Passed 10 years

Stage

Teijiが逝ってから十年.
節目といっても,どういう区切りなんだか,よく分からないけれど,とりあえず今もこうやって,劇場で面白い作品の制作に関わっていられるのは,良いんじゃないかと思う.
ベトナム語とフランス語が飛び交い,時たまちょろっと英語が混じる環境にずっといると,なんだかやけに昔のことを思い出してしまう.脳がちょっと逃避状態になっているのかもしれない.
でも,一緒にやってるフランス人スタッフは,なかなかいい人ばかりで,特に照明を担当しているカルロスは興味深い人物だ.僕はLED照明のみを動かしていて,それ以外は彼がデザインとオペレートをしているが,結構分かるところが多い.
なので,そんなに疎外感があるわけでもないのだが...
まあとにかく,今こうやってオランダの劇場にいて,ダムのではないけれど,新作の立ち上げに関わっているというのは,それなりの十年だと思うし,これからもがんばりたいと思うわけです.
公開リハーサルまで,あと4日.

Groningen

Grand Theatre

ついに着るものがなくなって,朝も早よからコインランドリーへ.朝7時半から開いているということだったのに,8時になってもドアが開かない.
1人で怒りながらホテルへ朝食をとりに戻ると,なんとまだ朝7時.昨日の深夜,オランダの夏が終わったらしい.こんなに寒くて暗くても,まだ夏やったんかい,と突っ込みたくもなるが,まあ1時間儲けたということで,時計を1時間戻して冬時間へ.
ハノイからクアラルンプール経由でアムステルダムまで飛び,そこから列車でGroningenにたどり着くのに,空港での待ち時間も合わせて,ほぼ24時間かかった.
さすがに着いた当日は,日本から送った荷物の確認と劇場をざっと下見するだけで,ダウン.ホテルの横のバーで,人生で一番味無いトンカツ(ウィンナー・シュニッツェルとメニューには書いてあったが,厚さ1センチのスリッパくらいの豚肉に5ミリくらいの衣を付けて,ぱさぱさになるまで揚げた代物)を食べ,ビールを飲んで,夕方5時くらいから翌朝5時まで寝ていた.
劇場は,元映画館とかで,インディペンデントでやんちゃな感じ.アートセンターぽくって面白いが,予算が少ないのか打ち合わせが出来ていないのか,集中して働いてくれるスタッフが少なくて,仕込みも結構行き当たりばったり.でもこれはどうも劇場側のせいではなく,こちら側から明確なプランが出せていないためだと思う.もちろんまだ作っている最中なので,試してみないと分からないことの方が多いが,それにしては動けるスタッフが少なすぎる.舞台・音響・照明,各1人ずつこちらのテクニカルがパリから来ているが,それだけでは当然足りない.ヨーロッパでは照明と舞台を兼ねているスタッフが多いが,此処もそうで,舞台に人手が取られると照明が進まず,また逆もあって,ちょっと大変.
でも何とか仕込み2日目夕方には,舞台の体裁が整う.
今回は初めて全てのLED灯体を,日本でいうボーダーライトのように天井バトンに吊っている.他の照明との関係で,7.5mくらいの高さまで上げなければいけないので,各明かりはずいぶん弱いが,それでも舞台全体を染める分には何とかなっている.ただ色が付くだけでは別になんということもないので,どうやってLEDの特性を生かしていくのか,これからが思案のしどころ.

Amsterdam_Stadsschouwburg

Ams_01_2Ams_02Ams_03

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Amsterdam市民劇場の新館,Amsterdam Stadsschouwburgで「true」の公演.この春にオープンしたばかりの新ホールは,何となく作りがYCAM_StudioAに似ていて,なかなか使いやすくて痒いところに手が届いている.舞台も客席も,全体に少し横長のプロポーションなのは,「true」のように小柄なパフォーマンスにはとっと間口が広過ぎるが,でも全体にどこからも舞台が近くて見やすい.窓の開くオペレーションルームや余裕のある客席周り,舞台の高さを造るのに,客席最前列3列分を逆に沈めて舞台を高くできるという機構も,StudioAと同じ.客席を退けて平場にできるというわけではないけれど,なかなか良いです.
特筆すべきは,音響設備の良さで,d&bがYCAMよりゴロゴロいっぱいある.今回の音も,質といい音量・音圧共に申し分なし.
あと,舞台奥の上に窓があって,仕込みの時なんかは日光が燦々と入る.これでちゃんと遮光も考えられているからいい感じ.ただし,しょっちゅうスタッフが休憩に行くので,遮光が必要な時にスタッフを探しに行くのがちょっと面倒.
写真は,劇場とtrueの小道具スプーンに映るLEDリング.今回の足場と振動子.3枚目の写真の,左側の光っている壁の中はトイレで,一件それとわからなくて見つけるのに苦労する.スプーンとフォークは,trueテーブルにちなんで穴あきなんだけど,たぶん誰も気がつかない.

Eindhoven

Eindhoven_01_2Eindhoven_02_2Eindhoven_03

Eindhoven_04Eindhoven_05Eindhoven_06

今や,アメリカのカラーキネティクス社本家も傘下に収めた大企業,フィリップスの発祥の地だというEindhovenで公演.確かその昔,フィリップスとソニーがCDを共同開発したと記憶している.
そのEindhovenでは,結構街の外れにいたようでかなりの田舎町の印象だったが,ドイツへの移動日に駅へ向かうためにタクシーで町を横断したら,中心はそれなりの都会でした.で,外れに居たのはそこに劇場があったからで,そのParkTheaterというのがでかくて立派.こんな田舎町に(失礼!)なぜこれほどの????という疑問が浮かぶが,どうやらお金持ちの町らしい.
中華を食べにレストランに行ったら,それなりの値段で驚く.でも味は確かに美味しかった.
はたしてどれほどの数のお客さんが,と心配していたら,もう切符は売れていてほぼ満席だという.500席くらいのホールだけど,どこからそんなに人が集まるのかと思ってたら,いやいやどうして,いっぱい来て下さりました.ただ,アムスよりかなり年齢層が上で,途中で帰る人もちらほら.
アムスのアンケート(英語)を見ると,絶賛と酷評が同じくらいある.酷評した人も,アンケートを書いてくれるくらいだから,たぶん最後まで観てくれて,ちゃんと意見を知らせてくれる.ありがたいです.
で,もっとも多い理由が,「音が大き過ぎる」と「わけわかんない」の2つ.両方とも,それなりにもっともで,僕の不徳のいたすところだけど,何となくこういう事かなと思う.それは,テレビでドラマを観てる思って,ある番組をずっと見てたら,科学ドキュメンタリー番組だったという感じ.
そりゃまあ,「なんじゃこら!?」でしょう.でも,ドキュメンタリー番組も物凄くドラマチックだったり,今まで知らなかった不思議な物語が含まれていたりするんですけどね.
それが,ちゃんと伝えきれていないのは,こちらの責任です.もっとちゃんと考えて,作品中で対応しないといけないと反省しきりです.
で,Eindhovenの劇場と,そこからデュセルドルフへ移動する道中.大中2つの舞台がある劇場の搬入口は,10トントラック4台同時搬入可能.
駅にあった寿司+ラーメン(カップヌードル)屋さんに,怪しげな日本人が群がってます.駅のホームの集団も変.