃんと目が覚めている時には,まあ見ることの無いような我が見える.
それで発熱に関しては,早朝に,かあちゃんが病院に連れて行って,とりあえずインフルエンザでないことは確認できた.どうも,熱が下がるまで,気長に養生するしか,他に治療方法はなさそう.それくらい,発熱は子供にとって,普通の出来事らしい.
というわけで,昨日はダムの新オフィスお披露目パーティだったのだが,数時間顔を出して,そそくさと失礼する.懐かしい顔が,時間が遅くなるにしたがって増えていったのだが,残念でした.でも,この前のRCツアーのついでに,スペインのサンルーカスで買い付けてきたマンサニージャもしっかり味見したし,早い時間から来ていた人とは話もできたし,楽しいひとときでした.
4月は,フランス2カ所と,オーストリア/リンツでのダム・Voyageツアー.その図面をさっさと書き上げるのが,当面の課題.

Birthday

えー今日は,もうかれこれ10年も一緒に暮らしておる,妻さんの誕生日でした.「奥さん」「パートナー」「同居人」と,いろいろ呼び方はありますが,どれもそれぞれ理由があって好きではなく,まあ「妻」さんが呼びやすいかなと.一番しっくり来るのは「かあちゃん」ですがね.
それでまあ,娘と一緒にお祝いいたしました.
東京で見たフォーサイスとヤスミン・ゴーデルは,共に面白かったし,またずいぶんと考えさせられました.
ヤスミン・ゴーデルの「ストロベリーと火薬」に関しては,期待が大きすぎたとの声が多かった.彼女らが生活している現実の方が,表現よりよほど切羽詰まっているということだろう.
でも僕は,とにかくその現実に向かい合おうという,その姿勢を評価します.ただ,幾らシビアな現実でも,その悲惨さだけを強調しても,それは何処にも繋がらないとも思いました.たぶん,酷い現実であればあるほど,その当事者には何かユーモアのようなモノ,シビアな現実を乗り越える/迂回する別の回路が必要になるのではないかと...
ただ,それを,もし僕がその現実を受けとめる当事者になっても,言えるかどうか?
フォーサイスは,ただただ圧倒されるばかり.特に最初に観た最新作は,振付ではあるだろうけれど,人の所作を自在に編集したような,誰もが日常の動きを何の気なしにコンピューター上で弄くれるようになった現実があってこそ,初めて可能になった作品のような気がした.
しかも,このところずっと気になっている,人の脳はいかに動きを分析し認識するのか,という疑問に何だか答えてくれた.もちろんこれは,言葉ではちょっと説明しがたいが...
あとの2作品も,2000年の作品だが,いまでも十分すごい.まずは,そのダンサー達のテクニックに圧倒されるが,観ているうちにそれが現実にリンクしてくる.そこに,より現実に対抗できる力を感じた次第です.

Kyoto Municipal Museum of Art − Tokyo

ようやく実時間に追いついたと思ったら,明日から東京.
打ち合わせを入れつつ,にしすがも創造舎でヤスミン・ゴーデル,さいたまでフォーサイスを観る予定.
(まだ連絡していない人ゴメンナサイ.暇だったらメール下さい.できるだけ,時間のある限りお返事します.3日間ほどいるので,会えれば嬉しいです)
今日はあいにくの雨だったので,家族で京都市美術館に,造形大の制作展を観に行く.といっても,まあウチから徒歩10分.
椿さんひきいる空間デザイン学科は,展示室に新たな壁と天井を作って,まさしく展示空間をデザインしていた.
ずいぶん前に,同じ市美術館の大陳列室でダムのpHという作品の公演をしたことがあり,あそこの使いにくさを知っているだけに,感心する.
もともと,絵画か彫刻を展示することしか,考えられていない場所なのだ.おそらく,十分な電力も,情報ラインも,パーティションも,未だに確保されていないのではないか?
ヨーロッパの美術館なんか,100年前の建物でも,内部はリノベして新しくなっているところがあるから,やる気で予算さえ確保できれば,市美術館だってもっと使いやすい情報発信地になると思うのだが,今のままではただのお荷物.
そこを,短期間の搬入時間で,あそこまで作り込んだんだから,よくやったモノだと思う.
他にも,駆け足で展示室を回っただけだが,面白い作品があった.(2歳3ヶ月の娘が,きゃあきゃあ走り回るので,ちゃんと見て回ったわけではないが)
みんな,達者だなぁ.うかうかしてられない.

Hong Kong-Kyoto


2月18日午後CDG発,19日早朝に香港に到着.
ほぼ1年ぶりの香港.去年の今頃は,大学寮のゲストルームで暮らしつつ,ダニエルや公成達と制作に励んでいたのだった.
今年も,街では香港アートフェスティバルが開催中.折しも,ちょうどEaさんも香港にいるので,一泊して今年のツアーに関するミィーティング.5月後半から6月いっぱい,ドイツ・シンガポール・ベトナム2カ所と回る予定だが,少しダムのツアーとかぶっていて,そこが問題.
とりあえず,予約しておいてもらったホテルに向かうと,まだ朝早いにもかかわらず,すんなり部屋の鍵をくれる.フェスティバル経由で頼んだからか,それとも国際都市としては当たり前のことなのか,こういうサービスは非常に嬉しい.なにせ,体内時計は夜中過ぎなのだ.お風呂に浸かってから,3時間ほど寝る.
午後からミィーティングと,その後フェスティバル・プログラムのCloud Gate(台湾のダンスカンパニー)を観る.前に一度,メルボルンで観た作品の続編.漢字の形や筆順から着想を得た振り,波の音などの自然音を多用したSE,中国武術のような型.ダンサーはすごいテクニック.まあ,良く綺麗に動くこと!でも,ソロやデュエットがあって,振りや身体の美しさを見せていくという構造は,いわゆるクラッシック・バレエと変わらない.
その後,ダニエルと再会.彼も仕事を抱えて忙しいにもかかわらず,夜も遅くに北京風小食をつまみながら青島ビールで乾杯.去年の思い出や,LPHのメンバーの消息などを話しつつ,数時間を過ごす.ちなみに,ダニエルは,今回僕が泊まっているホテルの近く,つまり香港島側に引っ越したとのこと.ゲストルームもあるとのことで,次回から香港の宿は決まった.空港から,エアポート・エクスプレスで約30分100香港ドル(約1500円),香港駅からすぐ近くとのこと.いいロケーションです.九龍が恋しくないわけじゃないけれど,スターフェリーですぐ渡れるしね.
2月20日午後,やっと関空に向かう.
勇んで,JRの駅に向かうが,「はるか」はこの時間帯は1時間に1本.売店も閉まっていて,寂しい限り.確かに,そんなに乗客はいないけどね.おまけに,京都駅から乗ったタクシーも,何だか喧嘩腰.とても,日本が世界に誇る観光地とは...
久々に会った娘は,妙に顔がびよ〜んと伸びる.
写真は,名前に恥じないHarbor View International Houseの部屋からと,懐かしのスターフェリーと,京都の午後.

Sevilla-Paris


2月16日・17日
16日,Sevillaへ戻り,10日ほど前と同じホテルに落ち着く.スペインの郊外は,非常に走りやすいが,街中はややこしい.Sevillaに入ってからは,かなり迷う.
ホテルは,やはり素晴らしい.
夜は,前にお世話になったバルへ.バルの親父さんが,テレビで僕らの公演の紹介を見たといってくれた.そういえば取材に来ていたなぁ.
あと,親父さんはずっとこの町にいるが,若い頃から店に日本人が来たり他の国の人もたくさん訪れているようで,それで親父さんは英語が話せるし,日本語も少し覚えたとのこと.灯台みたいな,飲み屋である.
帰り際に(どうも僕らが演劇関係者だという思いこみもあったようで),僕ら三人にそれぞれ,スペイン語の小説本をくれた.わざわざ,買いに行ってくれた模様.また来ます.
17日,朝5時起き.
迷いつつ,空港へ.途中でぼそっとM鍋氏が,「僕,タクシーで行こうかな」というほどの,ピンチ.(三人とも次の目的地が違い,彼が一番早いフライトだった.)でも,まあ結果は無事に余裕で到着.
彼を送り出してから,今度はレンタカーの返却場所を探して,空港の周りをうろうろ.インフォメーションで聞いても,要領を得ない.国際空港のインフォメーションが,片言の英語しか話せないのは,いかがなものか?
でも,何とか間に合って,僕はパリへ.ユカ嬢は,リスボンへ.
パリでは,仕事のミィーティングをひとつ.その後,現在パリ在住のダムのダンサーYuuと再会.今晩Teatre de la Villeである,Alain Platelの新作が見れるかどうか,チケットは売り切れなのだがトライ.
結果は,階段通路に直座りだが,チケットゲット.客席は,超満員.しかし作品は,もはやAlain Platel様式というか,決まったパターンをなぞっているような感じで,理由が伝わってこない.セットは良くできていたけど...
明日は,12時間ほどかけて,香港へ.
写真は,今回のM鍋氏4態.スペイン到着初日に泥酔・マラガの街角でシェスタ・劇場前の公園で爆睡・カサレスの教会跡で孤独をかみしめるM鍋氏.
本人の手の届かないところでの,誹謗中傷は望みではないが,これはいちおう事前にことわってもいるし,何より責めるつもりは毛頭ない.いやぁー,楽しい公演ツアー+旅でした.面白かった!

Cadiz-Sanlucar de Barrameda


2月14日・15日
Casaresでの一泊のあと,Algecirasを通過してCadizへ.
モロッコに渡りたい,という気持ちもないではなかったが,スケジュールを考えると無理.なので,ひたすら走って午後のわりと早くに街に入り,駐車場と安宿も確保.前は,夜中過ぎに着いて,午前中には出発した街だった.それでも,町の古い佇まいが妙に印象に残っていて,今回はそれをなぞるようにゆっくり街中を歩いてみた.
昔から栄えていた港町というのは,独特の感じがある.特にスペインでは,北のLa CorunaやSan Sebastianが忘れられない.南と北ではずいぶん印象が違うけれど,Cadizも素晴らしい.
そして港町は,食べ物が美味しい!特に,このCadizの海沿いのわりと寂れた地区にある,たぶん超有名レストラン+バルで食べた「あさりのサフラン煮,溶き卵とほうれん草入り」は,今回最大の美味.新鮮な小魚のフライや貝類,エビなどももちろん美味しかったが,料理という意味では,これが一番美味しかった.
翌日は,わりと近場のSanlucar de Barramedaへ移動.
Cadiz周辺では,シェリー酒の産地であるJerez de La Fronteraが有名だが,Sanlucarはそのシェリー酒の中でもManzanillaという,特に有名なお酒の産地.Jerez周辺で採れるブドウで作られる,独特の製造法のワインをシェリーと呼び,その中でもSanlucar de Barrameda産のものをManzanillaと呼んで区別するらしい.
街中には,ボデガと呼ばれる,要するに造り酒屋の酒蔵が何軒もあり,見学できる.しかも海辺でシーフード.
しかし,目的地をここに決めたのは,それだけじゃない,「地球の歩き方」によると,近くにスペインいちの国立公園があり,この町からツアークルーズが出ている.夏季は朝と夕方の2便,冬季は朝のみ,ツアー行程3時間半,水辺の野鳥や湿地の生き物,スペインの野生動物見ほうだい出会いの旅!
これは行かねば,という意見がM鍋氏と一致して一路CadizからSanlucarへ向かうが,何だかなかなか着かない.どうやら,一度Sevilla近くまで北上してから,また海辺に南下した模様.
しかも,さすがに「地球の騙し方」.意気揚々とツアークルーズ申し込みのためビジターセンターに行くと,「次に船が出るのは土曜日です」とのこと...また,騙された.
仕方がないので,夜はマンサニーニャがぶ飲み,シーフードやけ食いバルはしご.ローシーズンで格安の雰囲気のあるリゾートホテル(ダブル47ユーロ・シングル31ユーロ)に帰り着く頃には,ベロベロ.あー美味しかった.
写真は,Cadizの南方情緒溢れる聖堂と引き潮の海岸,Sanlucarの酒蔵とかとか.

R.I.P. Noriko Ibaragi san

スペイン・ドライブの続きを書こうかと思っていたら,茨木のり子さんの訃報を知った.
数日前に,亡くなられたそうである.
面識は全くないが,茨城さんの詩集の一冊「自分の感受性くらい」は,もうずいぶんずいぶん前から,僕の本棚にある.ほとんど詩集のたぐいは持っていないのだけれど,茨城さんのこの本は,いつも本棚の前面に置かれている.
シンプルな言葉と表現で,何かを騙すようなところはひとつもない.
「左官屋」という詩が好きで,そして表題の「自分の感受性くらい」は,気持ちがぶすぶすした時に力になってくれる.
聞けば,孤独死というか,亡くなられて数日後に見つけられたとか.それも,茨城さんに関して言えば,凛とした生き様の延長だったような気もする.
ご冥福を,お祈りします.
ゴクロウサマでした.

Casares


2月13日
前日無事に,Malagaでの最終公演終了.
機材をパッキングの後,みんなで教会横のレストラン街へ繰り出すが,日曜夜とあってあまり活気はない.僕たちだけ盛り上がって,乾杯.
とにもかくにも無事全公演が終了.完成には至らなかったが,何度も作り直しているシーンのサウンドトラックを,またほぼアップデートできたのも大きな収穫.秋には,新しい音で公演できるはず.
そして,この朝には.ダンサーのユカ嬢と音響のM鍋氏と僕の三人で,レンタカーを借りてアンダルシアのドライブに出発.
実は今を去ること15年前の1991年にも,GranadaでのpH公演の後に,ダムのメンバーと同じようなルートを回っている.しかしその頃は好奇心満タンですごいハードスケジュールをこなし,結局バタバタとした印象だったので,今回は僕としてはもう少し気楽にのんびりこの辺りを回りたいところ.(前回はグラナダから出発し,南はモロッコのタンジェ,西はポルトガルのリスボン,そして最後に北はマドリッドに戻るという行程を,一週間でこなした.)
日程は4泊で,最終日はSevillaに戻って,翌日5時起きで空港へ.
とりあえず,白い村として有名なCasaresに向かう.
途中,「ナビは任して下さい」と豪語していたM鍋氏によって迷い込んだ,何処ともわからない姥捨て山,もといリタイア老人の楽園らしきリゾートで,錯乱したM鍋氏が着衣のまま2月の海に飛び込む(写真参照)という珍事があるが,あとは概ね順調.
Casaresuは,どのガイドブックにも載っているような有名な村になってしまったが,前回訪れた時は,本当に素朴な山中の小さな村だった記憶がある.
今回到着時は,村の入り口近い道の路肩には,縦列駐車の車が列をなし,観光バスもそれに混じり,本気で引き返そうかと相談したのだが,村の中に入ってしまえばそれほど観光客で溢れかえっているという状況じゃなかった.宿泊施設は2軒しかなく,安い方は前と同じ街の広場に面したバルの上階で,近所にある肉屋さんの経営.相変わらずまったく英語の通じないおばあさんが部屋の鍵を渡してくれるが,家業の肉屋はガラスケースだけ残して廃業していた.宿代は,一人一部屋借りて,トイレシャワー共同で,20ユーロ.
街の中は車とバイクとバルの数がずいぶん増えていたが,その佇まいはあまり変わらない.もっとも大きな変化といえば,頂上にある教会の廃墟が改修され始めていたことだろうか.
夜は,バルを何軒かハシゴした後,マラガのスーパーで買い込んだワインをがぶがぶ.

Malaga

2月10日-12日
5時45分起き.タクシーでバスターミナルへ向かい,7時発の便でマラガへ.9時過ぎに,最終公演地であるTheatre Canovasに到着.
ステージ前半上部のスノコ高が5m程度しかなく,その後舞台奥までの3mくらいは,天井まで10m以上ある変な構造.前は,何に使われていた建物なんだろう?
また,もっとも注目すべきは,その舞台の高さ!客席床から舞台框まで,1m20cmをゆうに超える.つまり,ダンサーが舞台奥で床に寝ると,姿が消える...
劇場から断面図が送られてこなかったので,現場に入るまで何の対処もできなかったのだが,急遽客席前2列をブロック.どの席から見ても,観客の頭が舞台上を遮ることはないのだが,この2列からは立ち上がりでもしない限り,舞台上で何が行われているのかわかりゃしない.劇場スタッフも,問題は心得たものらしく,交渉はスムースに進む.前のグラナダでも,あまり床面は見えなかったのだが,それはそれで新たな見せ方ができたので,ここでもダンサーを含めてみんな,悲観的な様子は見せずに立ち位置を決めていく.実際僕も,リハを前で見てみるが,ダンサーの動きと光の関係が,新鮮で面白い.
もっとも心配されていた「紐」のシーンも,床面があまり見えなくてもどうやら内容は伝わるらしく,公演後に聞いた感想でも,あまり的はずれなものはなかった.もっとも,シンプルな英語かジェスチャー混じりのスペイン語の感想だけれど...
とにかくまあ,反応は上々.ただ,どうも観客の年齢層が,グラナダよりだいぶ高い感じだった.
この劇場は,美術大学やら音大に囲まれたところに建っているのだが,どうもそこの生徒より先生の方が多く観に来てくれていた模様.
ちなみに来月3月19日には,Ryoji Ikeda [C4I]も同劇場で公演予定.もしその頃近くにいる人は必見です.
写真は,劇場外観と問題の高〜い舞台,終演後の記念写真,モテモテダンサー,夜食で乾杯,あとグラナダのバスターミナルで早朝から,荷物をぶちまけて忘れ物を確認するM鍋氏.(紛失した高価なイアホンは,後発のダンサーによって,ホテルのベットと壁の間に挟まっているところを無事救出される.)

Granada

Sevillaから列車でGranadaに移動.シェラネバダを望む,古い都.
15年ほど前に,ダムの公演で訪れたはずだが,街の様子はほとんど記憶にない.かろうじて,アルバイシン(旧ユダヤ人街,つまりアラブっぽく入り組んだ街並みの下町)地区とアルハンブラ宮殿だけ何となく覚えている程度.
ここの主催は,Teatro Alhambraなのだが,EU法で非常口のない劇場は使えなくなったとかで全面リノベ中らしく,街の周縁にあるTeatro Jose Tamayoで公演することに.この劇場は,新興地方都市の文化センターという趣で,ファーストフード店みたいに味気ない.ただし,スタッフはみんな親切で,しかも英語を話す人も多くて,たいへん助かる.でも,非常口がないという,つまり相当古くて,しかも街の中心にあるTeatro Alhambraで公演する方が,ビジュアル的には相当面白かった気がして,少し残念.
街中から遠い分,集客が不安だったのだが,昨日の初日には多くのお客さんが来てくれた.380席程度の客席がほぼ埋まって,しかもシアター・スクールの生徒達がかなりいたようで,反応は上々.公演後にもいろいろ声をかけてくれた.簡単な英語は皆話せるので,喜んでくれたことはわかるのだが,それ以上の話はスペイン語の応酬で内容は身振りから推察するのみ.それでも,陽気に話しかけてくれる,彼らが嬉しい.
明日は,早朝にバスでマラガに向かい,着いたらそのまま仕込み突入.今ツアーでもっともタイトな1日.でも,昼休みはきっちり14時から16時までの2時間とるんだなぁ.基本的に仕事は朝10時から14時までと昼食後16時から21時か22時まで.晩ご飯は,その後ゆっくり飲みながらとる模様.でももちろん昼にも,ワインかセルベッサは欠かせない.
スタッフがいうには,事務職は朝8時半から働いているらしい.早くからがんばっている人もいるんだと,よくよく聞いてみると,その場合は15時で全ての仕事を終えて帰宅するんだと.良いなぁ,スペイン人.それで別に国として困ってるわけではなさそうだし...
写真は,遠くシェラネバダを望み二足直立するレッサーパンダのごときM鍋氏と,劇場,劇中、バラシ後の乾杯!フラメンコのリズム

Sevilla2


セビリアでのオフ.日曜なので,飲み屋とレストラン以外は,ほぼ閉まっている.昼間からちょいとビールをひっかけて,うろうろと散歩した後は,ほとんど寝て過ごす.自分でもびっくりするくらい,長時間寝てしまった...
街の入り組んだ路地には車も通らず,日曜の昼間はとても静かだ.そして所々にある広場では,何だかわからないけれど黒山の人だかり.別にイベントがあるわけでもなく,Barから溢れ出した人達が,セルベッサ片手に盛大に立ち話をしているのだ.彼らは,会話をするためにお酒を飲む.
昨日と一昨日の公演はお客さんの反応も良く,劇場のプログラム・ディレクターであり,今回のツアーをまとめてくれたマノロ氏も,ずいぶん喜んでくれた.彼はパリ公演を観て今回招待してくれたのだが,そのパリでやった旧5人バージョンよりも今回の3人バージョンが良かった,といってくれたのはとても嬉しかった.去年の夏に,みんなで作り替えた甲斐があったというものだ.
ところで,スペインにはコインランドリーが無い.少なくともセビリアにはないと,ホテルの受付のおねーさんが断言していた.しかしそれは,どの家庭にも絶対に洗濯機があるということかな?それとも,手洗いが普通だとか?
明日グラナダに移動なので,ホテルのサービスを使うわけにもいかず,仕方がないのでバスタブで盛大に洗濯.はたして明日までに乾くか?
写真は,公演のステージと客席,2日間通い詰めたバルの親切なオヤジさん.ちなみに,前回のEa Solaツアーでデジカメが壊れて,新たに買い換えた.新機FinePixF11はISO1600と,物凄く暗いところも明るく写る.肉眼より増感して,色も綺麗に映るというのは,何とも不思議な感じ.

写真は,舞台と観客席と,毎晩通った飲み屋の親父さん,息子さん,とうとう中に入ってみんなで記念撮影.素敵なホテルの中庭とエントランス,街中のナランハの樹.

Seville 1


31日の夕方に日本を発って,香港−ロンドンと乗り継いで,2月1日の午後セビリアに到着.既に暖かく,気持ちの良い季候.
劇場は,Teatro Central .以前大きい方のホールで,ダムのS/NとORを公演している.
今回は,130席程度の小さいホールで2回公演.
セビリア万博にあわせて建てられたこの劇場は,万博会場と同じく河を挟んだ旧市街の対岸に建ち,朽ち果てて行くままに捨て置かれている万博跡に寄り添うようにして,そこだけがちゃんと機能している.プログラムも面白いし,設備もそれなり.
特筆すべきは,いつも用意してくれるホテルが,かなり居心地が良い.そんなに宿泊料金の高い宿ではないんだけど,アパートメントタイプで部屋が広く,アンダルシア情緒たっぷりのパティオを囲むように並んでいる.石造りの部屋は,暖房を入れていてもまだ少し寒いけれど,夏の屋内は涼しくて気持ちいいことだろう.
2日は,仕込みとリハ.途中まで快調だったが,床置きのLED照明を仕込んだ時点で,機材が動かなくなりその後暴走.かなり焦る.どうも電源周りが怪しい.
以前も,スペインでは,電源関係で痛い目に遭っている.まあ,アースの付いていない機器を持ち込む方が悪いのかも知れないが...
結局,電源の取り口を換えたり,配線を整理している間に,何とか復旧.しかし,確かな原因は不明.何とも恐ろしい.何とか,夜にリハーサルを通す事ができて終了.そのまま元電でまとめて電源を落として,今朝まずPCから立ち上げて電源を入れたら無事に動いた.
ちなみに,2日の夜は終わったら23時.ホテルに帰って,改めて外に出るのもたいへんなので,ミィーティングを兼ねてみんな集まって部屋で自炊.その朝にメルカドに買い出しに行ってあったので,その材料で簡単な炒め物などを作る.野生種っぽいブロッコリーとズッキーニと蛸をオリーブオイルでさっと炒めて,ついでにエビとアボガドの和え物と,赤ピーマンにオイルと塩とレモンだけの超簡単なサラダ.どの食材も,日本の半値以下の感覚,しかも美味しい.
写真は,街の散策,生ハムを削ぎ切るオヤジ,メルカドの八百屋の並びと,劇場の遠景,それとホテルの部屋でのミーティングというか飲み会.

Simple reality

今朝ニュースを見ることもなく見ていたら,大阪の靱公園と城ホール公園で,20数名のホームレスの強制立ち退きがあったと報じていた.コンピューターに向かいながら,何とはなく耳に入ってきた言葉に驚いたのだが,この立ち退きの実行に,職員やら警察官やら作業員で計900人ほどが動員された,と報じていた.
おいおい,聞き違いかな?900人って?
「世界バラ会議」への整備に向けて,との理由がついている.あと,先日同じ大阪の何処かの公園に住むホームレスの人に,住民票を登録する権利だか何だかが裁判で認められたとのニュースがあったから,その反動かも知れない.
でも,おかしくないか?900人って?仮に,仮に一人一万円の日給でこの900人が働いてるとしたら,いったい幾らのお金が動いたのか.それを20数名の追い出された方の為に有効に使うのは,何かの平等に反するのかも知れない.でも,誰が行くのか分からないけれど,決して大阪の人みんなが行くわけではない「世界バラ会議」の為には,20数名のホームレスを住処から追い出すために,900人の人手/お金を動員しても良い,というのは単純におかしくないか?
同じくニュースで,イスラエルの首相代理が国連や西側諸国に,ハマスのパレスチナに関して,イスラエルの存在を認めず自爆テロなどの武力行使を繰り返す限り,国際社会はハマスのパレスチナ(ブッシュの好きな民主的で公正な選挙で選ばれた政党による統治)を認めないようにと要請していた.
自爆テロや投石は,確かに悪い.でもその報復として,戦闘機からミサイルをぶっ放したり,軍隊を投入して街を統制したり,生活を分断するような壁を立てたりするのは,その主体が国家だからという理由だけで許されるのか?
それを棚に上げて,ハマスの暴力性だけを強調して,パレスチナを認めるなというメッセージを流し,そのニュースはすぐにこうやって日本にも到達し,国連や各国代表にスムースに届く,というのはおかしくないか?
世界は単純じゃない.でも,例えば子供に,上記の出来事の「正当性」を説明できるか?
「大量破壊兵器がある」と言って始めた戦争を,「すいません,ありませんでした」と言った後も続ける/支援する理由を,子供にも納得できるように話せるか?
真実は,単純じゃないかも知れない.たぶん.
でも,おかしいことをおかしいという声が子供に届かない限り,「世界はそんなもんだ」と,子供が思うようになるのは止められないし,責められない.
個人の声は,昔より見えるし,繋がるツールも出てきているように思う.便利なものは,誰にとっても便利な諸刃の剣だろう.