path@YCAM

6月8日に帰国.もうはや10日以上前のことである.
トランクは,帰る前々日,ソウルに到着して3日目の夜に,ホテルにぽつんと届いていた.2つあるナンバーロックの内ひとつが,何処かでもげて無くなっていたのだけれど,もう誰にクレームをつければいいのかとんと分からない.でも,中身が全て無事に戻っただけでも,今回はラッキー.
その後一週間,自宅で事務仕事と子供の相手をして,15日から山口市のYCAM入り.ギターリストの内橋和久さんと歌手のUAさんを迎えての,スピーカー30個以上のマルチサウンドシステムはあるわ,インタラクティヴ映像はあるわ,LED照明はあるわの,インスタレーションとコンサートの結合体「path」の滞在制作と公演のため,7月5日頃までの山口住まい.
この数日は,ステージセットの核となるスクリーン・オブジェの制作や,LED灯体の設定,スピーカーの吊り込み準備に費やされ,今日夕方とうとうスクリーンが高さ6.5mの空中に浮かんだ.その周りを照明とスピーカーが取り囲み,なかなか実験的で,かつゴージャスな状況になってます.
なんと言っても,YCAMのPA機材はすごくいいので(d&bとL-acoustic),まず音だけでも,稀な体験ができるはず.
設置を始めてから,既に4日目.しかも,これから12日かけて実験と制作を行う.ということは,こんな場所と余裕のあるスケジュールはなかなか実現しないので,今回見逃したら,二度とこの公演は体験することが出来ないかも知れない.とにかくすごいモノになるとは思います.乞う御期待.

A week

YCAMに入って一週間,今日は音響システムの調整に京都から福原さん到着.
天井から吊るスピーカーと照明は,セットアップが完了し,調整を待つばかり.
あとはステージが組み上がってから,そのうえに照明を置いていくのだけれど,この2日間YCAM内ではこっちのセットアップと平行して,館内で長期展示していた「時間旅行展」の搬出が行われており,スタッフは皆さん大忙し.なかなかこっちにまで,十分な手が回らない.本当に限られた人数で,物凄い仕事量をこなしてます.
それでも,当初のスケジュールにほぼ近い形で製作は進行しており,あと数日で実験とリハーサルの日々となりそう.
楽屋に組んでいた臨時ラボの機材も,劇場内のオペレーション位置に引っ越しし,いよいよパフォーマンス内容のクリエーションモードに突入.

What happen!!!

昨日,舞台の下見と,声データのサンプリングのために,UAさん来山.
前日(つまり一昨日),このpathの空間でどんなことが出来る可能性があるかを見せるために,とにかくいまあるネタを整理しようと考えていたら,横にいる大度君が奇声を上げた.彼はよくトラブルに見舞われる,というか,よくモノを無くしたり落としたり忘れたり勝手に壊れたり盗られたりするが,見ると何やら彼のディスプレーにあまり見たくないサインが...どうも,彼がさっき落としただか倒しただか踏んづけただかした,外付けのハードディスクを,Macに繋ぐといきなりカーネルパニックが起こるらしい.
面白がって,作業中のG5にそのHDを繋ぐと百発百中,間違いなくパニックが起こる.
世界最強無敵のHD,素敵.
関係のない人の方が多いだろうが,写真の状況など,見る人が見れば背筋が寒くなるはず.
そんなこんなで遊んでいたら,あっという間に昨日UAさんがYCAMに.

Finish

いやぁ,あっという間に終わってしまいました.YCAMでのpath公演.
僕にとっては,初のインタラクティブかつ即興的な照明作品ということで,最後の方の日々は無我夢中.また,内橋さんと僕がおっさんなだけで,あとはまだみんな若いもんだから,連日連夜みんなコンピューターに向かう向かう.おかげで毎晩それに引きずられるように仕事をしていた僕は青息吐息で,終わってからのこの3日間ほどはほぼ思考力ゼロ.
しかし,楽しかったです.
おおまかなシーン分けこそ最初にしたものの,その後はどのリハも本番も即興.しかも,初日前夜の通しリハを除いては,テンションが下がるからと内橋さんとUAさんのセッションはほとんどなし.システムチェックはしましたが,2回の本番ともほぼぶっつけです,はい.
2日間の内容も,僕の感じたところではまったく違う.どちらも面白かったけれどね.
自分で言うのも何ですが,印象に残る公演でした.
公演途中に,内橋さんが音を外に出さずに演奏し,光のパターンを作っていくシーンがあるのだけれど,その際2日ともUAさんは,舞台上で両手を広げて寝ころんでました.それがかなり自然で良かったのだけど,公演後に彼女から聞いたところによると,どうも本当に微睡んでしまいそうになったらしい.
「私って凄いところまで来たと思ったわ.400人の前で眠れるって思ったもん.」
という彼女のコメントが,かなり面白かったです.
もちろん2人のパフォーマンスも良くって,僕はついふらふらと,翌日に小倉のSOAPであった内橋さんのライヴにも出かけてしまいました.YCAMとはまた違ったライヴハウスでの演奏で,他のパフォーマーもなかなかの手練れで,脳味噌の凝りがほぐされた夜でした.

RC update

YCAMでのpathが終わって,京都に帰ってちょうど一週間.
既に僕が山口にいる頃から始まっていた,9月に向けてのRefined Colorsの振り起こしと新パート制作に,ようやっと参加し始める.やっと,頭が切り替わりつつある感じ.
思い起こせば去年の今頃は,本番直前.毎日毎日レオパレスからYCAMのStudioBに通い,ダンスとLED照明にどっぷり浸かっていた.
毎年面白いなぁ.
それでRefined Colorsの京都公演.9月24日25日と,京都造形大Studio21で行います.19日からスタジオ入りして午前中はワークショップ,午後からは新パートの制作に専念します.そのための準備というか,ダンサーとの制作を,いま行っているわけ.今月中に出来上がるわけではないけれど,進む方向くらいは定めたいモノだと思う.
ひさびさに,2ヶ月程自宅にいる予定.
近所の人に怪しまれないように,何か言い訳考えないと...
今日で,子供の断乳2日目.かあちゃん,1年7ヶ月にも及ぶ授乳,ゴクロウサマでした.
この一週間ほどカレンダーに印を付けて言い聞かせてきたとはいえ,つい昨日まで毎朝毎夕と就寝時までおっぱいをねだっていたのに,盛大に泣きはしたモノの諦めた様子の子供に,なんてよく分かって聞き分けがいいんだろうと,感心しつつあまりの物分かりの良さに心配になる親馬鹿です.

Off

1 year 7 month 10 days

14日から18日(月)まで,祇園祭のため京都芸術センターがオヤスミ.なので,そこで稽古しているRefined Colorsの作り込みも休み.
なにせ自転車のルートによっては,御池通りから四条烏丸近くの芸術センターにたどり着くまでに,3つも4つも山鉾の横をすり抜けなければいけない.呉服問屋が軒並み並ぶ界隈にセンターはあるのだ.とてもじゃないが,祭りの間は通常の開館は無理だろう.京都らしい理由である.
おまけに気がつくと,17/18日と連休である.何だ「海の日」って???
日曜祭日は,保育園は休みだがかあちゃんは働きに行く.観光地の仕事なので,稼ぎ時なのです.で,僕がウチにいる時は,なるべく娘と過ごす.1歳半,凄いぞ.風邪ひいてようが何だろうが,むちゃくちゃ元気.
なので1日中振り回されてます.
一昨日,はじめて娘の散髪をした.
それなりに工夫して切ったつもりなのに,なぜか不評の声が多い.変にきちんと揃ってなくて,可愛いのに.
断乳は,拍子抜けするくらいうまく行きました.
あきらめがいいというよりは,我慢強いのかな?

Biwako summer festival

ロンドン2度目のテロ.エジプトもテロ.おまけに東京で地震.
被害に遭われた方,お見舞い申し上げます.
地震は別だけれど,どうしたらいいんだろう? きっと,どうしたらいいんだろうと考える人の数が増えることが,まず先決なのかな.テロを起こしそうだと思われる人達は,全員隔離するか?殺すか?監視するか?そんなことが出来ると思う人は想像力が無さ過ぎる.
そんなことを思いながらも,びわ湖ホール夏のフェスティバル公演のひとつ,白井剛の『質量, slide , & .』を観に行く.実は明日観る予定だったが(明日も観るが),急に公演後のアフタートークに参加することになって,今日も滋賀まで向かうことになった.白井さんがまだ学生の頃,ダムのS/N公演を観てくれていて,それが良かったとか,去年のYCAMでのRefined Colors制作時に,発条トも滞在制作していたとか,そういう縁である.ちなみに,9月のRC公演とこのびわ湖夏フェスのプロデューサーも同じ.

公演は面白かった.
アフタートークではそこまで話せなかったけれど,プリンス(後でややこしいサインで表象する事になって,またその後元に戻ったあのパープルレインのプリンス)の,「sign of the times」と,印象がすごく被った.プリンスはあのアルバムを,今で言う宅録で作った.「ひきこもり」である...世界との接続を絶って世界の安寧を思う...
ボルヘスの短編の中に,テロを行うためにまず世間との関係を絶って自室に閉じこもり,自身の考えに考えを重ねた上に,それまでのしがらみをチャラにして,それでも行動に出るテロリストの話がある.そんな内証に内証を重ねるような作品だった.でも,無理矢理思いこんでというよりは,あくまでも楽しみながら,『質量』に向かい合っていた.
そうだなぁ,『質量』と『重力』の違いについても,聞き忘れたかな.人前で話すのは,いつまでも苦手だ.
明日は,C, de la B のSidi Larbiが踊る「d’avant」を観に行く.

August

7月28日に大度君が京都に来て,南君も何とか時間を作って,久々にRefined Colorsチーム全員集合.ようやく何とか形になってきた新パートを観て,9月の製作までに予め準備をしておく.
びわ湖ホールで観た「d’avant」は,とても面白かった.ヨーロッパで売れっ子のダンサー/振付家4人が集まって作った作品である.4人の男性が古歌を歌いながら,劇場らしい様々なトリックを使い,でも基本は自分の身体と存在感で時間を埋めていく.一件何の変哲もないプレーンな床に見える(実は全体が台で上げてある),基本の舞台装置も抜群に良かった.
なかなか4人のスケジュールが調整できず,ヨーロッパでも再演が難しい作品である.当のダンサー達は出来ればこの作品をやりたいらしいけれど,それぞれ別の仕事も抱えているし,そうそう思い通りにはいかない.その作品を日本で単独公演するとは,びわ湖すごいなぁ.

話は戻って,Refined Colorsの稽古は8月5日まで.それ以降,モノクロームサーカスのメンバーは,8月後半に京都芸術センターと東京の森下スタジオで公演する,フランスのダンサー/振付家デディエ・テロンの作品の稽古に入る.そんでもって,ちょうどそれが終わった頃から,僕とダンサーのひとりはダムのツアーに出る.帰国はなんとRefined Colorsの仕込み初日早朝.僕は別にディディエの作品には何の関係もないので,8月はずいぶん時間がある.9月の準備をしつつ,のんびり過ごせるかなぁ.