9月12日:
BudapestのMU Theatre (http://www.mu.hu/)での公演初日終了.今回のツアーで最後にぎりぎり決まった場所で,劇場側も夏休み明けのまだエンジンのかかりきっていない状態のようで,いろいろトラブったがそこはRefined Colors,なんとか乗り切る.
もともと,条件の整っていない場所での公演を視野に入れているので,たいていの事には対処できる.
短い準備期間と急にかき集めた予算の中で,劇場はがんばってセットの壁を立ててくれたのだが,これが搬入口の関係で,あらかじめパネルを作って持ち込む事が出来ず,材料を持ち込んで舞台中ですべて製作.この完成予定が本番前日の16時だったんだけど,時間に行くとまだ半分も出来ていない...その前,午前中に壁の立てる位置確認に行った時には,大工さんが黙々と搬入しているだけで,だれも英語が通じない...
袖中とテクニカルブースを繋ぐインカムを頼んでおいたんだが,実はインカムそのものが劇場にない...ちゃんとがんばって働いてくれるんだが,劇場側のテクニカルが,音響兼照明兼舞台のフェリーさん一人っきりしかいない... と,少々の問題はあっても,本番当日の13:00にはセットアップ完了.開演まで7時間の余裕.最終的に,PAシステム/スピーカーのパワー不足は否めないが,それでも思ってたよりはまし.PrahaのPAがなかなか良かったので,比べてしまうとずいぶん物足りないが,全然ダメなわけじゃない.
劇場は,シアトルのOnTheBoardに似ていて,古いながらも味のある小劇場.埃だらけだし,窓があるし,その遮光の暗幕はボロボロだし,欠点を数え上げたらきりがないが,それでもBudapestの無数の劇団やダンスカンパニーが,ここで歴史を作ってきたんだと思う.彼らにとっては,たぶんとても重要な場所だろう.僕にとっても,なんだかんだいって憎めない,居心地のいい場所です.
このMUだけでなく,街中には,ちょっとしたガーデン・スペースやリノベ前の空間を,提灯で飾り立てたサマー・カフェがいっぱいある.もう夜はかなり涼しくなってきたが,それでも日が沈むと庭木の間に吊った提灯の下で,老若男女がビール片手におしゃべりの花を咲かしている.それがとっても楽しそうで,いい感じだ.
残念ながらカフェはまだ撮っていないけど,写真は,有名な温泉/プールのエントランスと,世界で二番目に古い路線もあるらしい地下鉄の車内,2路線ずいぶん違うデザイン.
MU theatre
9月13日:
Budapest MU theaterでの公演終了.120席の客席が2回の公演ともほぼ埋まり,反応も良かったので一安心.急な調整で,無理やり僕たちのツアー行程にあわせて喚んでくれたところなので,広報もあまり時間がなかっただろうに,何とかなって良かった.
しかし,PrahaもBudapestも,劇場側はどれだけお客さんが来てくれるのか,本番当日開演前まで,まったく把握していないようだ.前売りという制度が定着していないのか?どちらのプロデューサーも,どれくらい来てくれるのかなと尋ねたら,「それは開演の十分前まで,誰にも分からない」と,天に祈っていた.そんなことで大丈夫か,と心配にもなるが,まあ所変われば品変わるで,いろんなやり方がある.
確か,シチリアだったと思うが,前売りの方が当日券より高かった.確実に席が取れるからだというが,それで誰も当日までチケットを買わないので,どれだけ人が来るのかまったく分からない.でも,指定席券と考えれば,交通機関などは前売りが高いか...いや,飛行機だとこの頃「早割り」なんてのもあるし...
まあともかく,どちらにしても入場収入だけで公演を成立させる事は,どこでも困難.そういう意味では,ほとんどは商売として独立して成り立っていない.古くはパトロネージュ,今では行政や企業の社会貢献と名を変えているけれど,そういうものと関係するか,もしくは劇団四季みたいに,とことんエンタメで不特定大多数を喜ばす事だけ考えて邁進するかな訳だ.あれはあれで,すごい事だと思うけれど,ほとんどがブロードウェーのコピーというのは,いかがなものか???Japanese Broadway Copy Companyとかに変名したほうが,分かりやすいんではないかな.
写真は,やはり深いBudapestの地下鉄,MUの客席と提灯のぶら下がったガーデンカフェ,初日公演前のフォト・コールの様子.テレビも含めて,かなりの取材が来てくれた.