さて,風邪だ風邪だと思っていたら,よく言ったもんで風邪は万病の因,あまりのしつこさに病院へ行ったら,マイコプラズマウィルス由来の肺炎になってました.
肺炎って...!と,病名を聞いた時にはかなり腰が引けたものの,別に入院する事もなく,処方された抗生剤を朝晩2回5日間飲み続けたら,どうやら完治したようで,それがゴールデンウィーク突入手前.
なかなか完治しない咳や熱が続く場合は,売薬を飲み続けるよりは,さっさと病院に行った方が正解かも.順番待ちは長かったけれど,血圧・体重・身長など測って,診療後は血液検査とレントゲン,尿検査も受けて,それでまあ,マイコ何ちゃら以外はさしたる異常もなく,薬まで買っても3000円から4000円の間(国民健康保険の三割負担ですが).薬局の売薬買うのと,それほど変わらないかも....
おかげさまで,家族にもうつらず,というか,実は家族の方が先に3月くらいに罹っていて,僕が今ごろ遅れて発症しただけかもしれないが,まあ回復して5月を向かえ,4日の日曜日には久々に妻と娘(4歳半)といっしょに大文字山に登る.娘,最後まで自力で登りました.
あとは,京都芸術センターで開催されていたワークショップ・フェスティバルのうちの,こども・おとなWSに娘と妻が参加.それに付いて行って,久しぶりに香港のダニエル・ユンと再会.思えば,ダニエルの仕事で結構長く香港に行くことになって,それでこのブログを始めたのでした.
そのダニエルが,5月5日のこどもの日には,京都でまだあんまりわけの分かんない娘に,WSで接していたのでした.観ていても,結構面白かったです.
その前日は,坂本公成の子供(と親)向けのWSで,そこに森裕子さんも参戦.小さい子供でも,無理なく入って行ける,楽しいものでした.
そして一番僕が観ていて興味深かったのは,6日のチョン・ヨンドゥさん(韓国)のWSで,もちろん子供もついて行けるものなのですが(ここがたぶん一番難しい),視覚や記憶などに絡みつつ,知識ではなく経験的に現実を認識するような,良いWSでした.といっても,僕は横で見ていただけですが.
と,まあ,そうこうするうちにGWも終わり,そろそろ忙しくなるかなぁ...などとうかうか考えている間に,いきなり雪崩のように打ち合わせやら申請やらが押し寄せて,あっという間に巻き込まれ,今日は久々に,こんな時間までMacに向かっているのでした.
Pasta
久々にパスタを作った.
もう,ずいぶん昔に買ったパスタマシーンがあって,生地を伸ばすのも麺に切るのも,ハンドルを回せば出来る.それに,今日はじめて妻にやり方を教えてもらったが,ウチにあるフ−ドカッターで,生地を捏ねるのもうまくできる.こりゃ便利.
といいつつ,ちょっと工夫が必要なのが,娘がアレルギーの為に卵を受け付けない.饂飩や餃子の皮なら卵は使わないが,パスタを打つにはたいてい「強力粉300グラムに鶏卵3個」とかが基本だったりして,ちょっと困る.そもそも,あまり天気の良くない日曜日に,娘と遊べるアトラクションとしての,パスタを打って昼ご飯,なのだ.最後に美味しく食べられないと,作った意味がない.
そこで代用に,トマト缶のジュースとオリーブオイルを使って,強力粉を捏ね始める.分量は,卵を使った時と同じ比率で,粉300グラムに対して150グラム(鶏卵1個分を500グラムとして考える).
結構綺麗な色が生地について,なかなかよろしい.
「うわー,ペールオレンジやぁ〜」と娘が言って,ちょっとびびる.「どこで,教えてもうたん,そんな色の名前.」「うん,保育園のクレパスにあんねん.」
お洒落でんなぁ,今どきの子は.
で,鶏卵を使った時よりは,なかなか生地が堅くて思うように伸ばせず苦戦しつつも,粉を打ち始めてから2時間弱で昼ご飯にありつく.こういう事をするといつも思うが,経験値や情報量を高めるという目的がない限り,市販のパスタや餃子の皮を使った方が,経済効率は絶対高い.
特にパスタは,お米を研いでご飯を炊くより,形にして食べられるまでにかなり手間と時間がかかるし,それに乾麺のスパゲッティやマカロニなどがあまりにもポピュラーで,これはもともとそういうもんだとの認識が定着している.
でもね,大仰に言うと,食べ物の成り立ちを理解するには,饂飩もパスタも蕎麦も,打ってみないと分からない.結構簡単です,だからこそ常食というのか,今の感覚だとご飯を炊くように,主食にしたのでしょう.もちろん,小麦の栽培効率というのも,重要な理由でしょうが.
パンを焼くのも,同じですね.ご飯を炊くぐらい簡単にパンを焼く.でなきゃ,毎日その作業をするのは無理.もしくは,豆腐屋さんみたいに,どこにでもあると...
これは,興味深いなぁ.日本だと,豆腐もパンも,専門職というか,近所に必ず製造業専門職が存在するものになっているけれど,日本以外はどうなのだろう?
豆腐はともかく主食のパンは,メインのポジションを守るためには,自宅でも簡単に作れるという事が,かなりポイント高いと思うのだがどうでしょう?
写真は,トマトを練り込んだタラッテリア(自家製)
I will go to Berlin
そろそろ働かないと,という事で,来週からベルリンです.
めずらしくというか初めて,公演ではなくてワークショップだけの為に海外へ.Zensorsというオーガナイゼーション主催のモノで,何でしょね,目標はアーティストの情報/メソッドの交換かな?
詳しい告知は,ここに出てます.
http://www.myspace.com/zensors
myspaceというのが,どうも使い方が違うみたいで違和感が有るけど,まあ別に僕が設定したわけではないので...
僕の立ち位置としては,trueの延長線上で,現実感を構成する諸要素と脳の働き,みたいな事が見えるWSができたら良いかなと思うのだけれど,日本側からの他の参加メンバーがどういう準備をしているのか,ほとんど不明.とりあえず,行ってからミーティング.
そういえば,何人かの方に「肺炎だそうですが,大丈夫ですか?」と心配していただいた.
すいません,ありがとうございます.
でも,肺炎といってもいろいろあるみたいで,マイコプラズマ肺炎は,結構多くの人が知らずに発症して,ズルズルと長引きながらもそのうち自然治癒,という事が多いようです.要するに,何だかしつこい風邪だなぁ,ぜんぜん咳止まんないや,と言っているうちにそのうち治るという感じ.実際僕も,抗生剤を朝晩二回五日間飲み続けたら,どうやら完治したみたいです.どうも皆さん,ご心配をおかけしました.
End of Berlin WS
Berlinから帰国.
今回印象に残ったのは,同じく講師として参加したY川氏の,アーテストとして様々なことにコミットする姿勢.その場を仕切るバイタリティーや,ちゃんと話に耳を傾ける姿勢は誠実でした.
アーティストとして,自分をアピールするのが半分仕事みたいなものだと思うが,その押しの強さの反面,まっとうにリベラルでした.
僕も,見習いたいもんです.
WSは,とにかく忙しなさ過ぎ.ヒト(受講者)を変え場所を変え,目一杯詰め込んで,結局誰もが消化不良.狙い目は良いのだけれど,ワークショップではなくて何かの展示会みたいでした.
まあそれでも,WSの経験値の低い僕としては,得るところは有りました.
結局,知識を相手へコピーするのではなく,経験を実感するのがWSだとすると,それなりの手法を開発しなければ,どうもいくらうまく説明できても何か欠けている(嘘臭い)のだと,改めて実感した次第.マニュアルを隅から隅まで隈無く読んでも,それで例えば格好良いギターが弾けるようになるわけじゃないという,当たり前のこと.
ダンスみたいに,身体を動かすことを教えるのが目標じゃないだけに,とても難しい.
写真は,WS会場に並んだノートブック(各役割は説明できても,それを使いこなすまでには,遠くて長い道のりが...)
同時期にあった,デザイン・フェスでのLED_Room.同じく,リサイクル・ペットボトルのオブジェ(遠景)と(近景).お洒落なカラーコーディネートの地下鉄.Berlinでは主流のタクシーメーター.
結局,EUの真ん中っぽい位置で,何処にもアクセスしやすくて,それでいてまだまだのほほんとしている面もあり,家賃が安いのが,Berlinにアーティストが移ってきている理由のようです.
It got excited
そろそろと,周りがざわざわして,忙しくなる予感.
今年も,前半は時間があって,うかうかとしている間にあっという間に過ぎる.で,9月以降は,ちょっと不安になるくらいの過密スケジュール.うーん,まずは体力トレーニングが必要かも...
しかし,毎年なぜ?
とにかく,7月はいくつか楽しみな予定が.
まずは,7月6日に埼玉で,trueがきっかけで設定してもらった,トークセッションがあります.
http://www.skipcity.jp/event/vm/exhibition/0803251.html
ページの下のほうに,案内があります.
「REALTOKYO」および「ART iT」発行人兼編集長の小崎哲哉さんとお話します.
ここだけの話,trueのセットと同じ24台のLEDを,直径6mの円形トラスに吊って,デモもやります.
もしお時間が合うようでしたら,いらして下さい.
8日は,横浜です.
http://www.dance-media.com/zaim_workshop2008/vol-3.htm
こちらは,去年3月にRefined Colorsのワークショップを,東京で開催した際お世話になった,Dance and Media Japanのワークショップに,ゲストでお邪魔します.先日のBerlinでの一連のWSが結構大変で,それで逆説的にもう少し人に,LEDを体感してもらうことに興味が湧きました.教えるんじゃないんですよね.
そしていよいよ,半年ぶりにtrue公演@Singaporeは,7月24日・25日・26日です.
http://www.thestudios.com.sg/2008b/microsite/
メインのEsplanadeサイトにも載ってます.
http://www.esplanade.com/SOPApp/espsop/portal_proxy?uri=o_nuinR7xVvpiW9f!2pKDV@5rq-E_AlsvZIm_9MEA@a@shK@GfG-7POZO5=WsQP0blaEsJFM
trueはこの後11月にNYで公演し,その後09年の初めはヨーロッパに行く可能性があります.なので,しばらく日本で公演する予定はありません.もし,もしですが,この時期にシンガポールに行く予定のある日本の方,よろしかったらぜひ観に来て下さい.
ちなみに,同時期にISEAという,メディアアートのカンファレンスも行われており,
http://www.isea2008singapore.org/index.html
その関連の展覧会なども,行われています.
Refined ColorsやPath,trueのクリエーションでお世話になっている,YCAMの活動もISEAで発表されるようで,
http://www.isea2008singapore.org/conference/conf_institutions.html
この時期,シンガポールは盛り上がります.
ちなみに,trueも関連イベントの一部です.
http://www.isea2008singapore.org/conference/conf_events.html
いやあ,楽しくなってきました.
Festival
Ability
友人の見舞いに行った.
思っていたよりも,顔色も良くて,しっかり話も出来る.痩せてるし,身体にチューブがくっついていたけれど,僕がいる間に歩行訓練もして見せてくれて,3月に倒れたダメージから少しずつでも回復しているように見受けられた.
頭の腫瘍の手術を受けたということで,会話も少し努力がいるようだったけれど,でも言葉が出難いとはいうものの,それは思考の内容とは関係ないようだった.
あまり気の利いたことは言えないけれど,その時話したのは,発話と黙読の違いの話で,発話はほとんど本能のような生得的な能力だという.何の本で読んだのかは忘れてしまったけれど,ちょうど入院している部屋に行った時に,リハビリで音読を一人していたので,そういう話になった.
発話というか発声で他とコミュニケーションをとるという行為は,多くの動物で見受けられるが,黙読はまったく人間の技術である.しかも,かなり新しい.人や店の名前,祈りの言葉なんかは,昔から黙読するということが存在したかもしれないが,まとまった文章,しかも情景描写や抽象的な思考の足跡や,会話,様々なデータなどを声を出さずに読み込んでいくというのは,大半のヒトにとってはグーテンベルク以降,いや実際はもっと遅くて,小説の誕生以降に開発/体得された技術である.
そのことからも分かるように,今日僕たちが使っているような意味での,話す事と読み書き,そして付け加えるなら,そうして伝搬していく言葉の内容を理解することは,まったく別の能力で,使う脳の部分も違う.
友人は,話し方こそ詰まりながらだったけれど,こんな内容の会話なら,問題なく楽しめるようだった.それに,見舞いとして今後持参希望の本の話などしていたら,僕がこの前読んできれいさっぱり忘れてしまっていた有名作家の短編の内容を,よっぽどよく覚えていた.素人考えだけど,ただ単に読む技術のいくぶんかが消えてしまっただけなら,それはきっと取り戻せると思う.
そんなことを考えながら,あらためて秋葉原の人殺しの事を思う.
連日,マスコミを賑わしている事件だけれど,あの人殺しの現実(感)には,弱者も病者もいなかったんじゃないかと.容姿が悪い,お洒落じゃない,それで結局異性にモテない,だから負け組だというけれど,健康で飢えることもなく移動の自由もあったわけだ.それに,知識だって人並みにあった.
欠けていたのは,想像力でしょう.
もっというなら,親に無理強いされた義務教育期間だったというけれど,現存の人類の中で,日本レベルの教育を受けられて,それを自由に使える立場にある者がどれだけいることか...
別に,そういう迷惑な人達が海外に出て,今だにある程度は有効な,日本の国力を実感しろとはいわない.上を見るな,下を見ろ,という話でもない.ただね,「現実」は結局,その個人の想像力によって構成される,と思います.
ヤケクソになって人殺ししか選べないのは,他人のせいじゃない.
生き抜くための想像力を育てるのに,容姿も資産も関係ない.
世界の広がりや美しさを実感できるモノ/コトが,日に日に自分の周りから失われてきているという実感が,いまの日本で暮らしていると確かにある.それでも,想像力とユーモアで,それに立ち向かっていくこと.
写真は,まるで関係なく,部屋の窓際に育つ草や静物.
Position of color
もう1週間経ってしまったが,6日(日)に埼玉県川口市のスキップシティでのトークイベント「色の在処」無事終了.沢山の方に来て頂いて,かなり緊張したものの,小崎さん(『REALTOKYO』および『ART iT』発行人兼編集長)のナイス・リードで何とか乗り切る.
ダムのタカオちゃんや指輪の佐藤さんも見に(聞きに?)来てくれたり,新たに知り合えたアーティストの方々とも話せて,大変楽しゅうございました.
ヒト前で話すというのは,公演とはまったく別の緊張感で,インプロっぽいところがあって,気楽なところも多い.そういえば何処かで読んだか聞いたかしたが,ミュージシャンはセッションが終わったらさっさと済んだ事は忘れて,次の公演に思いを馳せるそうな.前の公演のビデオを見て,あーだこーだと考えて,ひとつのパフォーマンスを更新し続けるのとは,かなり違う.
大仰だけど,そんなミュージシャン的な楽しさを,少しは感じられたような気がした.
写真は,ずいぶん前から知り合いのMatronさんが,偶然にもスキップシティの依頼で,スティルの写真家として撮ってくれた1枚(僕が知りあった時には,彼はダンサーでヴィデオ作家だったんですが...今は?)でもとにかく,「Photo: Matron」.