Toronto

なぜか、冬のアメリカ大陸には縁がある。そんなに好んで、冬に来たいわけではないだけれど。
15日の夕方に成田を発って、同日出発より早い時刻にトロントに着く。これだから、アメリカに来ると時差ぼけになる。
今回は、trueのモントリオール・ケベックツアーに先行して、別件のクリエーション初回。トロントとアテネを拠点に活動している振付家のMさんと、今年か来年発表予定のコラボレーション。
正直言って、まだどんなことになるのか、僕には想像できていない。これから約10日間、話したり今ある振付けを見たりして、打ち合わせを進める。
今回は、このMさん宅に下宿。パートナーのCさんと二人で暮らす家には、ゲストルームもあって快適。
外は、写真のように雪が積もって、今日は最高気温−10度で最低気温は−17度ということだけれど、中は暖かい。でも、燦々と日が照っているのに、いっこうに雪の解ける気配がないところをみると、やはり外気温は相当低そう。散歩に出てみたい気持ちもあるが、なかなか外に出る勇気がないなぁ。
とりあえずケベックの図面を仕上げてしまおう。
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-9˚C

いやぁ、寒いす。
昨日は2度まで外気温が上がったのだけれど、今日はまた路面が凍り付いている。
毎日、10時から14時まではスタジオに行き、その帰りにテイクアウトの昼ご飯とかを買って帰る。
滞在先の周りはとても静かで、まるで小さな村のようだけれど、実際は韓国料理や商店の並ぶリトルコリアンまで歩いて5分。わりと街中に滞在中のようだけれど、それ以上外に行かないので、あまりよくは分からない。
こういう冬の生活って、ネットの有る無しでずいぶん変わったんだろうなと思う。
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squirrel

寒い寒いとばかり書いても仕方が無いのだが、何せあまりこういう経験が無いものだから、何だか嬉しくて書いてしまう。
けど、外出は1日1回がほぼ限度。と思っていた矢先、今朝はとても晴れていて日差しが強く感じられる中、ふと部屋の窓の外を何かが横切る。日差しが強かろうが弱かろうが、外気が零下なのは確かで、部屋の中でも窓の近くに行くと深々と寒く、動くといっても何が・・・と見るとリス。
真っ黒な栗鼠が3匹、じゃれ合いながら庭木を上がったり降りたり、電線を伝ったり走り回っている。てっきり冬場は冬眠するものだと思っていたのだが、ここの住人によると、とてもアクティヴなのだそう。
しかし、いくら体中に毛が生えてるっていったって、何をそんなに勢い良く楽しそうにこんな気温の中。
栗鼠と自分の間に今まで以上の距離を感じながら、たぶん生まれて始めて辞書で栗鼠を調べて、squirrelという言葉を覚える。まあ、それほどに、栗鼠は今まで僕の人生には関係なかったということか。
Squirrel_3
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The Theater

昨日は、レンタカーを借りて、トロント市内の劇場を計8カ所見て回る。遥か昔にダムの作品を公演したPower Plantの中の劇場から、バレー教室付随の小さなスタジオまで。
どうやら、カナダの劇場システムは、日本と同じで貸し館主体で回っているらしく、借りる条件にはレンタルコストも重要なファクターになる。
お金払って借りるというのは、公演する側にとってチャンスが広がるという面もあるけれど(資金さえ用意すれば、自分たちのやりたい公演がうてる可能性がある)、逆に言えば、金さえ払えばある程度なんでもありになる。
話が極端になるけれど、実際に昔、僕がバイトに行っていた公共ホールでは、どう見てもねずみ講な(でもまだ事件にはなっていない)団体の、勧誘集会みたいなものも行われていた。
バイト当日劇場に行くと、ポルシェやフェラーリなどのスーパーカーが駐車場に何台も停まっていて、会場ではチャラケタ兄ちゃんが「僕はこれでスーパーカーを買いました!みなさんも一緒にお金持ちになりましょう!」と舞台上から客席にまくしたてている・・・。
まあ、これは舞台公演ではないし、あくまでも特殊な例だけど、でも公共の平等と貸し館という資本主義のルール上では、こういう事態だって当然起こる。そこの住民が借りたいといい、スケジュールが空いていて、料金が払えるのなら、法に抵触しない限りは断りようが無い。
また、貸し館が主体で予算が組まれると、その劇場が自主的にやりたい公演のクリエーションなども、スケジュール次第では難しくなる。
やりたいことをやるにはお金が要り、お金を稼ぐには舞台を貸さねばならなくて、貸しているとスケジュールは細切れに入り、まとまったクリエーションの時間は取りにくくなる。
結局は、そこに劇場の意思表示が必要になり、それにはその劇場の顔というべきディレクターの存在が必要になる。
そのディレクターがNOといえば、いくらスケジュールが空いていようが大金を積もうが、その劇場は使えない。ある種暴君的な存在だけど、そういうシステムは必要だと思う。
そして、そのディレクターに仕事を続けてもらうかクビにするかの権限を、公共ホールであればそこに税金を支払っている住民が持つべきで、プライベートホールならオーナーの意思になる。
そういうシステムが、日本ではほんの一部の施設を除いて決定的に欠けている気がするけれど、カナダはどうなんだろう。
公共ホールの館長が、引退前の役人の名誉職で数年ごとの持ち回り、他に責任を取るべき役職も無く、なるべく穏便に次の職場に移りたい公務員ばかりの劇場だと(決してそういう所ばかりではないけれど)、そんな意思表示などできるわけが無い。
そういうことが、これからいろいろ見えてくれば、さらに面白くなるかな。(もしくは、とたんにつまらなくなるかも・・・)
ああ、でも昨日回った劇場は、どちらかというとプライベートな所が多かったと思う。
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Winter

true at Montreal

モントリオールからケベックへ向かうバスの中では、ネットが通じる。各座席には、電源のコンセントも用意されていて、試しに走行中にこれを書いてみる。
モントリオール ー ケベック間は、バスで約3時間。周りは一面雪景色だが、樹々には積もっていない。しばらく前に降った雪が、溶けずに地面には残っているが、枝の雪は風に飛ばされたんだろうか?
trueのモントリオール公演は、セットアップ初日から波乱の幕開け。
順調に仕込みが進み円形トラスにLEDの灯体を仕込んでチェックのために電源を入れた途端、パワー/データステーションのうちの1台がバンッと大きな音を立てて沈黙。開けてみると、電源ボックスの中のパーツが破裂していた。
どうやら、カナダの電圧が120Vで、電源ボックスは115V対応だからということらしい。といっても、そんなことある?
電源ボックスには、115V <-> 230Vの切り替えスイッチが付いていて、EUなどでは230Vで問題なく動いていた。何となく電圧が不安定そうなブラジルでだって(僕の勝手なイメージだけど)、問題なかった。5台あるパワ=/データステーション全部に通電したのに、この1台だけバンっ!て、どいうこと?
仕方がないので、日本が朝になるのを待って、メーカーに問い合わせて対策を練る。
いちおう、別のLED灯体用のステーションが代用できるとのことで安心はするが、しかしこのままでは残りの4台が不安ではある。それ以外のLED灯体のステーションはユニバーサル電源なので、こちらはたぶん大丈夫。
いろいろ対応を考えているとき思い出したのが、あと数時間で飛行機に乗って、日本からこっちへ来る人がいる!
というわけで、Tさんは成田から120V -> 100Vのステップダウントランスを3個も持ってくるはめに。
Tさん、ありがとうございます!
しかも、とにかく八方手を尽くす中で、壊れたパワー/データステーションが、新たにユニバーサル電源を搭載して復活!
それと共に、昔懐かしいスライダックも2台見つかり、無事LEDは全部点灯し制御可能に。
そうそう、Tさんが運んでくれたトランスも、テーブル周りの電源供給に投入。これが無かったら、小型プロジェクターは動かなかったかも。
そんなこんなでバタバタしている中、上にあるオペレーションブースに行こうと、不用意に客席を出た裏の階段に入ったら、外からは扉が開くのに内からはロックアウトされて閉じ込められるという一幕も。
唯一1階のどん詰まりの扉だけが内から外に開くが、勢い込んで開けてみるとそこは−10度以下の雪景色。僕は、劇場内で働いていたので半袖Tシャツにジーパン。試しに、直前の学習を生かしつつ、扉が閉まりきらないようにモノを挟んで外に出てみるが、生命の危機を感じて数歩で撤退。こんなとこに出るくらいなら、階段に閉じ込められてる方がましだ。
で、ツアーメンバーに片っ端から電話するが、さすがに仕込み中は誰一人繋がらず、20分ほど経って休憩時間になり、僕の姿が見当たらないのでわざわざ電話して来てくれた舞監のNさんにより、めでたく救出される。
と、まあそんなこんなのドタバタを乗り越えつつ、初日・2日目・3日目と盛況のうちに公演を重ね、4日目にはカメラ3台を入れての映像撮影もこなし、今日のケベックへの移動を迎えられた。
明日からの仕込み、がんばりましょう。
そしてケベックの次は、3月の伊丹アイホール!

With a little shopping

帰国。
ケベックは、確かに寒かったけれど、劇場に併設のレジデンスは、ぬくぬくと暖かく居心地が良く、それに何より、お客さんもスタッフも熱心で、公演も滞在も幸せな感じだった。
あまり積極的には外出しなかったけれど、ツアーメンバーの皆がみんな凄いというので、チョコレートと髭剃りを買いに行くついでに、凍った河を見にちょっと足を伸ばしてみる。
といっても、劇場から二十分、買い物をするスーパーからは十数分の距離で、写真のような景色。ケベックは、確かに小さいけれどそれなりに都会なのに、ほぼ街中でこの景色!
帰りは、ケベック>トロント>成田>伊丹>京都という行程。
戻ってきてそうそうのことですが、今週13日(日)に、去年照明をつけさせていただいた能楽「葵上」の再演があります。会場は、前回と同じく大阪の山本能楽堂。
前回と同じく、美術家の井上信太さんにお願いして、LED照明のシェードを作っていただくが、時間的余裕と経験値のアップによって、かなりのアップデート。客席のどの位置からでも、それほど照明が邪魔にならずに舞台が観やすくなりました。感謝です。
http://yaplog.jp/noh-theater/
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Wh
Night