true at Montreal

モントリオールからケベックへ向かうバスの中では、ネットが通じる。各座席には、電源のコンセントも用意されていて、試しに走行中にこれを書いてみる。
モントリオール ー ケベック間は、バスで約3時間。周りは一面雪景色だが、樹々には積もっていない。しばらく前に降った雪が、溶けずに地面には残っているが、枝の雪は風に飛ばされたんだろうか?
trueのモントリオール公演は、セットアップ初日から波乱の幕開け。
順調に仕込みが進み円形トラスにLEDの灯体を仕込んでチェックのために電源を入れた途端、パワー/データステーションのうちの1台がバンッと大きな音を立てて沈黙。開けてみると、電源ボックスの中のパーツが破裂していた。
どうやら、カナダの電圧が120Vで、電源ボックスは115V対応だからということらしい。といっても、そんなことある?
電源ボックスには、115V <-> 230Vの切り替えスイッチが付いていて、EUなどでは230Vで問題なく動いていた。何となく電圧が不安定そうなブラジルでだって(僕の勝手なイメージだけど)、問題なかった。5台あるパワ=/データステーション全部に通電したのに、この1台だけバンっ!て、どいうこと?
仕方がないので、日本が朝になるのを待って、メーカーに問い合わせて対策を練る。
いちおう、別のLED灯体用のステーションが代用できるとのことで安心はするが、しかしこのままでは残りの4台が不安ではある。それ以外のLED灯体のステーションはユニバーサル電源なので、こちらはたぶん大丈夫。
いろいろ対応を考えているとき思い出したのが、あと数時間で飛行機に乗って、日本からこっちへ来る人がいる!
というわけで、Tさんは成田から120V -> 100Vのステップダウントランスを3個も持ってくるはめに。
Tさん、ありがとうございます!
しかも、とにかく八方手を尽くす中で、壊れたパワー/データステーションが、新たにユニバーサル電源を搭載して復活!
それと共に、昔懐かしいスライダックも2台見つかり、無事LEDは全部点灯し制御可能に。
そうそう、Tさんが運んでくれたトランスも、テーブル周りの電源供給に投入。これが無かったら、小型プロジェクターは動かなかったかも。
そんなこんなでバタバタしている中、上にあるオペレーションブースに行こうと、不用意に客席を出た裏の階段に入ったら、外からは扉が開くのに内からはロックアウトされて閉じ込められるという一幕も。
唯一1階のどん詰まりの扉だけが内から外に開くが、勢い込んで開けてみるとそこは−10度以下の雪景色。僕は、劇場内で働いていたので半袖Tシャツにジーパン。試しに、直前の学習を生かしつつ、扉が閉まりきらないようにモノを挟んで外に出てみるが、生命の危機を感じて数歩で撤退。こんなとこに出るくらいなら、階段に閉じ込められてる方がましだ。
で、ツアーメンバーに片っ端から電話するが、さすがに仕込み中は誰一人繋がらず、20分ほど経って休憩時間になり、僕の姿が見当たらないのでわざわざ電話して来てくれた舞監のNさんにより、めでたく救出される。
と、まあそんなこんなのドタバタを乗り越えつつ、初日・2日目・3日目と盛況のうちに公演を重ね、4日目にはカメラ3台を入れての映像撮影もこなし、今日のケベックへの移動を迎えられた。
明日からの仕込み、がんばりましょう。
そしてケベックの次は、3月の伊丹アイホール!

With a little shopping

帰国。
ケベックは、確かに寒かったけれど、劇場に併設のレジデンスは、ぬくぬくと暖かく居心地が良く、それに何より、お客さんもスタッフも熱心で、公演も滞在も幸せな感じだった。
あまり積極的には外出しなかったけれど、ツアーメンバーの皆がみんな凄いというので、チョコレートと髭剃りを買いに行くついでに、凍った河を見にちょっと足を伸ばしてみる。
といっても、劇場から二十分、買い物をするスーパーからは十数分の距離で、写真のような景色。ケベックは、確かに小さいけれどそれなりに都会なのに、ほぼ街中でこの景色!
帰りは、ケベック>トロント>成田>伊丹>京都という行程。
戻ってきてそうそうのことですが、今週13日(日)に、去年照明をつけさせていただいた能楽「葵上」の再演があります。会場は、前回と同じく大阪の山本能楽堂。
前回と同じく、美術家の井上信太さんにお願いして、LED照明のシェードを作っていただくが、時間的余裕と経験値のアップによって、かなりのアップデート。客席のどの位置からでも、それほど照明が邪魔にならずに舞台が観やすくなりました。感謝です。
http://yaplog.jp/noh-theater/
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Wh
Night

TableMind

川口隆夫ソロ公演「TableMind」、川崎市アートセンター・アルテリオで、ただいま製作中。
「true/本当のこと」のクリエーションメンバーが、各自忙しい中集まって、机を並べてラップトップに向かっています。
http://kawasaki-ac.jp/theater-archive/110223/
舞台上でいろいろ試せるようになるまで、あと一歩。

I will paste it for not forgetting

知人から。
被災者のために持っている情報を無駄にしたくないので、拡散してもらえると助かります。 テレビのむこうだけをじっと眺めているだけではいけない。
地震が起こったら、必ず窓を開けてください。そして、家にいる人は、今、お風呂に水をためてください。まだ、電気が通じる人は、ご飯を炊いてください。阪神淡路大震災の経験から、皆さんに伝えます。
X字の亀裂が入っているとこはすぐに崩壊するから注意!
携帯と充電器、ラジオ、ペットボトル水必要!
ヒール履いてる人は折る!
食料は最低3日間は自立しなきゃいけない。トイレは基本ないからビニール袋を。
火事などの2次災害に注意!
パニックになったら周りもパニックになるからしゃがんで「落ち着いて!」と叫ぶ。
ストッキング履いてる女性はできるだけ脱ぐ。火傷したら広がるから。あとナプキンがいい止血帯になるから覚えておいてください。
安否確認はダイアル171!
できるだけ安否確認で電話は使わないで!救急ダイアルが混乱するから。
あったらいいもの
お金 水 ペンライト お菓子 携帯 応急セット ハンカチ ティッシュ
追記
屋内の場合
●家の中
・テーブルの下にもぐる(無理なら座ぶとんなどで頭を守る)
・ガラス片が危険なため、素足で歩かない。
・火の始末はすみやかに。
●デパート・スーパー
・バッグなどで頭を保護。
・ショーウインドウや売り場から離れ、壁際に。
・係員の指示に従う。
●ビル・オフィス
・机や作業台の下にもぐる。
・ロッカーなど大型備品の転倒、OA機器の落下に注意。
●集合住宅
・ドアや窓を開けて、避難口を確保。
・エレベーターは絶対使用しない。避難は階段で。
屋外の場合
●路上
・かばんなどで頭を保護し、空き地や公園などに避難。
・ガラスや看板などの落下に注意。
・建物、ブロック塀、自動販売機などには近寄らない。
●車を運転中
・ハンドルをしっかり握り徐々にスピードを落す。
・道路の左側に車を寄せ、エンジンを切る。
・避難するときは、キーをつけたままに。
・車検証や貴重品は携帯する。

true at ITAMI AI_HALL

「true/本当のこと」@伊丹アイホール公演、18日金曜日から21日月曜祝日まで、開催します。
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アイホールダンスコレクションvol.64
『true/本当のこと』
a new sound, light and dance performance
http://www.true.gr.jp/
2011年3月
18日(金) 19:30
19日(土) 16:00
20日(日) 16:00
21日(月祝) 16:00
(自由席・開場は30分前)
★ 全公演終了後、ポスト・パフォーマンス・トークあり。
18日:白井剛 × 浅田彰(批評家)
19日:藤本隆行 × 石橋義正(映画監督・「キュピキュピ」主宰)
20日:真鍋大度 × 石橋素 × 名和晃平(彫刻家)
21日:川口隆夫 × 前田真二郎(映像作家・IAMAS准教授) × 砂山典子(X ダムタイプ・雑食系身体表現者)
会場:アイホール(伊丹)http://www.aihall.com/
お問合せ:true実行委員会 Tel. 090-3532-5924
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まだ、席には余裕があります。僕のメールアドレスをご存知の方は、直接メールいただければ、少しだけお得な優待チケットもご用意できます。
今晩22時過ぎに、仕込み初日が終わった伊丹から京都へ帰る高速道路で、きっと東日本の被災地への救援へ向かうのであろう、長崎ナンバーの警察車両の車列と並走しました。長崎から走ってきたであろう距離とこれからの距離、そしてこれから直面するであろう現実を思うと、翻って自分には何が出来るのだろうという焦燥感に駆られます。
いたずらに楽天的な見方も、悲観的な見方もしたくないのですが、関西に居るとついつい周りの平穏さに、楽天的にもなり、でもテレビのニュースを見ては大きな不安感に覆われる日々です。
これしか出来ないから、という言い訳はしたくないのですが、この関西の平穏さは、できれば持続したい状況だと思っています。
そして、できる限りの情報を集め、なおかつ慌てず、自分のできる最善の対応ができればと、ずっと願っています。(他人事のように聞こえたら、申し訳ないです。)
ヒトの力を信じるには、別に地球スケールの事象や、科学的な言い訳などなくても、大丈夫だと言いたいです。
だから、がんばります。
True_osaka

I’m a liar, will tell you the truth

伊丹アイホールで、「true/本当のこと」公演しています。明日まで、あと二回。
この作品は、脳の話だといっているが、ときどきは「嘘吐きが本当のことを言う話」という説明をする時もある。
そして世間には、「本当のことしか言わない嘘吐き」も、存在する。
又聞きだが、経団連の会長だか副会長だかが、「千年に一度の大津波に耐えたのだから、日本はもっと原子炉のコトを誇っていい。」と、言ったとかいわないとか。その際、現地作業員の被爆量の安全基準を、何だかあっというまにそれまでの1.5倍浴びても安全だと言いだした事や、多くの原発関係者以外の人々が身体を張って事態の鎮静化に努めているコトに、言及したかどうかは不明。
震災前は、さも真っ当な事のように、「風力や太陽光発電と同んなじで、原発も二酸化炭素を出さない、エコな発電です。」とジャブジャブお金をつぎ込んでコマーシャルをうっていたのも同じ。
これらは、意識的に事実の一面だけを強調する嘘吐きだ。

How to make, how to use

true@伊丹アイホール公演、無事終了しました。
観に来て下さった方達、どうもありがとうございました!
ところで、この時期に公演が終わったばかりの僕が書くと、言い訳がましく聞こえるかもしれないが、このところの状況を受けてLED照明のことを改めて考えてみた。
舞台は基本的に虚構だけれど、観客に見せるためには莫大なエネルギーを使う。幻を現実化してみせるには、力が必要なのだ。そして、公演後はセットはゴミになり、舞台上で起こったことはほぼ記憶にしか残らない。つまり舞台は、かなり反エコで、それはまあどう言い訳のしようも無い。
その中でも、照明はかなりの電力を使う。
僕は、近年もっぱらLEDを使っているので、まったくもって公正な立場に立っているとは言いがたい。その上での発言なので、かなりLEDに依怙贔屓な言い分ととってもらって差し支えないが、とりあえず具体的な数字を使って書いてみる。
これまでも、下のようなことは考えていたのだけれど、でももう日本の劇場はインフラが整っているし、舞台照明のメーカーに関しては、数社の寡占状態にあるといってもいいと思うので、僕が何か書いてもどうにもなるもんでもないと考えていたのだけれど、でも今回の震災に続く出来事を見ていると、エネルギーの作り方も大事だけれど使い方も大事だと思った次第。
公演が終わったばかりの「true/本当のこと」を例にとると、この公演の照明には40台の1kwフレネルと14台の575w Source Four、24台のLED照明と12台の蛍光灯型LED照明を使っている。
ちなみに、40台の1kwフレネルライトというのは、小劇場にいっぱい照明を吊ったというレベルか。
これらの照明を、全部一度に点けるということは、まあ無いわけだけれど、でもいちおう全部点灯できるだけの電力は確保しておかなければいけない。それだけのインフラが無いと、劇場はできないわけだ。
この40台の1kwフレネルを全点灯させるには、400Aの電流が必要になる。1000W / 100V x 40台だ。
それに比べて、LED照明はどうか。
観ていただいた方には分かると思うが、舞台上の円形トラスには24台のLED照明がついている。このカラーキネティクス社のColorBlast12の1台をフル点灯するのに必要な電流は約1A。つまり、あの円形トラスについているLEDを全部白色にして点灯させるのに必要な電流は24A。そのLEDの上に吊ってあったフレネルライトをフル点灯したとして、そのうちの2台半ぶんの電流でまかなえる。
両脇の足場についていた蛍光灯型LEDに関しては、片側6本全部で3.5A程度。足場についている全部の蛍光灯型LEDをフル点灯しても、1kwフレネル1台の最大電流使用量以下で済む。
もちろんLED照明にできないことはある。それに、僕は現行の舞台照明の代替えにLEDを使えばいいとは思わない。もっと別の表現の可能性があるという方が面白いと思うから。にしても、併用はあり得ると思うし、それによって舞台表現のポテンシャルはもっと上がると思う。
ちなみに、今回の公演で使った映像プロジェクターは、メインが1台と、テーブルの中に小型のものが1台。このうちのメインのプロジェクターの明るさは7000ルーメンで、光源の電球は750W。
照明の次に電力を消費する音響(PAシステム)は、足場を揺らす振動子が案外電気をくって、60A。通常のPAも60A程度で、合わせて120A。また1kwフレネルの全点灯に変換してみると、12灯が点けばあの音を出すのに必要な電流と同じだけになる。
電気の作り方に関しては、ここにひとつの提言がある。
http://www.realtokyo.co.jp/docs/ja/column/outoftokyo/bn/ozaki_225/
僕の前のコメントも、これを読んでのコトだ。
そして使い方も、この機会に考えて変えていける一歩を踏み出せればと思う。
ガンガン作ってジャブジャブ使うというのは、やっぱりスマートじゃないだろう。

Wanted

今月末に京都で行うワークショップに、参加してくれる中高生を募集しています。
先日まで伊丹のアイホールで行っていた、「true/本当のこと」にも通じる、デジタル技術を舞台表現やいろいろなアートの制作に使ってみようという、その最初の一歩です。
幸いにも、文化庁から少し助けていただいているので、参加費は無料です。
実は、僕は月末はフランスに「lost」の公演に行くので、今回の中高生WSには参加できません。でも、この京都コンピュキッズの活動は自分で望んで始めたことだし、今後も継続していきたいと思っているので、来年度も続けられるようならぜったいこの中高生WSにも関係していきます。
もしどなたか、中高生のお子さんがおありだとか、知り合いにいるとか、友達だとかいわれる方、ぜひこのワークショップをご紹介下さい。
よろしくお願いします!
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コンピュータを、アートに使うワークショップ
コンピュータを使ったアート作品を、メディアアートとよびますが、そんなに難しく考えずに、いろいろな作品に気軽にデジタルディバイスを使ってみましょう。音に合わせてリアルタイムで照明の色や映像が変化したり、自分の動きから音楽が流れ出したり。このワークショップではコンピューターを使って、そのような「仕組み」を「プログラミング」してみます。音や映像作品はもちろん、演劇・ダンス・朗読などのパフォーミング・アーツにその「仕組み」をとりこんで、最後には公開ショーイングも可能です。
今回は、まず最初の取り組みを体験してみて、これからどんな作品が創れるのか、一緒に想像してみましょう。
対象:中学・高校生
受講料無料!
会場:初音館スタジオ
京都市中京区東洞院姉小路上ル 初音館B1F
市営地下鉄烏丸御池下車3番出口より徒歩3分。
日時:2011年3月29日(火)~31日(木)
期間中2時間以上参加できる方
(時間は、電話予約時に相談可)
講師:高橋 卓久真(アーティスト)
京都コンピュキッズ:
京都在住のアーティストやプログラマーによる、子どものためのデジタルワークショップ開発プロジェクト。子ども達が、現在の、コンピューターなくしては成り立たない世界を理解し、デジタルの仕組みを体感していけるワークショップの開発を目指しています。
http://kyoto-compukids.ws
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